譚海 卷之十 鴨長明子孫の事
○賀茂長明の子孫は、下賀茂社人の内、南大路陸奥守といふ人なり。此家に長明眞跡の「方丈記」、有(あり)、世間につたふる書とは、各別なるものにて、方丈を、諸所へ引(ひき)あるきて、その所に記したるものゆゑ、和歌も、殊の外、おほくあり。紙を、橫にとぢて、帳面の如く書(かき)たるものなり。甚(はなはだ)、祕して、人にみする事を禁ず。懇望して見たる人の物がたりなり。「鴨」といふ字は「上鴨の社人」をいふなり。「賀茂」と云ふ字は「下賀茂の社人」をいふなり。
[やぶちゃん注:東京工芸大学女子短期大学部の今村みゑ子氏の論文『鴨長明の通称「南大夫」・「菊大夫」をめぐる』(『飯山論叢』第十九号・二〇〇二年発行)に本記事が引かれているのを見出したのみである。「東京工芸大学」公式リポジトリのここからダウンロード出来る。]

