譚海 卷之十二 幼稚の時よく物ならすべき事 幼稚子供遠路歩行さすまじき事
○人は、をさなきほどに、ものをば、よく、ならはすべき事也。をさなき時は、慾、少(すくな)く、心、專らなる故、習ふ事を、よく覺ゆるなり。夫(それ)は、年よりても、よく覺え居(をり)て、忘るゝ事、なし。中比(なかごろ)より、習ひし事は、覺えうかぶ事も、早きやうなれども、やがて、わするゝ事、やすし。物ごとに、心、うごきて、まぎるゝ事の、多きゆゑ也。
○子供の、十一、二歲になるまでは、遠く、ありかすまじき事也。子どもの實(まこと)せざる體(てい)にて、二、三里の道を、あるけば、脾胃。もめて、病(やまひ)を引出(ひきいだ)すなり。大形(おほかた)は、心得ぬ親の、
「よく、あるく。」
とて、をさなき子どもを愛し、遠く、かちにて、ともなふは、あしき事也。
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