譚海 卷之十一 鉢植の梅やしなひ方の事
○鉢植(はちうゑ)の梅は、「つぎ木」、殊に、よろし。
花、謝(しや)して[やぶちゃん注:萎(しぼ)んで。]後(のち)、暑中には、炎天に、ほし、かはかせて、枯(かる)るほどにして、少しづつ、水をそゝぎ、精氣を、とむべし。
しかすれば、木、傷(いた)みて、早く、葉、落(おつ)る也。
葉、落れば、其儘、こやしを、そゝぎ、室(むろ)に入(いれ)て、あたゝかに、養ふべし。
溫氣に感じて、早く、芽を、もち、冬月に、花を開く形。
用捨、甚(はなはだ)むづかし。年を經て、自然に規矩(きく)を得(う)べし。