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2024/03/28

譚 海 卷之十三 衣裳に鐵のさび付たるを落す方の事 米櫃へ蟲を生ぜざる方の事 掘井の水あしきを飮食につかふ事 鷄卵ぬかみそづけにする事 魚肉みそづけにする事 かいわりなぬかみそづけにする事 さしさば魚たくはへやうの事 靑梅の實をたくはふる事 大根ふろふき鹽梅仕やうの事 淺草海苔たくはへやうの事 澀柿をみそづけにする事 鴨味噌の事 燒鮒かつほぶしにかふる事 鷄肉みそ漬の事 燒松茸の事 玉子葛かけ製しやうの事

[やぶちゃん注:「かつほぶし」はママ。]

 

○麻のるゐ[やぶちゃん注:ママ。]、釘へ懸置(かけおく)事あるに、釘の「さび」、付(つく)事あり。「さび」を落(おと)すには、梅干を、少し、ふくみて、その唾(つば)を麻へ落し、水にて、あらふときは、跡、のこらず落(おつ)る也。

 

○米櫃へ蟲を生ぜざるには、にんにくを丸のまゝにて、一つ米にまじヘ置(おく)べし。蟲、生ずる事、なし。後々は、にんにく、からに成(なる)也。其時は取(とり)かへて、入置(いれおく)べし。

 

○掘井戶の水、鐵氣(かなけ)ありて、飮(のみ)がたき時は、其水を、大釜にて、せんじ、用(もちふ)べし。釜にて、せんずれば、鐵氣、沫(あは)のやうに、かたまりて、うく也。その泡を、くみとりて、其後(そののち)、釜の湯を、冷水にして、つかふときは、飯を、たき、茶を、せんじるにも、障りなし、水道の水に變る事、なし。

 

○鷄子(たまご)をなまのまゝにて、酒の肴に、うちわり、つかふ事あり。玉子を半日斗り、ぬかみその内に漬置(つけおき)たるを、取出(とりいだ)し用(もちふ)れば、生成(なまなる)玉子に、少(すこし)、鹽氣(しほけ)ありて、一段、興、あり。

 

○かひわり菜をも、紙につゝみ、ぬかみそに、しばらく漬置(つけおき)て、取出し、肴(さかな)に用れば、風味ありて、賞翫なるものなり。漬置間(つけおくあひだ)、大(たい)てい、たばこ、五ふく[やぶちゃん注:「五服」。五回、喫煙すること。その時間。]斗(ばか)りのほど、よろし。時を過(すご)せば、鹽氣(しほけ)つよくして、あしゝ。

[やぶちゃん注:「かひわり菜」アブラナ目アブラナ科ダイコン属ダイコン変種ダイコンRaphanus sativus var. hortensis の種子を発芽させた、胚軸と子葉。所謂、「カイワレダイコン」と言うより、近年は英語で多種のそれを指す「スプラウト」(Sprout)の一つとして知られる。ウィキの「スプラウト」によれば、『主に穀類、豆類、野菜の種子を人為的に発芽させた新芽で、発芽した芽と茎を食用とする。発芽野菜(はつがやさい)』『または新芽野菜(しんめやさい)』『ともいう。生育の仕方によってモヤシなどの「もやし系」と、かいわれ大根などの「かいわれ系」がある』。『成熟した野菜よりも栄養価が高いものがあり、生食できるものは効率的に栄養素がとれるメリットがある』。『英単語のsproutは、芽や芽キャベツ、モヤシを意味する』とある。]

 

○魚肉を味噌に漬る事、紙につゝみ、漬たるよし。みそ漬、久しく成(なり)ても、鹽氣、よきほどにて、ある也。

 

○さし鯖を薄く切(きり)て、道明寺(だうみやうじ)の粉にて、酒に、ひたし、壺に漬置(つけおく)べし。冬に至りて用(もちふ)るに、風味、異樣なるもの也。但(ただし)、道明寺を、壺に半分程、入(いる)べし。酒にて、ふえて、一盃に、みちる也。尤(もつとも)、出(だ)し、用ゆるまでは、牢(かた)く、封じ置(おく)べし。

[やぶちゃん注:「さし鯖」脂ののった真鯖(条鰭亜綱棘鰭上目スズキ目サバ亜目サバ科サバ族サバ属マサバ Scomber japonicus )を背開きにして塩漬けにしたもの。塩蔵サバ。「ぼうずコンニャクの市場魚類図鑑」の当該ページによれば、二『尾一組で売り買いされ』、一『尾の頭部にもう』一『尾の頭部を刺し込んで』一『対にしたところから「刺鯖」と呼ばれるようになる。平安時代以前からのもので、細々とではあるが』、『日本海の福井と鳥取に今に続いている』とあり、『福井県福井市鮎川の「刺鯖」は昔のように頭部に頭部を刺している。非常に塩辛く、また微かに発酵臭がして全体に黄ばんでいる』。『そのままで焼いて食べるか、塩抜きをして焼いて食べる』。『塩抜きしすぎると味がなくなり、そのまま焼いて食べると』、『恐ろしく塩辛い。ただ実に味わい深い。夏の畑仕事の後など、塩分濃度の補給という意味でも重宝したのではないかと思う』とあって、写真もある。

「道明寺」道明寺乾飯(どうみょうじほしいい:大阪府藤井寺市の道明寺で作られる乾飯。糯米(もちごめ)を蒸して天日に干したもので、水に浸したり、熱湯を注いで柔らかくしたりして食べる。かつて、道明寺で天満宮に供えた饌飯(さんぱん)のお下がりを乾燥貯蔵したことに始まる呼称。軍用・旅行用に貯蔵食品として重んじられた)を挽いて粉にしたもの。和菓子の材料にも用いた。]

 

○靑梅の實を、たくはふるには、靑梅を、多く、えりて、疵(きず)なきを、たくはへにする也。疵あるをば、實を、わり、種を去りて、わりたる實を、すり鉢にて、「ひしほ」の如く、すりて、細末にして、其細末なる實に、疵なき梅を、丸のままにて漬(つけ)る也。全體、梅の實に酢氣(すのき)あるゆゑ、鹽を用ゐずとも、たくはへらるゝ也。冬月、取出(とりいだ)しても、取立(とりたて)の如く、靑くて、ある也。

[やぶちゃん注:「ひしほ」「醬・醤」で「ひしお」と読む。ダイズ・コムギ・オオムギ及び生醤油などを原料に発酵させた食品。現行では「なめ味噌」などとして利用する。]

 

○「ふろふき大根」を煮るに、大根を、一、二本、おろしにて、すりて、其しぼり汁ばかりにて、大根をにる時は、風味、よろし。

[やぶちゃん注:「ふろふき大根」「風呂吹き大根」。大根を輪切りにして茹で、熱いうちに垂れ味噌をつけて食べる料理。蕪(かぶ)なども用いる。]

 

○「淺草のり」、江戶にては、入梅の節(せつ)に至れば、風味、變じて、用(よう)たゝず。春初に、「のり」を、一年つかふべき程、とゝのへ、殘らず、よく、火にあぶりて、粉にして、「びいどろ」の「ふらすこ」へ入置(いれおき)て、入用(いりよう)のとき、ふり出(いだ)して、つかふべし。風味、春のまゝにて、變ぜず。

[やぶちゃん注:「淺草のり」「淺草海苔」。紅色植物門紅藻亜門ウシケノリ綱ウシケノリ目ウシケノリ科アマノリ属アサクサノリ Pyropia tenera 。同種の産地名を被せた加工食品化した「品川海苔」・「葛西(かさい)海苔」があった。しかし、現在の当該地では絶滅(海域消失を含む)したか、或いは、殆んど見ることが出来ない絶滅危惧種である。かなり以前から東京湾では「絶滅した」とされていたが、近年、多摩川の河口で、生き残っている小さな群が発見されて、保護活動が行われている。私の「大和本草卷之八 草之四 紫菜(アマノリ) (現在の板海苔原材料のノリ類) 附・川苔(カハノリ) (カワノリ)」を参照されたい。]

 

○柿澁を味噌漬にする事、みその中へ、細き竹を、さしこみて、引出(ひきだ)し、その穴へ、酒を、一盃、つぎこみ置(おく)。一、二日過(すぐ)れば、しぶ、へるもの也。へるときは、又、口一ぱいに、つぎこむべし。如ㇾ此、度々に及ぶときは、終(つひ)にへること、なし。扨(さて)、一ケ月も過(すぎ)て、その澁を取出(とりいだ)せば、杖のやうに、ながく、かたまりて出(いづ)る也。夫(それ)を小口より切(きり)て、つかふ也。

 

○又、道明寺の粉、袋のまゝをも、みそ漬にする也。是は、みそを、つきて、樽ヘ、つめるとき、道明寺を袋のまゝ底へ漬る也。紙を去(さり)て、小口より、きりて遣ふに、「からすみ」のごとく成(なる)もの也。

[やぶちゃん注:「からすみ」「唐墨」「鰡子」「鱲子」などと書く。ボラなどの卵巣を塩漬けして塩抜き処理を施した後、天日干しで乾燥させたもので、名の由来は、その形状が中国から送られた墨=唐墨に似ていたことによる。詳しくは、「大和本草卷之十三 魚之下 鯔魚(なよし) (ボラ・メナダ)」の私の注を参照されたい。]

 

○鴨の肉ばかりを、すり鉢にて、よく摺(すり)て、みそに和し置(おき)て、寒中、大根などを、にるべし。風味、言語同斷也。

[やぶちゃん注:「鴨」「和漢三才圖會第四十一 水禽類 鳧(かも)〔カモ類〕」の私の注を参照されたい。]

 

○冬、取(とり)たる鮒(ふな)・川魚の類(るい)、串に、さし、燒(やき)たるまゝにて、「わらづと」に、さし置(おき)、春大根などを加へ、「せうゆう[やぶちゃん注:ママ。「醬油」は「しやうゆ」が正しい。以下同じ。]」にて、にる。鮒の味、「鰹ぶし」の如く、風味、よろし。

 

○鷄(にはとり)の肉を、味噌に切漬(きりづけ)にして、用ゆる時は、串に、さし、あぶりて、用ゆ。鷄の調理の極品(ごくひん)也。

 

○早松(さまつ)だけを、紙につゝみて、飯に、うづめ、火に燒(やき)たるを取出(とりいだ)し、水にて、あらひ、灰を去り、「ね」より、引(ひき)さきて、「せうゆう」をかけ、用ゆ。精進の至(いたれる)味也。

[やぶちゃん注:「早松」食用になる菌界担子菌門真正担子菌綱ハラタケ目キシメジ科キシメジ属キシメジ亜属マツタケ節バカマツタケ  Tricholoma bakamatsutake 当該ウィキによれば、『マツタケによく似るが、やや小さく』、『全体的にやや赤みを帯びている。またマツ林ではなく、ブナ科のミズナラ、コナラ、ウバメガシなどの広葉樹林で発生する』。『香りはマツタケよりも強い』『が、調理過程で飛びやすいともいわれる』。『「さまつ(早マツ)」と呼び珍重する地域もある』とある。ネット上では、この「早マツ」を、やはりマツタケによく似た近縁種ニセマツタケTricholoma Fulvocastaneum に同定している記載が有意に見られるが、同前ウィキによれば、当該種は『シイやコナラの林に発生し、香りを持たない』とあるので、私は採らない。]

 

○「鷄子(たまご)の葛(くづ)」を、こしらゆる事、先(まづ)、酒・水・鰹ぶしにて、だしを拵へ、夫(それ)をさまし置(おき)、さめ切(きり)たる時、葛の粉、だし、水にて、とき、鷄子をわり、燒鹽(やきじほ)を「せうゆう」のかはりに多く用ゐ、葛・鷄子・燒鹽を、ひとつにして、鍋へ入(いれ)、常の葛を拵ゆるが如く、火にかけて、かきまはし、かきまはし、すれば、葛の味にて、玉子の色をなし、鹽氣(しほけ)ありて、奇なるもの也。扨(さて)、豆腐などに此(この)「くづ」を、かけて出(いだ)す也。

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