譚海 卷之十二 あげ卷助六由來の事
[やぶちゃん注:またまた、前話同様で、津村の亡き母の、恐らくは俳諧師佳風からの聴き語りもの。]
○市川海老藏、「助六」の狂言と云(いふ)は、ゑび藏、御城(ぎじやう)の老女衆江島殿より、「紫の手ぬぐひ」もらひしを、もとだてにして、「河東(かとう)ぶし」にて、
「ひとつ印籠(いんろう) ひとつまへ ゆかりの色の紫」
などと唄ひし事、とぞ。
今は、一流の狂言に殘りて、折々、興行する事とは、なりぬ。
[やぶちゃん注:「河東ぶし」「譚海 卷之十二 河東の事」の部分の私の注を参照されたい。
「老女衆江島」正徳四(一七一四)年に発生した大奥の大スキャンダル「江島生島事件」の彼女である。
「ひとつ印籠 ひとつまへ ゆかりの色の紫」myk1016氏のブログ「さるのちえ」の「助六の出端と河東節」を見られたい。前の二句は『一つ印籠(いんろう)一つ前』とあるが、後者は『ゆかりの筋の紫も君が許しの色見えて』である。]

