譚海 卷之十二 伊勢御はらいの事
[やぶちゃん注:「御はらい」はママ。]
○伊勢の御師(おんし)より、每年、送り來(きた)る「大祓(おほはらへ)」といふものは、神體にはあらず、元來、「はらへ」の「ぬさ」を入(いる)る箱也。「一萬度」・「五千度」など號するは、大倭姬命(やまとひめのみこと)の祝詞(のりと)を、「一萬度」・「五千度」など修(しゆ)し唱ふるを、いふ也。神道にては、鏡を、絲に、つりて、中央に懸(かけ)て、夫(それ)を神體とする也。
[やぶちゃん注:「伊勢の御師(おんし)」全国的には、「おし」と読み、特定の社寺に所属して、その社寺へ参詣者・信者のために祈祷・案内をし、参拝・宿泊などの世話をしたり、本人に代わって、参詣や御札を受け取って届けるといったことも勤め、各地に赴いて、参詣の慫慂等も行った神職集団を指す。但し、特に伊勢神宮のその職のみは、「おんし」と読んで区別した。]