譚海 卷之十二 いものあく手にしみたるを落す方の事
○根芋を、こしらへて、その「あく」の、指にしみたるには、鐵の釜にて、するときは、きよく、おつるなり。
[やぶちゃん注:底本では編者の割注で『(同前)』で、これは、前話にある『(別本缺)』と同じである。
「根芋」単子葉植物綱オモダカ目サトイモ科サトイモ属サトイモ Colocasia esculenta の親芋から出る新芽を、「おがくず」等の中で軟白栽培したもの。現在は、千葉県柏市(グーグル・マップ・データ)以外では、殆んど栽培されていない。これは、サトイモに含まれるシュウ酸(oxalic acid:構造式 HOOC–COOH で示される最も単純なジカルボン酸。二つのカルボキシ基を背中合わせに結合した分子。カルシウムイオンと強く結合する劇性性質があり、体内に入るとアシドーシスに傾いた血液中で、カルシウムと結合して結石などを生じる。このため、「毒物及び劇物取締法」によって劇物(毒物ではない)指定されている)が有意に含まれているので、灰汁(あく)抜きをする必要がある。針状結晶になったシュウ酸カルシウムは、皮膚に触れると、痒みを感じる。私は幼稚園の時、家の夕食で自然薯のトロロを太腿に、一杯分、そっくり、こぼし、モウレツな痒みに襲われたのを、記憶している。]