譚海 卷之十二 護摩の瀉水・さんしやうの事
○梅・柳・ざくろ・桃など、皆、靈木也。
護摩の瀉水(しやすい)の散杖(さんじやう)には、多く、梅・柳を用ゆ。「大元明王(たいげんめうわう)の法」を修(しゆ)するには、ざくろ・さんしやう[やぶちゃん注:「山椒」。]を用(もちひ)る事也。
[やぶちゃん注:「瀉水」仏語で、清浄(しょうじょう)を念じ、香水(こうずい)を灑水器(しゃすいき)に入れて壇場に注ぐこと。また、その香水。
「散杖」仏具の一つ。密教の修法の際、香水を散ずるのに用いる杖状のもの。梅・柳などの枝で約三十五~五十五センチメートルぐらいの長さに作るが、一定はしていない。また、一流では杖頭に八重蓮華を刻む。
「大元明王の法」「大元帥法」(たいげんすいほう)のこと。真言密教の大法の一つ。口伝では、「帥」の字を読まず、「たいげんのほう」と言う。悪獣や外敵などを退散させる力を持つとされる鬼神である大元帥明王を本尊として、鎮護国家・敵軍降伏のために修する法。承和六(八三九)年に常暁が唐から伝えた。仁寿元(八五一)年以降、正月八日から七日間、朝廷で修せられ、また「承平天慶(じょうへいてんぎょう)の乱」(同時期に発生した平将門の反乱と藤原純友の反乱)などでも、この修法が行われた。]

