譚海 卷之十一 說文長箋の事
○「說文長箋(せつもんちやうせん)」といふ書は、唐(たう)の時に出來(でき)て、字書の肝要とする物也。篆書の形なども、殊によし。三十卷有(あり)。渡りたる本、少(すくな)き物ゆゑ、知(しり)たる人、稀成(なる)もの也。
[やぶちゃん注:「說文長箋」後漢に書かれた最古の漢字字典「說文解字」(許慎撰)の内、大徐本と呼ばれるテクストによる、明(本文の「唐」は誤り)の趙宦光(ちょうかんこう:宋王朝の子孫)の撰になる注釈書。一六三一年刊。特に同辞書の篆書の研究書として名高い。]