譚海 卷之十一 廣東ぎれの事
○「廣東切(かんとんぎれ)」と云(いふ)は、「古金欄」より古き物也。島[やぶちゃん注:「縞」。]に織(おり)たる物也。
「太子かんとう」と云(いふ)は、上宮太子の御物(ぎよぶつ)也。
「鎌倉かんとう」と云は、蘭溪禪師の袈裟の切(きれ)也。何(いづ)れも「古金欄」より、價、十倍成(なる)もの也。
[やぶちゃん注「廣東切」これは「縬広東」(しじらカントン)のことか。名物切(めいぶつぎれ)の一つで、白地に黒茶の細い格子縞を現わしたもので、布面に「しじら」(洋服地のクレープ(crape)に当たるもの。生地全体に「しぼ」(皺)・「しじら」(縬)のある織物の総称。広義には縮緬(ちりめん)も含まれる)がある。中国の広東附近の産で、室町時代から江戸初期まで輸入された。「縬間道」(しじらかんとう)とも呼んだ。]
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