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2024/03/30

譚 海 卷之十三 菊根わけの事 牡丹の事 芍藥花つけやうの事 山吹植やうの事 椿垣となすべき事 霧島つゝじこやしの事 花木香氣賞翫の事 山茱萸の事

[やぶちゃん注:「山茱萸」は「やまぐみ」ではなく、「さんしゆゆ」と読む。ミズキ目ミズキ科ミズキ属サンシュユ Cornus officinalis当該ウィキによれば、『山茱萸(サンシュユ)は漢名(中国植物名)で』、『この音読みが和名の由来である』。『日本名の別名ハルコガネバナ(春黄金花)は、早春、葉がつく前に』、『木一面に黄色の花をつけることからついた呼び名で』、『植物学者』『牧野富太郎が山茱萸に対する呼び名として提唱したものである』。『秋になると枝一面にグミのような赤い実がつく様子から珊瑚に例えて、「アキサンゴ」の別名でも呼ばれる』。『中国浙江省及び朝鮮半島中・北部が原産といわれ』、『中国・朝鮮半島に分布する』。『江戸時代』、『享保年間に朝鮮経由で漢種の種子が日本に持ち込まれ、薬用植物として栽培されるようになった』。『日本における植栽可能地域は、東北地方から九州までの地域である』。『日本では、一般に花を観賞用とするため、庭木などに利用されている』。『日当たりの良い肥沃地などに生育する』。『落葉広葉樹の小高木から高木で』、『樹高は』五~十『メートル』『内外になる』。『枝は斜めに立ち上がる』。『成木の幹は褐色で樹皮が剥がれた跡が残って』、『まだら模様になることがあり、若木の幹や枝は赤褐色や薄茶色で、表面は荒く剥がれ落ちる』。『葉は有柄で互生し』、『葉身は長さ』四~十センチメートル『ほどの卵形から長楕円形で、全縁、葉裏には毛が生える』。『側脈は』五~七『対あって、葉先の方に湾曲する』。『葉はハナミズキやヤマボウシに似ているが、やや細長い』。『秋は紅葉する』。『葉が小さめのため』、『派手さはないが、色濃く渋めに紅葉する』。『花期は早春から春』(三~四月上旬)『にかけ』て、『若葉に先立って』、『木全体に開花する』。『短枝の先に直径』二~三『センチメートル』『の散形花序を出して』、四『枚の苞葉に包まれた鮮黄色の小花を多数つける』とある。]

 

○菊の根を分(わく)るは、淸明の時を、よし、とす。わけて、其まま、花檀に植(うう)れば、たけ高く成過(なりすぎ)て、あしく、わけて、後先(あとさき)、假(かり)に植置(うゑおき)て、四月の初旬比(ころ)、秋の「花だん」に植(うう)べし。市中にては、下水の土と、常の土、等分なるが、よし。

[やぶちゃん注:「淸明」清明節は二十四節気の一つ。天文学的には、太陽が黄道上の十五度の点を通過する時で、暦の上では、陰暦三月、春分の後の十五日目、新暦の四月五、六日頃に当たる(小学館「日本国語大辞典」に拠った)。]

 

○牡丹は、皆、つぎき也。實生は十年餘ならでは、花さく事、なし。八十八夜を花の盛りとするに、大體、違(たが)ふ事、なし。大坂生玉(いくたま)の植木屋へ、牡丹をあつらへてやれば、冬に成(なり)て、箱に入(いれ)て、根を藻に包(つつみ)て越(よこ)す也。それを、花檀へ、うつせば、花、ひらくなり。

 

○芍藥は、年を經れば、花、さかず。是は、根の、はびこるゆゑ、根へ、生氣、みつるゆゑ、花を咲(さか)ぬ也。二月比、芍藥を、ほり出(いだ)して見れば、ことごとく、孫根、さして、あり。夫(それ)を切去(きりさり)て、親根ばかりを、根に殘して植(うゑ)れば、花を着(つく)る也。

 

○山吹は、山草なれば、市中に植(うう)るときは、生ぜす、決して、枯(かる)る也。山林にても、竹樹の蔭にあるは、よく叢生(さうせい)す。日を直(ぢき)に受(うく)る所にては、花を、つくる事、なし。

 

○椿は、生垣に、つくりて、高く刈(かり)こむべし。花の時、錦步障(にしきほしやう)のごとし。珍花數品(すひん)を集(あつめ)たる、殊に、よろし。

[やぶちゃん注:「錦步障」「步障」は移動用の屏障具。あからさまに内部を覗かせないようにするために、幔(まん)や几帳で周囲を囲って柱を持参させる大型のものと、外出者自身で持参する小型のものがある。大型のものは遷宮の時、霊の移徙や葬礼の渡御具であり、小型のものは女子の物忌の外出用である(小学館「日本国語大辞典」に拠った)。ここは錦で作ったそれのように見えることを言う。]

 

○霧島は二月末、雪隱の「ふん」を「こやし」にすべし。樹のめぐり、一尺ほどヘだてて、土を掘(ほり)、「こやし」を、つぎこむなり。

[やぶちゃん注:「霧島」「霧島躑躅」。日本固有種ビワモドキ亜綱ツツジ科ツツジ属栽培品種キリシマツツジ Rhododendron × obtusum 。]

 

○花木の香薰あるもの、桐花を第一とす。一りん花を、とりて、坐右にさし置(おく)に、一室、にほひみ、つる也。

 

○「さんせい」といふ樹は、「さんしゆゆ」の事也。正月比(ごろ)、黃花を、ひらく。葉は、花の後(あと)にいづる也。近年、わたり來(きたる)也。初春、白梅・椿などにまじへ、うゑて、同時に、花ひらく。暮春の花の景の如く、殊に愛すべきもの也。

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