譚海 卷之十一 旅茶器銘入の事
○叔父所持に旅茶器、有(あり)。木を「ひやうたん」の形に挽(ひき)て、上に、茶を、はくやうに拵へ、中に茶筌(ちやせん)・杓(しやく)を取るやうにし、下に茶碗を納(いるる)るやうにしたる三重の香合(かうがう)也。[やぶちゃん注:以下は、底本でも改行している。]
遠州自筆の銘、有(あり)。曰(いはく)、
『一瓢顏飮三碗盧歌兩我所ㇾ好此外無ㇾ他』
[やぶちゃん注:「叔父」」既出の本巻で冒頭に出て、途中にもしばしば登場する津村の叔父である中西邦義。
「一瓢顏飮三碗盧歌兩我所ㇾ好此外無ㇾ他」自身はないが、訓読すると、「一瓢(いつへう)の顏(かほ)、飮(の)むこと、三碗、盧(ろ)の歌(うた)、兩(ふたつながら)、我(われ)、好む所。此の外、他(ほか)に無し。」か。]