譚海 卷之十二 子供敎誘の事
[やぶちゃん注:標題「敎誘」は「けういふ」と音読みし、「正しい方向に教え誘うこと・教え導くこと・教導」の意である。]
○子供をそだつるに、其親、常々、物語に、
「よまひ事抔(など)、いわで[やぶちゃん注:ママ。]、敎へたてたる子は、柔和にして、おとなしきもの也。常に、親の、聲、あらく、しかり、そだてたる子は、情(じやう)、こはく、意地わろく成(なり)て、わづかなる事にも、こゑ、あららげ、をしへざれば、親のいふまゝに、ならず。かやうに育たる子ども、成人の後(のち)、大かたは、親のいふ事を、うけず、我まゝに成(なる)もの也。