譚海 卷之九 同所獵師猿を捕事 / 卷之九~了
[やぶちゃん注:先行する記事と同じく出羽話。標題最後は「とること」。
なお、この話の後の「卷之九」の以下の最後の二話の内、次の話は、
でフライング公開しており、掉尾の、
「譚海 卷之九 同所家士の知行所肝煎宅錢をふらす事」は、「柴田宵曲 妖異博物館 錢降る」の注で電子化してある。なお、こちらは古い電子化(二〇一七年三月四日公開)なので、今回、漢字の正字不全を全面的に修正しておいた。
従って、「譚海 卷之九」をこれを以って、終わりとする。]
○羽州にて、獵師、猿を見付(みつけ)れば、犬を、はなしかける。猿、犬におはれて、樹にのぼれば、犬、下に守り、をる。獵師、竿(さを)にて、猿を、はらひおとせば、地上におちて、犬に、とらる。やがて、獵師、さるを、とらへて、皮をはぎ、捨置(すておく)。
「猿、おのが皮の、はがれたるを見て、淚をながす。」
と、いへり。
「猿をば、炙(あぶり)て、くらひ、皮をば、衣裳にして、着(ちやく)す。冬、殊にあたたかなるもの。」
と、いへり。
いと不便(ふびん)なる事に、なん。
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