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2024/03/09

譚海 卷之十 鷹の事

○鷹は、海邊深山に產するを、上品とす。其中にも北國の產、殊に、勝(すぐれ)たり。

 故に鷹の獻は、北國(ほくこく)の大名計(ばかり)ある事なり。仙臺・南部・津輕、出羽の秋田・松前など、皆、獻上あり。

 其中に、秋田の獻上は仙臺・南部に勝れり。

 松前の獻上は、秋田よりも勝て、最上の品なり。

 鷹は、暖國には、產する事、稀なり。南地は、あたゝか成(なる)故、雁(かり)・鴨(かも)の類(るゐ)も、はやく飛びさる故、鷹も、まれなり。

 然(しか)れども、四國には、小鷹(こだか)、名產なり。

「四國の小鷹は、所作(しよさ)、すぐれて、よし。」

と、いへり。

 「はやぶさ」は常陸國を名產とす。岩城[やぶちゃん注:磐城。]・鹿島邊より出(いづ)るを、上品とす。

 每年、公儀より諸大名へ賜る雁を獲るために、六(ろく)もとづつ、房總、又は、武州川越などへ遣(つかは)さるゝ一もとにて、雁三十羽づつ、あはする例(れい)なり。六もとにて、雁百八十羽を獲(と)る定(さだめ)なれども、其數(そのかず)、不足するときは、「かへ鷹」を別に備(そなへ)て、近在にて、とりて、數(かず)に充(あつ)る事にせらるゝなり。

 禁裏へ進獻の鶴は、公方樣、「御(お)こぶし」と稱す。

 每年、猷上の鷹の中より、鶴にあわさるゝ鷹を擇出(えらびいだ)すに、二もとほどならでは、無ㇾ之、其(その)あら鷹を、まづ、御鷹匠師、近在へ持行(もちゆき)て、鶴をとりならはせて、藝、熟したるとき、「御こぶし」の用に備ふ。

 鶴を取(とり)たる鷹は、其後(そののち)、鴨などにあはさる事、二、三度に及(および)て、後は鷹狩に用ゐられず、先々の鷹より、段々、放し、捨らるゝ事なり。

「朝鮮の鷹も、十(とふ)もと、御所望にて、寬政六年[やぶちゃん注:一七九四年。]、進獻ありしかども、藝能、本朝の鷹に、さのみ勝(すぐれ)たる事、なし。」

と、いヘり。

[やぶちゃん注:「鷹」タカ総論は「和漢三才圖會卷第四十四 山禽類 鷹(たか)」の本文と私の注を見られたい。

「小鷹」一般には、比較的小形のタカの総称で、ハヤブサ・ハイタカ・ツミ・サシバ等を総称する語だが、「鷹狩」に用いるタカ類のうち、ハイタカなど小形の特に指す。ハヤブサとサシバは、

「和漢三才圖會卷第四十四 山禽類 隼(はやぶさ) (ハヤブサ・サシバ)」

ハイタカは、

「和漢三才圖會卷第四十四 山禽類 鷂(はいたか・はしたか) (ハイタカ)」

ツミは、

「和漢三才圖會卷第四十四 山禽類 雀鷂(すすみだか・つみ) (ツミ)」

の、それぞれの本文と私の注を見られたい。また、私の、

「日本山海名産図会 第二巻 田獵品(かりのしな) 鷹」

も大いに参考になるはずである。

「もと」「本・元」で接尾語で助数詞。鷹狩に使う鷹を数えるのに用いる。

「御こぶし」「御拳」。江戸時代、将軍が冬季に江戸の近郊へ出て、自ら、鷹を拳にとまらせて、鶴などを捕えさせることが原義で、その将軍が捕えた獲物を、京に送って宮中に献上したことをも指す。

「朝鮮の鷹」ウィキの「鷹狩」によれば、『鷹は奥羽諸藩、松前藩で捕らえられたもの、もしくは』(☞)『朝鮮半島で捕らえられたものが上物とされ、後者は朝鮮通信使や対馬藩を通じてもたらされた。近世初期の鷹の相場は』一『据』(すえ:「もと」と同じく鳥、特に鷹狩のタカの数詞)十『両、中期では』二十~三十『両におよび、松前藩では』、『藩の収入の半分近くは』、『鷹の売上によるものだった』とあり、朝鮮語の同ウィキを見ても、特に朝鮮産の特殊な種は示されていないので、本邦の種群と一緒と考えてよい。]

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