譚 海 卷之十五 諸病妙藥聞書(1) / 最終巻突入!
[やぶちゃん注:遂に最終巻に到達した。本電子化オリジナル注は二〇〇九年二月九日に始動したから、既に十五年を超えている。現在のブログ・カテゴリでは開始からは最長のものとなった。
本巻は「目錄」でも上記の巻の総評題が示されているだけで、極めて短い条が羅列されている。前の巻と同様に複数の条々を纏めて電子化する。現在、本カテゴリはこれで946件になっている。カテゴリは1000件を超えると、下部に頭の部分が出なくなってしまうので、後54回で何とか終わりにしたいと考えている。【 】は底本では二行割注。また、以降、凡ての改行は底本のママ。この注は以下、附さない。]
譚 海 卷の十五
〇眼のあらひ藥、石菖根(せきしやうこん)・黃岑(わうごん)・黃連・紅花・連翹・菊花・金銀花、已上七品。
[やぶちゃん注:「石菖根」単子葉植物綱ショウブ目ショウブ科ショウブ属セキショウ Acorus gramineus の根を元にした漢方生薬名。以下、最後の説明文は省略する。
「黃岑」キク亜綱シソ目シソ科タツナミソウ属コガネバナ Scutellaria baicalensis の根の周皮を取り除き、乾燥させたもの。
「黃連」キンポウゲ目キンポウゲ科オウレン属オウレン Coptis japonica の髭根を殆んど除いた根茎を乾燥させたもの。
「連翹」シソ目モクセイ科Forsythieae連レンギョウ属レンギョウ Forsythia suspensa(中国原産)シナレンギョウ Forsythia viridissima の成熟果実を、一度、蒸気を通したのち、天日で乾燥したもの。
「金銀花」マツムシソウ目スイカズラ科スイカズラ属スイカズラ Lonicera japonica の別名。漢方生薬名は「忍冬(にんどう)」「忍冬藤(にんどうとう)」。棒状の蕾を天日で乾燥したもの。]
○又、一方。
明礬(みやうばん)・ウイラウ・燈心【三味各三匁。】・梅干五つ・文錢(もんせん)十文【能(よく)洗(あらふ)。】
右、寒の水、一升、入れ、せんじ、あらふべし。
[やぶちゃん注:「ウイラウ」底本では右に編者補正注で『(茴香)』とある。セリ目セリ科ウイキョウ属ウイキョウ Foeniculum vulgare 。現在は英語の「フェンネル」(Fennel)の方が通りがよい。我が家の猫額庭にも二メートルにもなるものが鎮座ましましておる。食用には、ほぼ全草が用いられるが、薬用には果実が使用される。
「燈心」灯芯。綿糸などを縒り合わせて作る。
「匁」当時は「一兩」の十分の一で、三・八五グラム。以降、この注は繰り返さない。
「文錢」原料は銅に鉛・錫を合わせたもの。]
○又、一方。
明礬、よく燒(やき)て、茗荷(みやうが)の根、七切れ、石菖の根、七切れ、右三味を盃(さかづき)に、水、一つ、入(いれ)、そのうへへ、紙を一枚置(おき)て、紙の上より、指へ、水を付(つけ)て、あらふ也。此藥、甚(はなはだ)、妙、如ㇾ神(しん)。
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