譚 海 卷之十三 血どめのまじなひの事 船駕にゑはざるまじなひの事 舟の醉を治する事(二条) むしばまじなひの事 はなぢまじなひの事
○血止(ちどめ)の「まじなひ」は、紙を、三つに折(をり)、又、夫(それ)を、三つに折(をり)て、血の出(いづ)る所を、押(おさ)ふべし。卽時に、血、とまる事、妙也。
○舟・駕籠に醉はざる「まじなひ」、乘(のら)んとする人の座する所に、指にて、「賦」の字を書(かき)て、「點(てん)」を、うたず、その人を坐(ざ)せしめ置(おき)て、「點」を、その人の「ひたひ」に、うつべし。ゑふ事、なし。
[やぶちゃん注:別な類似の対応の咒(まじな)い法が、「耳囊 卷之十 船駕に不醉奇呪の事」に載る。]
○舟に醉(ゑひ)たる時、「いわう」を、少し、なめて、よし。「いわう」なき時は、付本(つけぎ)の先を、なむべし。立所(たちどころ)に直(なほ)る事、妙也。
○蟲齒の「まじなひ」、紙を三十二に折(をり)て、「蟲」といふ字を書(かき)て、釘にて、ひとつ、ひとつ、うちて、柱の「われめ」に、はさむべし。
○鼻血出(いで)て、留(とま)らざるを、まじなふには、その人に對坐し、指にて、
「難波津に さくや此花 冬ごもり」
と云(いふ)歌を、鼻へ書(かき)て、「とまり」の、
「冬ごもり」
の「り」の字を、「理」の字に書(かく)べし。とまる事、妙也。下の句を書(かく)に及ばず。
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