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2024/05/07

譚 海 卷之十五 諸病妙藥聞書(10)

○手足いたむには、

 するめの黑燒、酒にて用(もちゆ)べし。

 

○ゆびのいたみ、治する藥。

 雄鼠糞(おすねづみのくそ)・梅仁、二味を、粉にして、「めしつぶ」にて、押しまぜ、紙につけて、指に、はるべし。「雄鼠のふん」は、角(かど)立(てて)て有(あり)、「めねづみのふん」は、丸(まろ)し。

[やぶちゃん注:いや、結構です。]

 

○「わきが」の藥。

 「はかり苔(のり)」、又、「猿のをがせ」とも、いふ【甲州七靣山。野州日光山に有(あり)。】。丹礬・樟腦、何れも、少しづつ。

 右、三味を、淸水にひたし置(おき)、度々、「わきが」のしたを、洗へば、「わきが」の根を、きり、一生、其氣《け》、なし。

 

○又、一方。

 石灰を、七日、酒にひたし置(おき)、三日、「わきが」のしたへ、付(つく)る也。但(ただし)、三日の内、湯水を飮(のむ)事を、いむ。

 

○足の腫(はれ)たるには、

黃柏(わうばく)・忍冬(にんとう)・蒴藿(さくてき)・枯たる杉の葉、四味、目方、各、等分。

 右、四味へ、酒粕五十目、鹽五十目、加へ、此六味、銅の大だらひなどへ、したゝか、水を入(いれ)、「たらひ」を、火にかけて、湯を、わかし、足を、「たらひ」の中へ入(いれ)て、きぬの「きれ」にても、木綿にても、ひたと、足を、あらふべし。

 此方、元來、紀州家、馬醫の名方也。享保中、台命(たいめい)にて、人に用(もちい)給ふ所、功驗、ことなるにより、よに、ひろめ給ふ、よし。

[やぶちゃん注:二行目が行頭から始まっているのは、ママ。特異点である。

「黃柏」ムクロジ目ミカン科キハダ属キハダ Phellodendron amurense の黄色い樹皮を乾した漢方生薬。

「忍冬」マツムシソウ目スイカズラ科スイカズラ属スイカズラ Lonicera japonica の棒状の蕾を、天日で乾燥したもの。漢方生薬名は「忍冬藤(にんどうとう)」とも言う。

「蒴藿」マツムシソウ目レンプクソウ科ニワトコ属ソクズ Sambucus chinensis当該ウィキによれば、『葉には、帯状疱疹、中耳炎、膀胱炎、リウマチ、神経痛に薬効があるといわれる』。『鹿児島県に伝わる民間療法では、葉をドロドロに潰して、帯状疱疹などの痛みや腫れ物の患部に汁を塗ると効果があるという』。『むくみ改善の利尿薬として』『煎じて、飲む用法が知られ』、『神経痛やリウマチには、乾燥した葉を煮詰めた汁を浴湯料として入浴する』とあった。

「台命」言わずもがな、吉宗。]

 

○足を、くじきたるを、治す方。

 忍冬・蓮葉・川柳・桃葉・桑葉

 右、五味、せんじ、其湯の中へ、「ゆのはな」を、一味、まぜて、たびたび、あらふベし。たゞし、冬は、此(この)桑なきゆゑ、此木の「えだ」を。けづり、せんじ、用(もちゆ)べし。

[やぶちゃん注:「川柳」キントラノオ目ヤナギ科ヤナギ属カワヤナギ Salix gilgiana 。因みに、当該ウィキの右手にある分類タクソン・リスト中の種の和名「ネコヤナギ」はトンデモ誤りだろ! 私は、とうの昔に、ある学術記載に明らかな誤りがあったので、親切に修正要請の指示を挙げたところ、原著者が削除したので投稿記事を削除するようにと、システムの機械指示で要求されたので、心底、阿呆らしくなって、永遠にウィキペディアンを辞めている。]

 

○足のふみぬきには、

 古たゝみのきれに、沈香(じんかう)、一味、くはへ、細末にして、水にて、とき、ぬりて、よし。

[やぶちゃん注:全くの偶然だが、本日午前中に、『「和漢三才圖會」植物部 卷第八十二 木部 香木類 沈香』を公開している。そちらを見られたい。ちっと、長いが、ね。]

 

○「雁(がん)がさ」のくすり。

 右、「バジリコン」、よし。此(この)膏(かう)、桑紙へ付(つけ)て、はりかへ、はりかへ、すべし。賣藥店(ばいやくみせ)は東海道川崎宿、いさこ町大坂屋又兵衞所(ところ)に有(あり)。貝に入(いれ)、十六せんづつ也。

[やぶちゃん注:「雁がさ」「雁瘡」皮膚病の一種。治り難く、痒みが激しい。雁が飛来する頃に生じ、去る頃には治るというので、この名がある。「がんさう(がんそう)」とも呼ぶ。アトピー性皮膚炎は環境の複合汚染によって現れた新しい病気であるという説が大手を振っているが、研究者の中には、古くからあったこの「がんかさ」が当該疾患であったという説を唱える方もいる。

「バジリコン」basilicão。蘭方薬の一種。オリーブ油・黄蝋・松脂・チャンなどから製した、吸出し膏薬。「バジリ」「バジリ膏」。

「東海道川崎宿、いさこ町」現在の神奈川県川崎市川崎区砂子(いさご:グーグル・マップ・データ)。]

 

○又、一方。

 接骨木(にはとこ)の古根を黑燒にして、おしろいの粉を、めぶん量にて、少し、くはへ、胡麻の油に、ときて、つくるなり。付(つけ)かへるときは、初(はじめ)のくすりを、赤肌になるまで、あらいおとして付(つく)れば、はやく治す。

[やぶちゃん注:「接骨木」「庭常」とも書く。双子葉植物綱マツムシソウ目ガマズミ科ニワトコ属亜種ニワトコ Sambucus racemosa subsp. sieboldiana 当該ウィキによれば、『日本の漢字表記である「接骨木」(ニワトコ/せっこつぼく)は、枝や幹を煎じて水あめ状になったものを、骨折の治療の際の湿布剤に用いたためといわれる。中国植物名は、「無梗接骨木(むこうせっこつぼく)」といい、ニワトコは中国で薬用に使われる接骨木の仲間であ』るとあって、『若葉を山菜にして食用としたり、その葉と若い茎を利尿剤に用いたり、また』、『材を細工物にするなど、多くの効用があるため、昔から庭の周辺にも植えられた』。『魔除けにするところも多く、日本でも小正月の飾りや、アイヌのイナウ(御幣)などの材料にされた』。『樹皮や木部を風呂に入れ、入浴剤にしたり、花を黒焼にしたものや、全草を煎じて飲む伝統風習が日本や世界各地にある』。『若葉は山菜として有名で、天ぷらにして食べられる』。但し、『ニワトコの若葉の天ぷらは「おいしい」と評されるが』、『青酸配糖体を含むため』、『多食は危険で』、『体質や摂取量によっては下痢や嘔吐を起こす中毒例が報告されている』とあった。『果実は焼酎に漬け、果実酒の材料にされる』とある。天ぷらを食べたことがある。]

 

○又、一方。

 雁(かり)の「ふん」を、くろやきにして、ごまのあぶらにて付(つけ)て、よし。「がんのふん」は、いなかへ、たのみやれば、いくらもあるもの也。

 

○「すねくさ」には、

 そば粉を、湯にて、ときて、付(つけ)てよし。

[やぶちゃん注:「すねくさ」「脛瘡」。脛(すね)に生じた湿疹。]

 

○「風疾(ふうしつ)」のくすり。

 うどんの粉に、「くちなし」の實を、きざみ、くはへ、玉子にて、ときて、足のいたむところへ、ぬりぬり、すれば、靑きいろになる也。これを「風しつ」の「しやう」とす。いかやうに、いたみ、つよきも、二、三日すぐれば、治る也。

[やぶちゃん注:「風疾」漢方で中風・リウマチ・痛風などのことを指す。「風病」「風患」と言う。]

 

○「たゝみこぶ」、はれ、いたむには、

 皮足袋(かはたび)を、常に、はきて、よし。

[やぶちゃん注:「たゝみこぶ」これは「疊瘤」で、正座を常時し続けることによって起こる、下肢に発生する瘤(こぶ)のことであろう。なお、畳職人の職業病に同名の疾患があるが、肩甲骨の辺が瘤のように膨らんでくるものである。]

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