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2024/05/21

譚 海 卷之十五 諸病妙藥聞書(14)

○小兒、蟲氣(むしけ)にて、ひたひ、靑筋、出(いで)、又は寢(ねつ)かぬる等を、治す。あかき「みゝず」【小(ちさ)きが、よし。】、一つ、とりて、夜の七つどきに、火を、あらため、玉子ひとつ、打(うち)わりて、此(この)「みゝず」を、「玉子とぢ」に、水にて、せんじ置(おき)、夜のあくるをまちて、正(しやう)六つどきに、此「みゝず」を、玉子ともに、小兒に、くはすべし。水をも、少し、飮(の)ましむべし。其とき、小兒の腹中、しばらく鳴(なり)て、やむべし。この子、決して蟲氣なく、靑すぢも、をさまり、夜も、よく、ふせるなり。但(ただし)、あまり、をさなき兒ならば、此「みゝず」を、三きれほどに、きりて、一きれ、くはすべし、大妙藥也。

[やぶちゃん注:「蟲氣」小児が寄生虫によって惹き起こす腹痛・ひきつけ・癇癪などの諸症状を指す。

「赤みゝず」種同定は、し難いが、一般的に見かけられるもので赤っぽく見える(実際には環帯が鞍状で淡赤色を帯びる)のは、環形動物門貧毛綱ナガミミズ目ツリミミズ科シマミミズ属シマミミズ Eisenia fetida である。

「夜の七つどき」午前四時前後。

「正六つどき」「明け六つどき」で午前六時。]

 

○小兒、夜なきするには、

 ともし火の「丁子(ちやうじ)かしら」を粉にして、なくころ、乳に、ぬりて、ふくますベし。

[やぶちゃん注:当時の灯芯の原料は藺草(単子葉植物綱イネ目イグサ科イグサ属イグサ Juncus decipiens )の皮を除いた蘂(ずい)の部分である。ここは恐らく、蠟燭を灯して、黒く残った部分を指していよう。]

 

○小兒、口中へ、粟つぶのやうなるもの、出來(いでき)たる時は、羗蜋(きやうらう)一味、黑燒にして、飯つぶに、すりまぜ、足のうらの、「土ふまず」の所へ、紙にて、はるべし。卽座に治する也。

[やぶちゃん注:「羗蜋」(きょうろう)は既出既注。再掲すると、恐らく昆虫綱鞘翅(コウチュウ)目多食(カブトムシ)亜目コガネムシ下目コガネムシ上科 Scarabaeoidea及びその近縁な科に属する種のうち、主に哺乳類の糞を餌とする一群の昆虫を指す語である。「食糞性コガネムシ」とも呼ばれる。中文ウィキのその種群を示すそれは「蜣螂」の漢字が当てられている。その日本語版「糞虫」も見られたい。]

 

○小兒、胎毒を治(ぢす)る祕方。

 兎の腹籠(はらごもり)【一匁五分。】・蔓荊子(まんけいし)・菊花、各二匁。

 右、三味、黑燒にして用(もちゆ)べし。「かん」にて、目をわづらふにも、よし。

[やぶちゃん注:「兎の腹籠」ウサギの胎児。

「蔓荊子」既出既注。砂浜などに生育する海浜植物であるシソ目シソ科ハマゴウ亜科ハマゴウ属ハマゴウ Vitex rotundifolia の果実を、天日干し乾燥した生薬名。「万荊子」とも書く。強壮・鎮痛・鎮静・消炎作用があり、感冒に効くとされる。]

 

○小兒、疳の妙藥。

 車前子、一味を、粉にして、盆のうちに、ちらし、其中へ「どぢやう」を、あまた、入(いれ)れば、「どぢやう」、をどりて、此粉を、身へ、まぶす也。それを黑燒にして丸藥ぐわんやく)となし、二廻りも用(もちゆ)れば、治する事、妙也。

[やぶちゃん注:「車前子(おほばこ)」既出既注だが、好きな草なので、再掲する。シソ目オオバコ科オオバコ属オオバコ変種オオバコ Plantago asiatica var. densiuscula 。「車前草」(しゃぜんそう)とも呼ぶ。懐かしいな。当該ウィキに『子供たちの遊びでは、花柄を根本から取り』、『つ折りにして』、二『人が互いに引っかけあって引っ張り合い、どちらが切れないかを競うオオバコ相撲が知られ』、『スモトリグサ(相撲取り草)の別名もある』とあるが、もう何十年も、子どもらが、それをやっているのを、見たことが、ないよ……。]

 

○「小兒五疳」には、

 ひきがへるを、黑やきにして、茶にて、のましむべし。「五かん」ならでも、小兒、つねに用(もちい)て、よし。

[やぶちゃん注:「小兒五疳」「日本薬学会」公式サイト内の「薬学用語解説」の「小児五疳薬」に、『中国思想の五行説』の『基本概念から、漢方理論的に』、『小児の特異体質に適用した考え方。すなわち、いろいろな内因、外因によって五臓(肝臓、心臓、脾臓、肺臓、腎臓)のバランスが乱れ、精神的症状や肉体的症状を起こし、この』二『つの症状が相互に作用し合う諸症状を総称したもので』、『これは、現代の虚弱体質・過敏性体質(滲出性体質、自律神経失調症)に近い症状で』あるとある。]

 

○小兒脾疳の「せんやく」名方(めいはう)。

 唐白朮(からびやくじゆつ)・茯苓(ぶくりやう)・猪苓(ちよれい)・澤潟(たくしや)・三稜(さんりやう)・莪朮(かじゆつ)・黃苓(わうごん)・東京肉桂(トンキンにくけい)・半夏(はんげ)・山査子(さんざし)

 已上、十一味。

[やぶちゃん注:「脾疳」小児の慢性胃腸病を総称する語。一派には、身体が瘦せて、腹部が脹れてくる症状を指す。

「唐白朮」中国原産で本邦には自生しない双子葉植物綱キク目キク科オケラ属オオバナオケラ Atractylodes macrocephala の根茎を乾したものを狭義の基原とする浙江省などで生産されるものを指す(草体の画像は以上を参考にしたサイト「東京生薬協会」の「季節の花(東京都薬用植物園)」の「オオバナオケラ」を見られたい)。別に、本邦の本州・四国・九州、朝鮮半島・中国東北部に分布する同オケラ属オケラ Atractylodes lancea を基原とするものを特に「和白朮」と呼ぶが(草体の画像は当該ウィキを参照)、現行では、この二種を一緒にして「白朮」と称している。効能は、主として水分の偏在・代謝異常を治す。従って、頻尿・多尿、逆に小便の出にくいものを治す、と漢方サイトにはあった。しかし、この便別は、現在の「日本薬局方」が規定するものであり、古くからこの二種の呼称は使用されているものの、当時の民間の薬方に於いて、「唐」がついているからと言って、厳密なオオバナオケラを指すと断定するのは、時代的・民俗社会的に見ても無理があろうから、後者でよかろうかと私は思う。

「茯苓」既出既注。菌界担子菌門真正担子菌綱ヒダナシタケ目サルノコシカケ科ウォルフィポリア属マツホド Wolfiporia extensa の漢方名。中国では食用としても好まれる。詳しくは「三州奇談卷之二 切通の茯苓」の私の冒頭注を参照されたい。主として動悸や、筋肉痙攣を治すほか、小便が出にくい病態や、眩暈を治すとされる。

「猪苓」ヨーロッパ・北アメリカ・中国などに分布し、本邦では本州中部以北に自生する菌界担子菌門真正担子菌綱チョレイマイタケ目サルノコシカケ科チョレイマイタケ属チョレイマイタケ Polyporus umbellatus の菌核。消炎・解熱・利尿・抗癌作用等がある。

「澤潟」水生植物である単子葉植物綱オモダカ(沢潟・沢瀉)目オモダカ科サジオモダカ属ウォーター・プランテーン変種サジオモダカ Alisma plantago-aquatica var. orientale の塊茎。抗腎炎作用がある。

「三稜」単子葉植物綱イネ目カヤツリグサ科ウキヤガラ(浮矢幹)属ウキヤガラ Bolboschoenus fluviatilis の塊茎の表皮を剝いで乾燥させたもの。漢方で通経・催乳薬等に用いる。当該ウィキによれば、『北海道から九州までの浅い池の周辺部等に生える。ウキヤガラの名は、浮き矢幹であり、真っすぐに伸びる花茎に由来するものである。その他、朝鮮、中国、北アメリカに分布する』とある。よく見かける野草である。

「莪朮」既出既注。単子葉植物綱ショウガ目ショウガ科ウコン属ガジュツ Curcuma zedoaria当該ウィキによれば、『根茎が生薬(日本薬局方に収録)として用いられ、芳香健胃作用がある』。『ウコン』(ここに「鬱金」と出る、ウコン属ウコン Curcuma longa 。熱帯アジア原産であるが、十五世紀初めから十六世紀後半の間に、沖縄に持ち込まれ、九州・沖縄地方や薬草園で薬用(根)及び観葉植物として栽培された)『よりも薬効は強いとされる。生薬としては莪朮というが』、『中国では塊根を鬱金(ウコン、キョウオウと同じ)、根茎を蓬莪朮という』とある。

「黃苓」「黃芩」に同じ。、双子葉植物綱キク亜綱シソ目シソ科コガネバナ Scutellaria baicalensis の根から採れる生薬。漢方にあっては婦人病の要薬として知られる。血管拡張・血行循環促進・産後の出血・出血性の痔・貧血・月経不順といった補血作用(但し、多くは他の生薬との調合による作用)を持ち、冠状動脈硬化性心臓病に起因する狭心症にも効果があるとする。

「東京肉桂」「東京(トンキン)」は紅河流域のベトナム北部を指す呼称であるとともに、この地域の中心都市ハノイ(旧漢字表記「河内」)の旧称。そこに自生する双子葉植物綱クスノキ目クスノキ科ニッケイ属ニッケイ Cinnamomum sieboldii を指す。詳しくは、最近、公開した『「和漢三才圖會」植物部 卷第八十二 木部 香木類 肉桂』を参照されたい。

「半夏」既出既注。単子葉植物綱ヤシ亜綱サトイモ目サトイモ科ハンゲ属カラスビシャク Pinellia ternata のコルク層を除いた塊茎。嘔気や嘔吐によく使われる生薬である。私の「耳囊 卷之七 咳の藥の事」も参照されたい。

「山査子」山樝子。バラ目バラ科サンザシ属サンザシ Crataegus cuneata当該ウィキによれば、『サンザシや近縁のオオミサンザシ』( Crataegus pinnatifida )『の干した果実は、生薬名で山査子/山楂子(さんざし)といい、健胃、整腸、消化吸収を助ける作用があると考えられている』『秋』『に完熟前の果実を採取して核を取り除き、天日で乾燥して作られる』。『漢方としては高血圧、健胃効果があるとされ』、『加味平胃散(かみへいいさん)、啓脾湯(けいひとう)』(☜)『などの漢方方剤に使われる』。『民間では、食べ過ぎでも』、『油ものや肉を消化してくれる薬草として用いられ』、『健胃、消化、軽い下痢に、山査子』一『日量』五~八『グラムを水』二百~六百『ccで』、『とろ火で半量に煎じ』、一『日に食間』三『回、温かいうちに服用する用法が知られている』。『二日酔いや』、『食あたりに同様の煎じ汁を飲むのもよいと言われている』とある。]

 

○又、一方。

 人參・和白朮・全蝎(ぜんかつ)。

 已上、三味。

[やぶちゃん注:「和白朮」前条の「唐白朮」の私の注を参照。

「全蝎」基原は節足動物門鋏角亜門クモガタ綱サソリ目ゲンセイサソリ亜目オレイタサソリ下目 Orthosterninaウシコロシサソリ小目ウシコロシサソリ上科ウシコロシサソリ科 Buthidae のサソリ類の全虫体を食塩水に入れて殺し、乾燥したもの。但し、現行では漢方では正規の薬剤としては認識されていない。]

 

○又、一方、號「十千散」

 乳香・丁子・熊膽(ようたん)【各四匁。】・木香(もつかう)【八匁。】・陳皮(ちんぴ)・枳殻(きこく)・黑牽牛子(こくけんごし)・半夏・三稜・雷丸(らいぐわん)・羗活(きやうかつ)・獨活(どくかつ)・唐胡黃連(たうこわうれん)【各六匁五分。】・唐大黃(からだいわう)【六匁四分。】・白烏粉・天麻・地骨皮(ぢこつぴ)・桔梗・沙參(しやじん)・甘草・防風・黃連【各五匁。】・桑白皮(さうはくひ)・麥門冬(ばくうもんとう)・茯苓【各十匁。】・小豆(しやうづ)・唐白述【三十匁。】・山梔子(さんしし)【十六匁。】・麝香【一匁五分。】・龍腦【一匁二分。】

 已上、三十味、生姜「しぼり汁」、「さゆ」に入(いれ)て用(もちゆ)べし。

 右、小兒五かん・ばひふう・きやうふう・蟲食傷(むししよくしやう)、はら、一通りに、よし。

[やぶちゃん注:「十千散」不詳。以下、既注のものは、原則、掲げない。

「陳皮」中国では熟したムクロジ目ミカン科ミカン属マンダリンオレンジ Citrus reticulata の果皮を観想させたものであるが、本邦では熟したミカン属ウンシュウミカン Citrus unshiu のそれで代用する。

「黑牽牛子」「牽牛子」に同じ。お馴染みのナス目ヒルガオ科ヒルガオ亜科Ipomoeeae連サツマイモ属アサガオ Ipomoea nil の種子のうち、黒色を呈するもの(白いものもあり、それは「白牽牛子」と呼ぶ。両者の効能は変わらないが、古くは「白牽牛子」を尊んだ。今日では黒種子の方がよく用いられている)を指す生薬名。当該ウィキによれば、『種子は「牽牛子」(けにごし、けんごし)と呼ばれる生薬として用いられ、日本薬局方にも収録されている。中国の古医書』「名医別録」では、『牛を牽いて行き』、『交換の謝礼』を『したことが名前の由来とされている』。『粉末にして下剤や利尿剤として薬用にする』。『種子は煮ても焼いても炒っても効能があるものの』『毒性がとても強く、素人判断による服用は薦められない』。『朝顔の葉を細かに揉み、便所の糞壺に投じると』、『虫がわかなくなる。再びわくようになったら再投入する』とあることを明記しておく。有毒成分はファルビチン・コンボルブリンである。――因みに――私の家では、朝顔の花が庭に植わることは、なかった。私の母の実家は「笠井」という。母の父は、父の母の実の兄であるから、私の父母は従妹同士なのであり、私には色濃く、その「笠井」の血が流れている。笠井家は加賀藩の家老だったらしいが、その後裔の先祖の一人は、主命であったのか、自由意志であったか、はたまた、乱心であったのかは判らぬが、脱藩して浪人となり、中部地方のどこかへ流れて行き、何でも、朝顔の植わった庭の中で、切腹して果てたのだと伝えられており、笠井の家では。代々、庭には、朝顔を植えてはならぬ、という家訓がある。考えて見れば、私も小学校の時、理科の宿題で、シャーレで朝顔の発芽をさせた経験以外には朝顔の花を庭に見ることはなかった。……これは面白い禁忌の民俗伝承の一つとして、ここに場違いに注しておくだけの価値は――一種の奇談として――あろうかと思う。

「雷丸」菌界担子菌門菌蕈綱ヒダナシタケ目サルノコシカケ科 Laccocephalum 属ライガンキン Laccocephalum mylittae が基原で、條虫駆除作用・瀉下作用を持つとされる。

「羗活」(きょうかつ)はチベット北東部から中国中央部が原産のセリ科 HanseniaHansenia weberbaueriana 、又は、Hansenia forbesii の根茎及び根を乾燥させたもの。鎮痛・消炎作用を持つとされる。

「獨活」セリ目ウコギ科タラノキ属ウド Aralia cordata当該ウィキによれば、『中国では強精剤に使われるなど、漢方や薬膳では珍重されている』。『ウドは灰汁が強いことで知られるが、灰汁の成分はポリフェノール化合物であり』、『これには抗酸化物質のクロロゲン酸やフラボノイドが含まれ』、『ジテルペンアルデヒドなどの精油、アミノ酸、タンニンなどを含んでいる』。『精油は一般に中枢神経を刺激する作用があり、内服すれば』、『発汗や血液循環を促進して、便通もよくする働きがある』。『タンニンには収斂作用がある』。『ウドがもつ香り成分には、自律神経を調整して、気分を安定させる作用があるともいわれている』。『通例根茎を生薬にしたものを独活(どくかつ・どっかつ)、もしくは和独活(わどっかつ)』、或いは『土当帰(どとうき)』『と称し、独活葛根湯などの各種漢方処方に配剤されるほか、根も和羌活として薬用にされる』。『生薬にするときは、秋』頃に『根茎や根を掘り取って陰干しとし、半ば乾いたところを湯につけて土砂と細根を取り除いて、厚さ』〇・五~一『センチメートル』『の輪切りにしてから、さらに陰干しか』、『天日干しして調製する』。『民間療法では、風邪の初期症状、神経痛、リウマチ、頭痛などに、和独活を』『とろ火で半量になるまで煮詰めた煎じ液(水性エキス)を、食間』三『回に分けて服用すると、体を温めるとともに痛みを和らげて顔のむくみ、解熱、発汗に効用があるとされる』。また、『茎葉を使う場合は』九~十『月の花が咲いている時期に、地上部を刈り取って長さ』五センチメートルに『切り刻んで』、『陰干しにしたものを使い、布袋に入れて浴湯料にして風呂に入れると、肩こり、腰痛、冷え症などの鎮痛、補温に役立つといわれている』。『また、アイヌ民族はウドを「チマ・キナ」(かさぶたの草)と呼び、根をすり潰したものを打ち身の湿布薬に用いていた。アイヌにとってウドはあくまでも薬草であり、茎や葉が食用になることは知られていなかった』。『セリ科のシシウド』(セリ科シシウド属シシウド Angelica pubescens 。ウドに似ているが、属レベルで異なる別種である)『の根は唐独活(中国産の独活』『)と呼ばれ、日本薬局方外生薬規格』『に収載されている』。『漢方で使う独活は、腰痛に効くセリ科のシシウドの根の部分で、昔は独活の代用品としてウドが使われた』とある。

「唐胡黃連」「胡黃連」ならば、高山性多年草の、シソ目ゴマノハグサ科コオウレン属コオウレン Picrorhiza kurrooa(ヒマラヤ西部からカシミールに分布)及びPicrorhiza scrophulariiflora(ネパール・チベット・雲南省・四川省に分布)の根茎を乾かしたもの。古代インドからの生薬で、健胃・解熱薬として用い、正倉院の薬物中にも見いだされる。根茎に苦味があり、配糖体ピクロリジン(picrorhizin)を含むものの、薬理効果は不明である。なお、「黃連」があるが、これは小型の多年生草本である、キンポウゲ目キンポウゲ科オウレン属オウレン Coptis japonica 及び同属のトウオウレン Coptis chinensisCoptis deltoidea の根茎を乾燥させたもので、全く異なるものである。この場合は最後の「トウオウレン」を指すものと思われる

「唐大黃」最近、食材として見かけるタデ科ダイオウ属ルバーブ Rheum rhabarbarum 。シベリア、及び、中国北東部原産で、江戸時代に日本へ伝わり、現在では奈良県・長野県などで栽培されている。茎は高さ約二メートルになる。葉は卵形で大きく、縁は波状になり、裏面に細毛が生える。夏、茎の上部から出た枝の先端部に淡黄白色の小花が輪生状に多数集まってつく。葉柄は長く、食用となる。肥大した根茎は漢方で下剤とし、また黄色染料や線香の原料にもなる。「おおし」とも、単に「だいおう」とも呼ぶ(以上は小学館「日本国語大辞典」に拠った)。

「白烏粉」不詳。

「天麻」単子葉植物綱ラン目ラン科オニノヤガラ(鬼の矢柄)属オニノヤガラ Gastrodia elata の根の生薬名。当該ウィキによれば、『半夏白朮天麻湯として』眩暈や『頭痛、メニエール病、リウマチなどに応用される』とある。

「地骨皮」ナス目ナス科クコ属クコ Lycium chinense の根皮。漢方で清涼・強壮・解熱薬などに用いる。「枸杞皮(くこひ)」とも呼ぶ。

「沙參」キキョウ目キキョウ科ツリガネニンジン属シロバナトウシャジン Adenophora stricta の根茎を乾したもの。去痰・鎮咳に効果があるとされる。

「桑白皮」桑の根皮。消炎・利尿・鎮咳効果を持つ。]

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