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2024/05/29

「和漢三才圖會」植物部 卷第八十二 木部 香木類 樟腦

 

Syounou

 

しやうなう  韶腦

 

樟腦

 

チヤン ナ゜ウ

 

本綱樟腦出韶州漳州狀似龍腦白色如雪樟樹脂膏也

煎樟腦法用樟木新者切片以井水浸三日三夜入鍋煎

之柳木頻攪待汁減半柳上有白霜卽濾去滓傾汁入瓦

盆內經宿自然結成塊也他𠙚雖有樟木不解取腦

又鍊樟腦法用銅盆以陳壁土爲粉糝之却糝樟腦一重

又糝壁土如此四五重以薄荷安土上再用一盆覆之黃

泥封固於火上款款灸之須以意度之不可大過不及勿

令走氣俟冷取出則腦皆升于上盆如此升兩三次可充

片腦也【片腦卽龍腦也今多製樟腦僞片腦不可不辨】

氣味【辛熱】通關竅利滯氣霍亂心腹痛寒濕脚氣殺蟲

[やぶちゃん字注:この行は誰が見ても動詞が脱字していることが判る。「霍亂」の前に「治」がないと読めない。これは良安の引用の際の見落としである「漢籍リポジトリ」のこちらのガイド・ナンバー[083-65a]の「樟腦」の「氣味」の一行目に、ちゃんと「治」が置かれてある)。訓読では補った。

 與熖硝同性水中生火其熖益熾又燒烟熏衣筐席簞

 能辟虱䖝蛀治疥癬齲齒

[やぶちゃん注:「䖝」は「虫(蟲)」の譌字(かじ:「訛字」とも言う。誤用漢字(筆画・字形に誤りのある慣用漢字)である。]

 【凡用毎一兩以二盌合住󠄁濕紙糊口文武火燲之半日許取出冷定用之】

△按樟腦出於日向薩摩大隅深山中採老楠木以圓刄

 釿斫取盛土鍋上亦葢鍋蒸炙之腦升着于上如霜乃

 此樟腦也此物能殺蟲凡藥種易蛀物四月晒乾用樟

 腦包紙納其箱櫃中封口則雖極暑不蠧也其藥使時

 隔紙焙則樟腦氣去如忌火藥包紙置于濕地亦樟腦

 去以無臭香氣爲度葢雖樟腦今皆楠腦也【未知和漢有異乎否】


霹靂木

推古天皇三十六年遣河邊臣於藝州造舟舶仍至藝州

[やぶちゃん字注:これは「日本書紀」の「卷第二十二」からの引用だが、確認したところ、「三十六年」は「二十六年」の誤りであることが判った。訓読では、訂しておいた。]

覔舟材時有一木其大十圍使人夫伐之時有人曰此名

[やぶちゃん字注:「覔」は「覓」の異体字。]

木也自古伐之雷電祟其人故號霹靂木不可伐河邊臣

曰普天下無非皇土雖雷神豈逆皇命耶使人夫伐之當

此時大雨雷電河邊臣案劔曰雷神無犯人夫當傷我身

而仰待之霹靂不震犯而止於是伐其木作舟舶

△按其樹不載形狀不知何木也樟楠杉檜之類乎

 

   *

 

しやうなう  韶腦《しやうなう》

 

樟腦

 

チヤン ナ゜ウ

 

「本綱」に曰く、『樟腦は韶州・漳州より出づ。狀《かたち》、「龍腦《りゆうなう》」に似て、白色、雪のごとし。樟樹《しやうじゆ》の脂-膏(あぶら)なり。樟腦を煎《せん》ずる法、樟の木の新しき者を用ひて、切-片(《きり》へ)ぎ、井《ゐ》≪の≫水を以つて、浸すこと、三日三夜、鍋に入れて、之れを煎じ、柳≪の≫木にて、頻りに攪(かきま)ぜ、汁、半《なかば》、減(へ)り、柳の上に、白≪き≫霜《しも》≪の樣なる物≫有るを待ちて、卽ち、濾(こ)して、滓(かす)を去り、汁を傾(かた)ぶけ、瓦盆《かはらばち》の內《なか》に入れて、宿《しゆく》を經《へ》、自然に結《けつ》して、塊(かたまり)と成るなり。他𠙚《たしよ》に、樟木《しやうぼく》、有ると雖も、腦を取ること、解《し》らず。』≪と≫。

『又、樟腦を鍊る法、銅≪の≫盆を用ひて、陳(ふる)き壁土を以つて、粉と爲《なし》、之れを糝(まぶ)し、却りて≪その上に≫樟腦を糝《まぶす》ること、一重《ひとへ》。又、壁土を糝し、此くのごとくすること、四、五重。薄荷《はつか》を以つて、土の上に安《やすん》じ、再び、一盆を用ひて、之れを覆《おほ》ひ、黃泥《かうでい》にて、封固《ふうこ》し、火の上に於いて、款款《ゆるやか》に之れを灸る。須(すべから)く、意を以つて、之れを度(はか)るべし。大過《たいくわ》に及ばすべからず。冷氣を走らせること、勿《なか》れ。冷《ひゆ》るを俟《まち》て、取り出す時は[やぶちゃん注:「時」は送り仮名にある。]、則ち、腦、皆、上≪の≫盆に升《のぼ》る。此くのごとく升《のぼす》ること、兩三次、「片腦《へんなう》」に充つるなり』≪と≫【「片腦」は、卽ち、「龍腦」なり。今、多く、「樟腦」を製して、「片腦」に僞《いつはる》。辨《べん》ぜざるべからず。】。

[やぶちゃん注:最後の割注は、良安が附したものであるので、注意が必要。医師である良安は、厳密に「樟脳」と「龍脳」を弁別して使用していることが判り、当時、中国や東南アジアのみではなく、本邦でも、そうした偽物が多く出回っていたことを示すものである。

『氣味【辛、熱。】關竅《くわんきやう》を通《つう》じ、滯氣を利し、霍亂《かくらん》・心腹痛・寒濕≪に據れる≫脚氣(かつけ)を治し、蟲を殺す。』≪と≫。

『熖硝《えんしやう》と性を同じくす。水中に火を生じ、其の熖(ほのほ)、益益《ますます》[やぶちゃん注:訓点では踊り字「〱」が置かれてある。]熾《さか》んなり。又、燒烟《しやうえん》して衣筐《えきやう》・席簞《むしろばこ》を熏じて、能く、虱《しらみ》・䖝《むし》・蛀《きくひむし》を辟《さ》け、疥癬《かいせん》・齲齒《うし》を治す。』≪と≫。

[やぶちゃん注:「䖝」は「虫(蟲)」の譌字(かじ:筆画・字形に誤りのある漢字)である。]

『【凡そ、用ひるに、毎一兩、二盌《わん》を以つて、合住󠄁《がふじゆう》≪し≫、濕≪めれる≫紙≪にて≫、口に糊《のりし》、文《→文火《ぶんび:とろ火。》》・武火《ぶび:強火。》にて之れを燲《あぶる》。半日許《ばかり》≪にして≫取り出だし、冷≪ゆるを≫定≪きわめて≫、之れを用ふ。】。』≪と≫。

△按ずるに、樟腦、日向・薩摩・大隅に出づ。深山の中の老いたる楠(くす)の木を採りて、圓刄(まるは)の釿《ちやうな》を以つて、斫(はつ)り取り、土鍋に盛り、上にも亦、鍋を葢(ふた)し、之れを蒸(む)し炙(あぶ)る。腦、上に升《のぼ》り着く。霜のごとし、乃《すなはち》、此れ、「樟腦」なり。此の物、能く蟲を殺す。凡そ、藥種、蛀(むしつゞ)り易き物、四月、晒≪し≫乾して、樟腦を用ひて、紙に包み、其の箱・櫃《ひつ》の中に納《をさめ》て、口に封する時は、則ち、極暑と雖も、蠧(むしく)はざるなり。其の藥、使ふ時、紙を隔てて焙《あぶ》れば、則ち、樟腦の氣(かざ)、去る。火を忌む藥のごときは、紙に包み、濕地に置きても、亦、樟腦、去る。臭香の氣《かざ》、無きを以つて、度《ど》と爲《な》す。葢し、「樟腦」と雖も、今、皆、「楠《くすのき》の腦」なり【未だ知らず、和漢の異、有りや否や。】。


霹靂木(へきれきぼく)

推古天皇二十六年、河邊臣(かはべのおみ)を藝州に遣し、舟-舶《つむ》を造らしむ。仍《よつ》て、藝州に至り、舟《つむ》≪の≫材《き》を覔《ま》く時、一《いつ》の木、有り。其の大いさ、十圍《とおかこみ》、人夫をして之れを伐《き》らしむ時、人、有りて曰はく、

「此れ、名木なり。古《いにし》へより、之れを伐れば、雷電《いかづちいなびかり》、其の人に祟(たゝ)る故《ゆゑ》、『霹靂木』と號す。伐るべからず。」

≪と≫。河邊の臣、曰はく、

「普天の下《もと》、皇土に非ずと云ふこと、無し。雷神と雖も、豈に皇命に逆はんや。」≪と≫。人夫をして、之れを伐らしむ。此の時に當《あたり》て、大雨・雷電す。河邊の臣、劔《つるぎ》を案《とりしぼりて》曰はく、

「雷神、人夫を犯すこと無かれ。當《まさ》に我が身を傷《やぶ》るべし。」

≪と≫。而《しか》仰せて、之れを待つ。霹靂、震犯《ふるひおか》さずして、止《やむ》。是《ここ》に於いて、其の木を伐りて、舟-舶《つむ》を作る。

[やぶちゃん注:以上の訓読では、一部、禁欲的に、国立国会図書館デジタルコレクションの黒板勝美編「日本書紀 訓読 下巻」(昭和七(一九三二)年岩波文庫刊)の当該部を参考にしたが、良安の訓読は、執筆当時のものであり、近代に研究が進んだ上代語の特有の読みは、なるべく採らないように心掛けた。]

△按ずるに、其の樹、形狀を載せず。何の木と云ふことを知らざるなり。樟《たぶ》・楠《くす》・杉・檜《ひのき》の類《るゐ》か。

 

[やぶちゃん注:樟脳(しょうのう)は、オランダ語で「カンフル」(kampher・kamfer。医療分野でよく使用される)、英語「カンファ―」(camphor)で、化学式 C10H16O 。小学館「日本大百科全書」によれば、『多環状モノテルペンケトン』(monoterpene ketone)『の一つで』、『特有の香気をもつ半透明、昇華性の安定な粒状結晶。中国の揚子江以南、海南島、台湾および日本が主産地であるクスノキ科のクスノキ』

(クスノキ目クスノキ科ニッケイ属クスノキ Cinnamomum camphora 当該ウィキを参照されたい。なお、中文ウィキのものは、『樟属 Camphora』『樟树』『 Camphora officinarum 』となっているが、これはシノニムである

『には、樟脳を生産する本樟』(前掲基種)『と、リナロールを主成分とする芳樟(ほうしょう)』

(ニッケイ属クスノキ変種ホウショウ Cinnamomum camphora var. nominale :本種については、サイト「長居植物園 植物図鑑」の「ホウショウ」がよい。そこには、『おおよその外観は基本種であるクスノキによく似るが、細部が異なる。クスノキとの差異としては、果実が小型であること、葉の縁がつよく波打つことが挙げられる。そして、最も大きな違いとしてはクスノキの主要な芳香成分である樟脳をほとんど含まず、リナロールという芳香成分をクスノキの1.5倍ほど含むことである。このリナロールはスズランなどに含まれている成分と同じであり、ホウショウの葉や枝からは花のような香りがする』とある

『とが著名である。化学構造から右旋性(d体)、左旋性(l体)、ラセミ体(dl体)の』三『種の光学異性体がある。本樟または芳樟の根、幹、小枝の切片(チップ)、葉を水蒸気蒸留すると、樟脳原油とともに泥状結晶が留出し、これを濾取(ろしゅ)すると』、『粗製樟脳が得られる』。『原木よりの収率は粗製樟脳0.8~1.0%、樟脳原油1.6~2.0%である。樟脳原油を分留すると再生樟脳が得られる。粗製樟脳とともに昇華法により』、『精製して精製樟脳とする。それは精製度によって甲種樟脳(A)、改良乙種樟脳(純度98%以上)、乙種樟脳(B)(純度95%以上)などの区別がある。精製樟脳は粉末状または粒状として製品化する』。『第二次世界大戦後、中華民国が台湾を支配したため』、『天然樟脳の生産は著しく減少した。日本における樟脳の生産量は』昭和二六(一九五一)年の『4200トンが最高であり』昭和三七(一九六二)年に『樟脳専売制度が廃止されたために、その生産量は急激に減少した』とある。

 「本草綱目」の引用は、「卷三十四」の「木之一」「香木類」の「樟腦」の独立項で(「漢籍リポジトリ」)、ガイド・ナンバー[083-64b]から始まる、その「集解」の冒頭以下で始まるが、原文が、樟脳製造法をベタで続いて書いてあるのを、読み易く改行して示していることが判る。

「韶州」現在の広東省。

「漳州」福建省。

「龍腦」ボルネオール(borneol)。「ボルネオショウノウ」とも呼ぶ。アオイ目フタバガキ科リュウノウジュ属リュウノウジュ Dryobalanops aromatica から得られる樟脳の一種。ウィキの「ボルネオール」によれば、『香りは樟脳に類似しているが』、『揮発性がそれに比べると乏しい』。『歴史的には紀元前後にインド人が』、六~七『世紀には中国人が』、『マレー、スマトラとの交易で、天然カンフォルの取引を行っていたという。竜脳樹はスマトラ島北西部のバルス(ファンスル)とマレー半島南東のチューマ島に産した。香気は樟脳に勝り価格も高く、樟脳は竜脳の代用品的な地位だったという。その後イスラム商人も加わって、大航海時代前から香料貿易の重要な商品であった。アラビア人は香りのほか』、『冷気を楽しみ、葡萄・桑の実・ザクロなどの果物に混ぜ、水で冷やして食したようである』とある。一方、基原であるリュウノウジュは、当該ウィキによれば、『最大』六十五『メートルさらには』七十五『メートルまで成長する超高木で』、本種は『樹木の葉が互いに接触しないよう成長するクラウン・シャイネス(』『crown shyness)と呼ばれる行動がみられる樹種の』一『つとして知られる。』とあり、分布は『インドネシア(スマトラ島、ボルネオ島)、ブルネイ、マレーシア』で、『この種は樟脳の主な原料の』一『つであり、香や香水に使用され、金以上の価値があった時には』、『ボルネオへ』、『アラブの交易商が引き寄せられた』。『木材としての名前は、カポール(Kapur)と呼ばれる』。『リュウノウジュの樹幹の空隙に析出される竜脳は、生薬として中枢神経系への刺激による気付けの効果を期待して利用される』。『森林伐採やアブラヤシなどのプランテーションへの転換などによる自生地の破壊、木材採取や抽出物のための伐採などにより、個体数は減少している』とある。なお、以下に「リュウノウジュ属」の項があるが、リュウノウジュを除く六種が掲げられてあり、その総てがボルネオに自生しているとある。さればこその「ボルネオール」である。

「薄荷」シソ目シソ科ハッカ属 Mentha の類。種は多い。当該ウィキ「ミント」を見られたい。

「封固《ふうこ》し」堅く封をして。

「須(すべから)く、意を以つて、之れを度(はか)るべし。大過《たいくわ》に及ばすべからず。」「くれぐれも、炙り方(かた)に細かな注意を払わねばならない。炙り過ぎぬようにしなければならぬ。」の意。

「冷氣を走らせること、勿《なか》れ」「スーっと冷たい感覚を齎す揮発成分を、少しでも飛ばしてしまうことは、最もあってはならないことである。」の意。

「關竅《くわんきやう》」東洋文庫訳に割注で、『(身体各部の器関と孔穴)』とある。現代語の注記であるから、『器関』は「器官」の方がよかろう。まあ、漢方で言う「器官」は、現代医学の物理的な内臓器官とは異なるから、「器関」と言ったとも思われるけれど、一般読者が躓かないのは「器官」である。

「蟲を殺す」この場合は、「疳の虫」などの神経医学・精神医学的な発症基原としての象徴的な「虫」の意の他、現代のヒトに侵入する寄生虫類も含むと考えてよいだろう。

「熖硝」火薬。

「性を同じくす」これは所謂、「五行思想」による「性」質である。

「燒烟《しやうえん》して」樟脳を焼いた煙を用いて。

「衣筐《えきやう》」衣裳箱。

「席簞《むしろばこ》」東洋文庫訳のルビは『むしろござ』であるが、この五字の単語は聴いたことがないし、ネットで『席簞』という熟語を調べたが、中文サイトでも見当たらない。広義の「蓆」(むしろ)は「藁莚(わらむしろ)・茣蓙(ござ)・畳表・菰(こも・薦)などの総称」であるが、「簞」には、「わりご・竹で編んだ丸い飯びつ」、「はこ・竹で編んだ小箱」、「ひさご・ひょうたん(瓢簞)」の意しかないからである。但し、「むしろばこ」というのも語としては、知らない。私の造語だが、一応、蓆(むしろ)で作った行李のようなものを考えた。「むしろござ」のよく意味が分からない語よりマシだと思う。

「一兩」明代のそれは三十七・三グラムである。

「二盌《わん》」「二椀」に同じ。

「合住󠄁《がふじゆう》≪し≫」東洋文庫訳では、『きっちりと合せて蓋(ふた)をし』とある。

「藥種、蛀(むしつゞ)り易き物」医療用の薬の内、特に虫の食いやすい薬種。

「度《ど》と爲《な》す」東洋文庫訳は『それでいいのである』とある。

「未だ知らず、和漢の異、有りや否や」真正のものとは、当然、違いますよ、良安先生。

「推古天皇二十六年」ユリウス暦の機械換算は六一六年。

「河邊臣(かはべのおみ)」河邊禰受(かわべのねず 生没年未詳)飛鳥時代の豪族で、「臣」は姓。冠位は小徳。当該ウィキを見られたい。この話も紹介されてある。

「舟-舶《つむ》」小学館「日本国語大辞典」によれば、『上代における大型船の呼称。つみ。』とあった。

「覔《ま》く」求める。

「案《とりしぼりて》」ここは黒板勝美氏の訓読に従った。東洋文庫訳では、『剣に手を置いて』とする。

「按ずるに、其の樹、形狀を載せず。何の木と云ふことを知らざるなり。樟《たぶ》・楠《くす》・杉・檜《ひのき》の類《るゐ》か」なんで、良安が、わざわざ、この「樟腦」の最後に配したのかは、取り敢えず、以上の樹種の解説を終わっているから、ではあろう。しかし、偶然だろうが、ウィキの「リュウノウジュ」にある、同樹群の俯瞰写真、これ、

Dryobalanops_aromatica_canopy

霹靂に見えるぜッツ!!!

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