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2024/06/26

「善惡報はなし」正規表現オリジナル注 卷一 㐧九 商人人の目をくらまし己も盲目に成事

[やぶちゃん注:底本・凡例等は初回を参照されたい。標題の「己(をのれ)」と「盲目(まうまく)」の読みはママ。本篇には挿絵はない。] 

 

  㐧九 商人(あきびと)、人の目をくらまし、己(をのれ)も盲目(まうまく)に成事

〇明曆の比、常州多河(たが)といふ所に、さる商人あり。

 しよ[やぶちゃん注:「諸」。]商物に、いろいろ手苦勞(てぐらう)をし、人の「まなこ」をくらます事、數年(すねん)なり。

 ある時、大分の「にせ物」をして、「ぎんみ」にあひ、すでに「くせ事《ごと》」に、あふべきにきはまりしを、相手、なさけあるものにて、其なむ[やぶちゃん注:「難」。]をの、がれける。

 さる時、下人に、少《すこし》の「とが」ありしが、大分のやうに、いひかけ、引《ひき》よせて、兩眼(りやうがん)を、やきつぶして、おひ出す。

 ある時、女房、「くわいにん」しけるが、程なく、虵(へび)を、うめり。

「こは、いかゞなり。」

と、おどろきさはぎ、みれば、目、しゐ[やぶちゃん注:ママ。「盲(し)ひ」。後も同じ。]たる虵也。

 やがて、うちころして、すてぬ。

 かさねての、「さん」にも、また、かくのごとし。

「いか成《なる》事やらん。」

と、なげき、かなしむ。

 ある夜の夢に、神明(しんめい)、つげて、の給はく、

「なんぢ、商賣につき、人のまなこを、くらまし、或は、とがなき人の、眼(まなこ)を、つぶす事、其うらみ、はなはだ、つくる事、なし。妻のくわいにんをもつて、よく、思ひしるべし。ほどへて、なんぢ、盲目となるべし。」

と、あらたに、つげましましけり。

 然《され》ども、此告(つげ)を、ことゝもせず、猶、罪、ふかくぞ、なりけれ[やぶちゃん注:ママ。]。

 ある時、此男、一里ばかり他行《たぎやう》しけるに、いづくともしらず、「つぶて」、來つて、「ゆんで」[やぶちゃん注:左。]のまなこに、

「ひし」

と、あたる。

 其いたむ事、五たいも、はなるゝばかりに、おぼえて、のちには、終(つゐ[やぶちゃん注:ママ。])に、兩眼(《りやう》がん)ともに、しゐけり。

 それ、人として、善𢙣の道理を、わきまへしらぬは、くちおしき[やぶちゃん注:ママ。後も同じ。]事也。されども、神明は、人を、すて給はずして、あらたに御づけ[やぶちゃん注:両参考底本ともにママ。「御告げ」。]、ましましけるを、しらざる心のほどこそ、口おしけれ。

 

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