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2024/06/25

「和漢三才圖會」植物部 卷第八十三 喬木類 油桐

 

Sinaburagiri

 

あぶらぎり 罌子桐

      虎子桐

油桐

      荏油桐

だま    【阿布良岐利

       又云太末】

 

[やぶちゃん字注:「罌子桐」の「罌」は「グリフウィキ」のこれだが、表示出来ないので、異体字の以上を用いた。東洋文庫でも、この字体を用いている。また、通常、当時の中国音を配してある箇所に、ひらがなで和名の「だま」を配しているのも、本書では、極めて異例である。

 

本綱油桐枝幹花葉並類岡桐而小樹長亦遲花亦微紅

伹其實大而圓毎實中有二子或四子大如大風子其肉

白色味甘食之吐逆【得酒卽解】人多種蒔收子貨之爲油入𣾰

家入艌船用爲時所須其油似荏油有僞者惟以篾圈蘸

起如鼓靣者爲眞

桐子油【甘微辛寒有大毒】 傅惡瘡塗䑕咬處又能辟䑕治酒皶

 赤鼻桐油入黃丹雄黃傅之

△按油桐江州濃州多種之搾油大津油家販之其効同

 荏油煉成代𣾰用名桐油𣾰可以塗五色常𣾰不能塗

 白色也又加松脂塗船槽不水漏名知也牟塗

 造桐油𣾰法 桐油【一合】宻陀僧【二錢】滑石【五分】白礬【三分】以文火煉之竪起燈心不仆爲度其青色【綠青】黃【藤黃】赤【朱或辰砂】白【白粉】黑【油煙煤】加所好者塗之【貯之盛竹筒安水中則不涸乾】

 

   *

 

あぶらぎり 罌子桐《あうしとう》

      虎子桐《こしとう》

油桐

      荏油桐《じんゆとう》

だま    【「阿布良岐利《あぶらぎり》」、

       又、「太末《だま》」と云ふ。】

 

「本綱」に曰はく、『油桐は、枝・幹・花・葉、並《ならび》に岡桐《こうとう》に類す。而して、小なり。樹、長ずること、亦、遲し。花≪も≫亦、微《やや》紅《くれなゐ》なり。伹《ただし》、其の實、大にして、圓《まろ》し。實の中、毎《つね》に、二《ふたつ》≪の≫子《たね》、或いは、四《よつ》≪の≫子、有り。大いさ、「大風子《だいふうし》」のごとし。其の肉、白色。味、甘≪なれども≫、之れを食へば、吐-逆《はきもど》す【酒を得ば、卽ち、解す。】。人、多く、種、蒔≪き≫、子を收めて、之れを貨(う)る。油と爲《な》して、𣾰家(ぬし《や》)に《→の用に》入≪れ、又、≫、艌船《ねんせん》[やぶちゃん注:「艌」は「船の隙間に詰めて水漏れを防ぐ」の意がある。]の用に入≪るる等≫、時に爲めに[やぶちゃん注:時と使用法によって。]、須(もち)ひらる。其の油、「荏《え》の油《あぶら》」に似≪る故に≫、僞る者、有り。惟だ、篾(たけ)の圈(わ)を以つて、蘸(ひた)し起《おこし》≪たる時、≫鼓靣《つづみおもて》のごときなる者を、眞と爲《な》す。』≪と≫。

『桐の子油《たねあぶら》【甘、微辛、寒。大毒、有り。】 惡瘡に傅(つ)け、䑕《ねずみ》、咬《かみ》たる處に塗る。又、能く䑕を辟《さ》け、「酒--赤-鼻(ざくろばな)」を治す。≪その際には[やぶちゃん注:『「酒皶赤鼻」に処理する折りには』の限定条件と思われる。]、≫桐油≪に≫「黃丹《わうたん》」・「雄黃《ゆうわう》」を入れて、之れを傅(つ)く。』≪と≫。

△按ずるに、油桐、江州・濃州、多く、之れを種《う》ゑ、油を搾(しぼ)り、大津の油家(あぶらや)に、之れを販(う)る。其の効、「荏の油」に同じく、煉成《れんせい》≪して≫、𣾰《うるし》に代《か》へ、用ひて、「桐油𣾰(とうゆうるし)」と名づく。以つて、五色《ごしき》に塗るべし。常の𣾰は、白色に塗ること、能はざるなり。又、松脂《まつやに》を加へて、船槽《せんさう》に塗れば、水、漏(も)れず。「知也牟塗(チヤンぬり)」と名づく。

「桐油𣾰」を造る法 桐油【一合。】・宻陀僧(みつだそう)【二錢[やぶちゃん注:江戸時代の一錢は三・七五グラムで、七・五グラム。]。】・滑石【五分《ぶ》。[やぶちゃん注:一分は三十七・五ミリグラムで、十八・七五ミリグラム。]】・白礬《はくばん》【三分。】、文火《とろび》を以つて、之れを煉る。燈心に竪-起(たて)て、仆《たふ》れざるを、度《ど》と爲《な》す[やぶちゃん注:良い製品のそれを作る処理の限度とする。]。其の青色≪とせん時は≫【綠青《ろくしやう》。】、黃≪とせん時は≫【藤黃《きわう》。】、赤≪とせん時は≫【朱、或いは、辰砂。】、白≪とせん時は≫【白粉《はらや》。】、黑≪とせん時は≫【油煙《ゆえん》の煤《すす》。】≪とを以つて≫、好む所の者を加へて、之れに塗る【之れを貯《たくは》ふに、竹の筒に盛り、水中に安《やすん》ずれば、則ち、涸-乾《かは》かず。】。

 

[やぶちゃん注:「油桐」は、中国のそれは、基原植物を中国原産の、

双子葉植物綱キントラノオ目トウダイグサ科ハズ亜科 アブラギリ連アブラギリ属シナアブラギリ(オオアブラギリ)Aleurites fordii

とし、本邦の場合は、江戸前期に中国から渡来した、

同属アブラギリ Vernicia cordata

である。

オオアブラギリは「国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所 九州支所」公式サイト内の『樹木園 > 「九州支所樹木園」樹木名索引 > シナアブラギリ』を引用しておく。『落葉高木。樹皮は灰白色でなめらかである。老樹ではいくぶん粗』造『となる。葉は互生し、心臓形または心卵形をなし全緑である。葉柄は長く、やや紅色で葉柄のもとに』二『個の密腺がありこれに柄がない。雌雄異株または同株。集散花序を出し、表面白色、下面紅色の花を開く。果実は球形で』一~三『個つき』、『外皮は』、『初め緑色、のち暗褐色となる。中に』三~五『個の種子がある』。『中国原産で』、『中国では揚子江南部各省で盛んに栽培されている。日本では関東地方南部以西の暖地で栽培されている』。『桐油として優良である。油絵、提灯などに用いるが』、『食用とはならない。材は床板、下駄材などとする』。『和名シナアブラギリは「支那油桐」の意で、油桐(日本油桐)に対しての名である』。『開花時期』は四~五月で、『果実成熟期』は九~十月とある。比較的、記載が豊富な英文の当該種のウィキをリンクせておく。

 本邦のアブラギリは当該ウィキを引く。『落葉高木。種子から桐油(きりゆ、tung oil)と呼ばれる油を採取して塗料などに用いる。東アジア産のアブラギリやシナアブラギリはAleurites 属から分離してVernicia 属とすることもある』。『西日本と中国に自生し、また栽培もされる。葉の形はキリに似る。葉の基部には柄のついた蜜腺が』一『対ある。花は』六『月頃咲き』、五『弁で白く』、『径』三センチメートル『ほど、円錐花序をなし』。『よく目立つ。果実は円い蒴果』(さくか:カプセル:capsule:果実の中で、乾燥して裂けて種子を放出する裂開果の内の一形式。果皮が乾燥して、基部から上に向って裂ける。アサガオ・ホウセンカなどはこの例で、 蒴果の内、果皮が蓋のように上にはずれるものを「蓋果」といい、マツバボタン・スベリヒユ等がそれ。また、角(つの)状に尖っていて、内部が二室に分れているものを「長角果」(アブラナ・クレオメ等)と称し、基本構造は同じであるが、長さの短いものを「短角果」(ナズナ等と呼ぶ。以上は「ブリタニカ国際大百科事典」に拠った)『で』六『個の大きな種子を含み、秋に熟す』。『種子から採れる桐油は不飽和脂肪酸を多く含む乾性油であるため、塗料や印刷インキ、油紙の材料として盛んに使われた』。但し、『エレオステアリン酸』(Eleostearic acid)『など』、『毒性を持つ不飽和脂肪酸を含むため、食用にはできない』。『別名ドクエ(毒荏)といい、これは古くから種子の油を食用や塗料用として用いたエゴマ(荏)と対比した名前である』。『現在は油の原料としてアブラギリでなく』、『中国原産のシナアブラギリ』『を使う。これはアブラギリより大型で、葉の蜜腺には』、『柄がなく』、『直接』、『つく。この油は中国などから多く輸入されて家具の塗料などに使われている』。『近年、バイオディーゼルの供給源として注目されているナンヨウアブラギリ』(ナンヨウアブラギリ属ナンヨウアブラギリ Jatropha curcas )『は本種とは別属の樹木である』。『台湾で『桐』という字はアブラギリを指す。台湾を代表する植物である』。『なお』、『古来』、『中国における桐は主にアオギリ』(アオイ目アオイ科 Sterculioideae亜科アオギリ属アオギリ Firmiana simplex )、『梧桐』『を指し、日本で好まれるキリ(キリ科)』(シソ目キリ科 Paulowniaceae)『のいずれともアブラギリは』、『ごく遠縁の別樹種である』とある。この最後の問題は、先行する「梓」以下、ここまでで、十全に日通の種の違いを含め、注してきたものである。

 良安の「本草綱目」のパッチワーク引用は、「卷三十五上」の「木之二」「喬木類」(「漢籍リポジトリ」)の「罌子桐(ガイド・ナンバー[085-28a]以下)から。因みに、「罌子桐」はアブラギリの中国語の古い呼称である。中文の「シナアブラギリ」(この和名は差別和名として「オオアブラギリ」に変えるべきだろうな)のウィキ(題名は「油桐」だが、書いてあるのはそっち)をリンクさせておく。そこに俗名として「罌子桐」が挙げられてある。因みに、良安は中国音を添えていないので、現代中国語の音写で示しておくと、「油桐」は「イォウトォン」である。

「岡桐《こうとう》」先行する「岡桐」を参照。

「大風子」二回ほど既出既注だが、再掲しておくと、大風子油(だいふうしゆ)のこと。当該ウィキによれば、キントラノオ目『アカリア科(旧イイギリ科)ダイフウシノキ属』 Hydnocarpus 『の植物の種子から作った油脂』で、『古くからハンセン病の治療に使われたが、グルコスルホンナトリウムなどスルフォン剤系のハンセン病に対する有効性が発見されてから、使われなくなった』とあり、『日本においては江戸時代以降』、「本草綱目」『などに書かれていたので、使用されていた。エルヴィン・フォン・ベルツ、土肥慶蔵、遠山郁三、中條資俊などは』、『ある程度の』ハンセン病への『効果を認めていた』とある。

「𣾰家(ぬし《や》)」漆塗り師のこと。現在も特に同加工をする人を、「塗師」で「ぬし」と呼んでいる。

「篾(たけ)」この「篾」は、音は漢音で「 ベツ」、呉音「メチ」。日中辞典には、タケ・アシ・コウリャン殻などの皮を細く割ったもの、とある。

「蘸(ひた)し起《おこし》≪たる時、≫」この漢字は、「さっとつける・まぶす・軽く漬けて取り出す」の意であるから、どっぷりと長く漬けてはいけないのであるからして、訳を「蘸(ひた)し起《おこし》」と、わざと読点を「蘸(ひた)し」を打たなかった。「漬けたら、直ぐに、引き上げ」の意であることに注意しないといけない。

「鼓靣《つづみおもて》のごときなる者」まさしく、前に注した「蒴果」、「カプセル」でんな!

「酒--赤-鼻(ざくろばな)」「石榴鼻」。小学館「日本国語大辞典」から引く。『鼻の頭が赤くふくれ、ぶつぶつで、石榴の実を割ったように見えるもの。皮膚の毛細血管が拡張、潮紅し、毛穴が広がってにきびのようになり、重症の場合は大小のかたまりができる。酒を飲む人に多い。酒鼻(ささばな)。酒皶(しゅさ)。酒皶鼻(しゅさび)。あかはな。にきみばな。』とあった。引用例は家光の頃の作品であるから、江戸前期には、既にあった語である。

「黃丹《わうたん》」漢方で「鉛丹(エンタン)」の別名。鉛を熱して赤褐色に酸化させた生薬。成分は四酸化三鉛(しさんかさんなまり:Pb3O4)効能は明らかでないが、外用薬(塗り薬)で、皮膚の化膿症・湿疹・潰瘍・外傷・蛇による咬傷などに用いると漢方サイトにはあった。

「雄黃《ゆうわう》」「牛黃圓」に同じ。牛の胆嚢に生ずるとされる黄褐色の胆石である牛黄を主剤としたを丸薬。

「荏の油」シソ目シソ科シソ亜科シソ属エゴマ Perilla frutescens の実から得られる「エゴマ油」のこと。当該ウィキによれば、英語“Perilla oil”。『焙煎した荏胡麻の種子から圧搾した油はナッツのような香ばしさがあり、食用油として使用される。焙煎していない荏胡麻の種子を圧搾した物は』、『食用以外の用途、例えば』、『油絵具のバインダーや木製品・革製品のオイルフィニッシュワニスなどの目的で使用される』。『エゴマ油は脂肪酸の豊富な供給源と考えられており、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の両方を含む。エゴマ油に含まれる飽和脂肪酸は、主にパルミチン酸』『とステアリン酸』、『不飽和脂肪酸は、オレイン酸』・『リノール酸』・『γ-リノレン酸』・『α-リノレン酸』・『アラキジン酸』『となっている』。『エゴマ油はオメガ3脂肪酸』と『オメガ6脂肪酸成分』『が』『他の植物油と比較して多く含まれている』とあった。

「知也牟塗(チヤンぬり)」本来のそれは、狭義には、「瀝青塗」(チャンぬり)と呼ばれ、瀝青(チャン:天然のアスファルト・タール・ピッチなど、黒色の粘着性のある物質の総称。また、石炭を加圧下でベンゼンを用いて抽出したときの抽出物。チャン。ビチューメン。ビチューム)を塗ること。また、その塗り物を指すが、ここは、その色から、広義に本邦で、近世の和船や唐船の船体・綱具などに用いる濃褐色の防腐用塗料で、松脂・油・蜜陀僧(本文の後に出るが、ここで注しておくと、一酸化鉛PbOのこと。普通、黄色の粉末であるが、橙赤(とうせき)色のものもある)・軽粉などを、混ぜ合わせ、熱して作ったそれを指す。

「滑石」珪酸塩鉱物の一種で、フィロケイ酸塩鉱物(Phyllosilicates)に分類される鉱物、或いは、この鉱物を主成分とする岩石の名称。世界的には「タルク(talc:英語)」のほか、「ステアタイト」(Steatite:凍石)・「ソープストーン」(Soapstone:石鹸石)・「フレンチ・チョーク」(French chalk)・「ラバ」(Lava:原義は「溶岩」。本鉱石は変成岩である)とも呼ばれる。Mg3Si4O10OH2。水酸化マグネシウムとケイ酸塩からなる鉱物で、粘土鉱物の一種(当該ウィキ他に拠った)。

「白礬《はくばん》」天然明礬(カリ明礬石製)を温水に溶かして冷やしたもの。

「藤黃《きわう》」「𣾰」でも出ており、注したが、再掲しておくと、「きわう」の読みを含め、不審。東洋文庫訳でも注を附さない。「藤黄」は現代仮名遣で「とうおう」で、サイト「Premium Japan」の「日本の伝統色を知る」の「藤黄」には、『東南アジアを原産とするオトギリソウ科の常緑高木・海藤(ガンボージ)から出る植物性の顔料で染めた、暖かみのある鮮やかな黄色。その歴史は大変古く、奈良の正倉院に収蔵されている出陳宝物「漆金薄箔絵盤(うるしきんぱくえのばん)」にも藤黄色が使われて』おり、『古名として「しおう」とも呼ばれてい』るとあった。この「海藤(ガンボージ)」は英語“gamboge”で(カンボジア由来)、インドシナに分布するキントラノオ目オトギリソウ科 Hypericaceae(新体系APGではフクギ科Clusiaceae)フクギ属ガンボジ Garcinia hanburyi 、及び、その近縁種から採取される、濃い黄色の顔料を指す。日本語ウィキは存在せず、英文当該ウィキ(顔料の方)が詳しい。言わずもがなだが、本邦には自生しない。

「辰砂」」水銀と硫黄とからなる鉱物。深紅色又は褐赤色で、塊状・粒状で産出する。水銀製造の原料、また、赤色顔料の主要材料とされる。漢方では、消炎・鎮静薬などに用いる。「丹砂」「朱砂」とも呼ぶ。

「白粉《はらや》」東洋文庫訳は『おしろい』とルビするが、採らない。少なくとも、この前の添加物は、はっきりとした薬剤基原物だからである。「輕粉(けいふん)」「粉白粉(こなおしろひ)」とも呼ぶ。「伊勢白粉」のこと。白粉以外に顔面の腫れ物・血行不良及び腹痛の内服・全般的な皮膚病外用薬、さらには梅毒や虱の特効薬や利尿剤として広く使用された。伊勢松坂の射和(いざわ)で多く生産された。成分は塩化第一水銀Hg₂Cl₂=甘汞(かんこう)であり、塗布でも中毒の危険性があり、特に吸引した場合、急性の水銀中毒症状を引き起こす可能性がある。現在は使用されていない。]

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