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2024/06/26

「和漢三才圖會」植物部 卷第八十三 喬木類 海桐

 

Simagiri

 

しまぎり  刺桐

      【今云島桐】

海桐

 

本綱海桐生南海山谷中葉大如手作三花尖皮若梓皮

黃白色而堅靭可作繩入水不爛其木有巨刺如欓樹文

理細緊而性喜折裂三月開花赤色照映三五房凋則三

五復發其實如楓子

△按海桐工匠以旋箱僞白桐然木理縱文微似椹木理

 劣於白桐矣畫譜云海桐花細白如丁香而嗅味甚惡

 遠觀可也據此則花色白蓋有赤白二種乎

 

   *

 

しまぎり  刺桐《しとう》

      【今、云ふ、「島桐」。】

海桐

 

「本綱」に曰はく、『海桐《かいとう》は、南海の山谷の中に生ず。葉の大いさ、手のごとし。三花《さんくわ》≪の≫尖《とがり》を作《な》す。皮、「梓《し》」のごとく、皮は、黃白色にして、堅く、靭(しな)へて、繩に作るべし。水に入れて、爛(たゞ)れず。其の木、巨《おほき》なる刺(はり)、有りて、欓樹《たうじゆ》のごとく、文-理(きめ)、細く緊《しまり》て、性、喜んで、折れ、裂く。三月、花を開く。赤色。照(て)り映(かゝや)く、三、五房≪あり≫。凋(しぼ)む時は[やぶちゃん注:「時」は送り仮名にある。]、則ち、三、五、復た、發(ひら)く。其の實《み》、「楓子《ふうし》」のごとし。』≪と≫。

△按ずるに、海桐(しまぎり)、工匠、以つて、箱に旋(さ)し、「白桐。」と僞る。然《しか》れども、木-理《きめ》、縱文、微《やや》、椹(さはら)の木の理(きめ)に似て、「白桐」に劣れり。「畫譜」に云はく、『海桐の花、細白。「丁香《ちやうかう》」のごとくにして、嗅味《しうみ》、甚だ惡《あ》し。遠く觀て、可《か》≪なる≫べし。』≪と≫。此れに據れば、則ち、花の色、白し。蓋し、赤・白、二種、有るか。

 

[やぶちゃん注:この「海桐」というのは、沖縄で知られる、私の好きな赤い花を咲かすところの、

双子葉植物綱マメ目マメ科マメ亜科デイゴ属デイゴ Erythrina variegata

のことである。当該ウィキを引く(注記号はカットした)。『インド、マレー半島などの熱帯アジア、オーストラリアが原産。日本では沖縄県(あるいは奄美大島)が生育の北限とされている』。『鹿児島県奄美群島でも加計呂麻島の諸鈍海岸で約』八十『本の並木道となっているなど、あちこちでデイゴの大木が見られるが、交易船の航海の目印とするため等で沖縄から植栽されたものといわれる』。『極めて丈夫で、生長がとても早い樹である。花は深紅色の総状花序。花期は沖縄では』三『月から』五『月頃である。ただし、デイゴの開花度は植栽されている場所や植物の個体によって異なり、同一個体の中でも位置や枝によってかなり差異がある』。『葉は全縁の三出複葉。葉身は広卵形ではっきりした葉脈があり、長い葉柄を持つ。落葉樹であり』、『本来は開花に先立って落葉するが、沖縄では落葉しないままのデイゴも多く、北限に近い亜熱帯で湿潤な気象環境などの影響により』、『結果的に落葉しないまま非開花状態となっていると考えられている』。『観賞用や緑化庇蔭樹として利用されるほか、漆器(琉球漆器)の材料としても使われる』。『デイゴの生育に関しては、台湾方面から飛来・帰化したとされるコバチ』(膜翅(ハチ)目細腰(ハチ)亜目コバチ上科ヒメコバチ科Eulophidae)『の一種』Tetrastichinae亜科 Quadrastichus 属『デイゴヒメコバチ ( Quadrastichus erythrinae )による被害が相次いでいる』。『学名の属名 Erythrina(エリスリーナ)はギリシア語の「赤い」という言葉の意味からきており、デイゴの花の明るい赤色に基づく。英名を coral tree(コーラル・ツリー)といい、花の赤色を珊瑚に見立てたものである』。『デイゴの和名の由来はよく分かっておらず、一説には「大空」が訛ってデクと言ったことからの名だという説もある。デイゴの名称(和名や学名)は歴史的に混乱がみられたと指摘されている』。琉球国の本草学者『呉継志の』「質問本草」(天保八(一八三七)年写本)には(但し、作者は別に尚穆・尚温王代の御典医であった島袋憲紀(舌瘡の治療法で知られる島袋憲亮(唐名「晏孟徳」の養子)説の他、実在しない架空の人物とする説もある)、『「梯姑」「デーグ」「デイコ」とあるが、漢字の読み方および方言名の呼び方の文字化については研究者で意見が分かれる。また』、「沖縄物産誌」・「中山物産考」・「質問本草」等、『古書に由来する呼称は、デイグ、デイコ、デーグ、デーゴの』四『つで、デイゴはこれらには含まれていない』。『学名も学者によって同一でなく、園芸書によってまちまちだったと指摘されている』。『なお、海紅豆(かいこうず)が別名とされることが多いが、これは別種のアメリカデイゴ』 Erythrina crista-galli 『(鹿児島県の県木)のことである』とある。『沖縄県外では奄美群島のほか、小笠原諸島にも自生しており、現地ではムニンデイゴやビーデビーデ、南洋桜(なんようざくら)などとも呼ばれる。ただし』、『この小笠原諸島のデイゴを本種とは別のムニンデイゴ( Erythrina boninensis )という固有種であるとする説もかねてより存在している』。『ハワイ産のシロバナデイゴ( Erythrina variegata f. alba )も沖縄県に導入され、デイゴより早く咲くことが知られる』。『沖縄県の県花でもあり』、一九六七年に『県民の投票によって「沖縄県の花」として選定された』。中文の同種のウィキ「刺桐」によれば、福建省泉州市の市の花に選定されているとある。『オオゴチョウ』(マメ目マメ科ジャケツイバラ亜科 Caesalpinia 属オウコチョウ Caesalpinia pulcherrima :中文名「黃胡蝶」)『サンダンカ』(リンドウ目アカネ科サンタンカ亜科 サンタンカ属サンタンカ Ixora chinensis :中文名「仙丹花」)『とともに沖縄県の三大名花に数えられる。沖縄本島の那覇空港を出たところや、那覇市内に続く道筋にはデイゴの並木が続いている』。『デイゴが見事に咲くと、その年は台風の当たり年で、天災(干ばつ)に見舞われるという言い伝えがある(THE BOOMの楽曲「島唄」の歌詞にも書かれている)』(YouTubeの「THE BOOM―島唄(オリジナル・ヴァージョン)」が視聴でき、歌詞はここで視認できる)。『また、県内では「やしきこーさー(屋敷壊さー)」とも呼ばれることもあるが、これは根の力が強く、家の近くに植えると』、『根が伸びて家を傾かせてしまうからであるという』。『琉球大学で学生が配る合格電報の文面は「デイゴサク」となっている』とあった。

 良安の「本草綱目」のパッチワーク引用は、「卷三十五上」の「木之二」「喬木類」(「漢籍リポジトリ」)の「桐」(ガイド・ナンバー[085-29b]以下)から。

 

「欓樹《たうじゆ》」ムクロジ目ミカン科サンショウ属カラスザンショウ変種カラスザンショウ Zanthoxylum ailanthoides var. ailanthoides 。本邦にも自生する。委しくは当該ウィキを見られたいが、そこに『樹皮は灰褐色で、短くて鋭いトゲがあり、老木ではいぼ状になってトゲの痕が残る』。『若い枝は緑色や紅紫色で無毛で、枝にもトゲが多い』とあった。「楓子《ふうし》」ユキノシタ目フウ科フウ属フウ Liquidambar formosana 。本邦の「楓」(かえで)ではないことは、既に「楓」で注した。

「箱に旋(さ)し」「旋」の「廻らす・回す」の意を「加工する」に転用したものであろう。

「白桐」「桐」で既出の双子葉植物綱シソ目キリ科キリ属キリ Paulownia tomentosa

「椹(さはら)」裸子植物亜門マツ綱ヒノキ目ヒノキ科 ヒノキ属サワラ Chamaecyparis pisifera

「畫譜」既出既注

「丁香《ちやうかう》」Clove。フトモモ目フトモモ科フトモモ属チョウジノキ Syzygium aromaticum

「蓋し、赤・白、二種、有るか」「維基百科」の「刺桐」に『刺桐白花品種』の画像がある。]

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