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2024/07/12

「和漢三才圖會」植物部 卷第八十三 喬木類 木欒子

 

Mokugenji

[やぶちゃん注:二図が上下にあり、右手上方に、上の図のキャプション「今云菩提樹葉」(今、云ふ「菩提樹」の葉)、右手下方に下の図のキャプション「三才圖會所ㇾ圖」(「三才圖會」の圖せる所)とある。この際、「三才圖會」の原本画像を以下に示し、解説文も電子化しておく。画像はこちら(解説ページ「明代の図像資料」)の「三才圖會データベース」の画像(東京大学東洋文化研究所蔵。清刊本(槐蔭草堂藏板))のものを用いた(トリミングした)。ここと、ここ。特に画像の使用制限は書かれていない。

 

Ranka1

 

Ranka2

 

   *

 欒華

欒華生漢中川谷今南方及都下園圃中或有枝葉似木

※而薄細花黄似槐而稍長大子殻似酸漿其中有實如

熟豌豆圓黒而堅堪爲数珠五月採其花亦可染黄味苦

寒無毒主目痛淚出傷背消目腫

[やぶちゃん注:「※」=「(へん)「木」+(つくり){《上》「共」+《下》「土」}。以下の「本草綱目」と対照させると(時珍の引用は「別錄」。前漢の成帝の治世の時、数名の学者の協力を得て、宮廷の秘府の蔵書の校定に従事した劉向(りゅうきょう)が、一つの書物毎に、篇目を個条書きにし、内容を掻い摘んで作成した書籍解題である)、この漢字、「槐」を指すように読める。]

   *

読めない字があり、部分的に自信がない箇所もかなりあるが、自然勝手流で、訓読を試みておく。

   *

 欒華(らんくわ)

欒華は、漢中の川谷(せんこく)に生ず。今、南方、及び、都下の園圃(ゑんぽ)の中にあり。或いは、枝葉、有り、木※に似て、薄く、細し。花、黄なり。槐(えんじゆ)に似て、稍(やや)、長し。大いなる子(み)の殻(から)、酸漿(ほおづき)に似、其の中に、實(たね)、有り。熟したる豌豆(えんどう)のごとし。圓(まろ)く、黒にて、堅し。数珠(じゆず)と爲(な)すに、堪へたり。五月、其の花を採り、亦、黄に染むべし。味、苦(く)、寒。毒、無し。目の痛みて、淚、出でて、背(うら)に傷(きず)せるを、主(つかさど)り、目の腫(はれ)を消す。

   *]

 

むくろじ  欒華

     【和名無久礼混迩之

        俗云無久呂之】

木欒子

      附

       菩提樹

モツロワン ツウ

 

本綱此樹生山中園圃間或有之葉似木槿而薄細其花

黃似槐而稍長大子殻似酸漿其中有實如熟豌豆圓黑

堅硬謂之木欒子堪爲數珠其花五六月可收以染黃甚

鮮明未見入藥

華【苦寒】 治目痛腫合黃連作煎療目赤爛

△按

木欒子【無患子之一類異種】別有菩提樹者葉似椋又似桑葉

 而厚靣深翠背淺青三四月將花時別出莖生新葉以

 蔽其莖黃青色微似菠薐草葉抽於其半腹莖稍開花

[やぶちゃん注:「稍」は「梢」の誤記か誤植である。訓点では訂した。]

 四五朶黃色而小甚香芬花散結實中子如豌豆成簇

 一房二十粒許淡黒色用爲數珠蓋葉與子之樣大竒

飜譯名義集云菩提樹卽畢鉢羅樹也昔佛在世髙數百

尺屢經殘伐猶髙四五丈𠀋佛坐其下成等正覺因謂之菩

提樹焉莖幹黃白枝葉青翠冬夏不凋光鮮無變毎至涅

槃之日葉皆凋落須之故

 此菩提樹者異品而非今菩提樹乎形狀大異

 

   *

 

むくろじ  欒華

     【和名、「無久礼混迩之《むくろじし》」。

        俗、云ふ、「無久呂之《むくろじ》」。】

木欒子

      附《つけた》り。

      「菩提樹《ぼだいじゆ》」。

モツロワン ツウ

 

「本綱」に曰はく、『此の樹、山中に生ず』≪るも≫、『園圃≪にも≫、間《まま》、或≪いは、≫之れ、有り』。『葉、木槿(むくげ)に似て、薄細《うすくこまやか》なり。其の花、黃にして、槐《えんじゆ》に似て、稍《やや》、長大なり。子《み》≪の≫殻、酸漿《ほうづき》に似、其の中に、實《たね》、有り、熟≪せる≫豌豆《ゑんどう》のごとく、圓《まろ》く、黑く、堅硬なり』。『之れを「木欒子《もくらんじ》」と謂ふ』。『數珠《じゆず》に爲るに堪へたり』。其の花、『五、六月に收《をさ》むべし。以つて、黃を染めば、甚だ、鮮-明(あざや)かなり』。『未だ藥に入≪るるを≫見ず。』≪と≫。

『華《はな》【苦、寒。】』『目の』、『腫れ』・『痛を』『治す』。『黃連《わうれん》と』『合《あは》して、煎《いり》作《なして》、目≪の≫赤《あかく》爛(たゞるゝ)を療ず。』≪と≫。

△按ずるに、木欒子《むくろじ》【「無患子《つぶ》」の一類≪にして≫異種なり。】、別に「菩提樹」と云ふ者[やぶちゃん注:「云」は送り仮名にある。]、有り。葉、「椋(むく)」に似、又、「桑《くは》」の葉に似て、厚く、靣《おもて》、深翠(《ふか》みどり)、背《うら》、淺≪き≫青。三、四月、將に花(はなさか)んとする時、別≪に≫、莖を出《いだ》し、新葉を生じて、以つて、其の莖を蔽(をほ[やぶちゃん注:ママ。])ふ。黃青色、微《ちと》、菠薐草(はうれんさう)の葉に似て、其の半腹《なかはら》を抽(つきぬ)いて、莖の梢に、花を開く。四、五朶《ふさ》≪ありて≫、黃色にして、小さく、甚だ香-芬(かんば)しく、花、散りて、實を結ぶ。中の子《たね》、豌豆(えんどう)のごとく、簇《むれ》を成《なし》、一房、二十粒許《ばかり》。淡(うす)黒色なり。用ひて、數珠と爲す。蓋し、葉と子《たね》の樣(ありさま)、大《おほい》に、竒(めづら)し。

「飜譯名義集」に云はく、『菩提樹は、卽ち、「畢鉢羅樹《ぴつばらじゆ》」なり。昔、佛《ブツダ》、在世≪の時≫、髙さ、數百尺、屢(しばしば)[やぶちゃん注:原本では踊り字「〱」のみがある。]、殘伐《ざんばつ》を經て、猶《なほ》、髙さ四、五𠀋《たり》。佛、其下に坐して、「成等正覺(じやうとうしやうがく)」ある[やぶちゃん注:ママ。]。因りて、之れを「菩提樹」と謂≪へり≫。莖・幹、黃白、枝・葉、青翠。冬・夏、凋(しぼ)まず、光《かがやき》、鮮(あざや)かに、變ずること、無し。『涅槃《ねはん》の日』に至る毎《ごと》に、葉、皆、凋落《しぼみお》ち、須-之(しばらくあり)て、故(もとの)に復(かへ)る。』≪と≫。

 此の菩提樹は、異品にして、今の「菩提樹」に非ざるか。形狀、大いに、異《い》なり。

 

[やぶちゃん注:この「木欒子」は、日中で異なる。それを、良安は認識しておらず、致命的なミスとして、冒頭の和訓に「むくろじ」とやらかしてしましているように見えるが、さにあらず! 後で、彼は自身の評で、『「無患子《つぶ》」の一類≪にして≫異種なり』と言っているからである。中国では、「木欒子」は、前の「無患子」で注した通り、

双子葉植物綱ムクロジ目ムクロジ科モクゲンジ属モクゲンジ Koelreuteria paniculata

である。本邦で、新潟県・茨城県以西の本州・四国・九州の低地・山地に自生し、庭木としても植えられ、しばしば寺や神社にも植えられているところの、それは、ムクロジ科 Sapindaceaeの異属異種である、

ムクロジ科ムクロジ属ムクロジ Sapindus mukorossi

である。これは、良安の意識の中で、前の「無患子」を「ムクロジ」であろうと踏んでいるために、かく、「異種」と言えたのである。さらに言えば、ここで別の異名として、「菩提樹」というトンデモ異名が出現していることに、強い違和感を覚え、「木欒子」は、まず、これは、「菩提樹」(アオイ目アオイ科 Tilioideae 亜科シナノキ属ボダイジュ Tilia miqueliana 正しくは、良安の言っている、この「菩提樹」は、「本草綱目」にはこの三字熟語では掲載されていない(後の引用参照)。あるのは、前の「無患子」の「釋名」に中に『菩提子』と出るだけである。しかも、これは『釋家取爲數珠故謂之菩提子』と出るのであって、「菩提樹の種(たね)」の意ではなく、仏教徒が数珠にするから、「仏陀に所縁の種」と言っているだけで、真正の狭義のインドの「菩提樹」という木を、実は、指していないのである。それは、後の「菩提樹」の注で示す)ではないという、傍系の別個検証に力を入れ込んだに過ぎない。さらに言っておくと、小学館「日本大百科全書」の「モクゲンジ」を引く(読みはカットした)。『落葉高木。オオモクゲンジともいう。高さ約』十『メートルに達する。葉は互生し、奇数羽状複葉。小葉は卵形で先はとがり、不ぞろいの深く切れ込む鋸歯がある。夏、枝先に円錐花序をつくり、小さな黄色花を多数開く。萼片は』五『枚で』、『大きさは不等、花弁は』四『枚、雄しべは』八『本、雌しべは』一『本。蒴果は三角状卵形で長さ』四~五『センチメートル、果皮は薄く』、三『片に裂け、球形で径約』七『ミリメートルの黒色で堅い種子を出す。日本の一部の地域に野生するが、多くは栽培されたものが逸出したと考えられる。朝鮮半島、中国北部および東北部に分布する。名は、ムクロジ(ムクロジ科の別植物)の中国名である木患子を誤ってモクゲンジにあてたため、木患子の日本語読みであるモクゲンジになったという。種子を数珠に使用する』(最後の太字下線は私が附した)とあり、近代の植物学者でさえ、和名命名の際、トンデモ命名をしてしまっていたことが判明するのである。良安を馬鹿には出来ない。

 続いて、同種の「維基百科」の「欒樹」を見ると、別名を『燈籠樹・黑葉樹』とし、『風化した石灰岩によって生成されたカルシウム・ベースの土壌に植生する。耐寒性は、ない』。『中国固有種で、黄河流域及び長江流域の下流域に分布し』、中国北部最大の水系である『海河流域以北では稀で、珪素』(Si)『を主成分とする酸性赤土地域では生育出来ない』。本種は『春に発芽し、秋に早く落葉するため、毎年、成長期間が短く、樹形が捩じれており、あまり成熟することが樹木である。種子は幾つかの小型家電製品や、工業用油を搾るのに使用可能である。但し、景観には優れた木である』。『初夏に小さな黄色い花を咲かせ、花が散ると、木が黄金色になるため、花が咲いた後には英語で「金雨樹」』(goldenrain tree)『と呼ばれている』。『皮質蒴果』(さくか:果実のうち、乾燥して裂けて種子を放出する裂開果の中の一形式。果皮が乾燥して、基部から上に向って裂けるものを指す)で、『小さな黒い球形の種子が入っている。円錐形の蒴果は中空で、中国の提灯に似ているため、「提灯の木」とも呼ばれる』。本種の『花は黄色染料として利用される』、この樹の『葉は緑色であるが、白い布を一緒に煮ると、黒く染まることから、俗に「烏葉子樹」とも呼ばれ、葉は黒色染料として利用される』と言った内容記載がある。

 本篇の「本草綱目」の引用は、「卷三十五下」の「木之二」「喬木類」(「漢籍リポジトリ」)の「欒華(ガイド・ナンバー[086-16b]以下)からのパッチワークである。短い記載なのだが、良安が、如何にテツテ的継ぎ接ぎをしているかということを、訓読では、明示してみた。本文は以下である(多少、手を加えた)。

   *

欒華【本經下品】

集解【别録曰欒華生漢中川谷五月采恭曰此樹葉似木槿而薄細花黄似槐而稍長大子殻似酸漿其中有實如熟豌豆圓黒堅硬堪爲數珠者是也五月六月花可収南人以染黄甚鮮眀又以療目赤爛頌曰今南方及汴中園圃間或有之宗奭曰長安山中亦有之其子謂之木欒子携至京都爲數珠未見入藥】

 氣味苦寒無毒之才曰决明爲之使主治目痛淚出傷眥消目腫本經合黄連作煎療目赤爛【蘇㳟】

   *

「木槿(むくげ)」中文で言うこれは、本邦のアオイ目アオイ科アオイ亜科フヨウ連フヨウ属 Hibiscus 節ムクゲ Hibiscus syriacus ではない。フヨウ属は中文名で「木槿屬」であるから、Hibiscus属レベルに留まり、種を断定することは出来ない。委しい私の考証は、先行する「莢蒾」を見られたい。

「槐《えんじゆ》」バラ亜綱マメ目マメ科マメ亜科エンジュ属エンジュ Styphnolobium japonicum 。先行する「槐」を参照されたい。

「酸漿《ほうづき》」ナス目ナス科ホオズキ属ホオズキ変種ホオヅキ Alkekengi officinarum var. franchetii 。日中同種。「維基百科」の同種「掛金燈」では、学名を Physalis alkekengi var. francheti とするが、これはシノニムである。

「豌豆《ゑんどう》」マメ目マメ科マメ亜科エンドウ属エンドウ Pisum sativum 。日中同種。

「黃連《わうれん》」キンポウゲ目キンポウゲ科オウレン属オウレン Coptis japonica の髭根を殆んど除いた根茎を乾燥させたもの。

「菩提樹」アオイ目アオイ科 Tilioideae 亜科シナノキ属ボダイジュ Tilia miqueliana これについての不審は、ウィキの「ボダイジュ」を引くと、氷解する(注記号はカットした)。『別名はコバノシナノキ。中国原産』(☜:ブッダの菩提を樹下で得たその木だとしたら、ゼッタイ的におかしいでしょ?)『で、中国名は南京椴。日本では寺院などに植えられる』。『落葉広葉樹の高木。高さは』三十『メートル』『にもなる。樹皮は暗灰色から暗茶褐色で、縦に浅く裂ける。若木の樹皮は滑らかで、小枝には密に細毛がある。葉は広卵形で、裏面と葉柄には毛がある。花期は』六『月頃で、葉の付け根から花序を出して、芳香がある淡黄色の花を下向きに咲かせる』。『冬芽は薄茶色の短毛があり、オオバボダイジュ(学名:  Tilia maximowicziana )よりもやや小さい。枝先には仮頂芽がつき側芽よりも大きく、長さ』五『リメートル』『ほどの卵球形で芽鱗』二『枚に包まれる。側芽は枝に互生する。葉痕は円形で、維管束痕が』三『個つき、葉痕の両脇に托葉痕がある』。『日本へは』、十二『世紀に渡来したといわれ、臨済宗の開祖明菴栄西が中国から持ち帰ったと伝えられる。日本では各地の仏教寺院によく植えられている』。『釈迦は菩提樹の下で悟りを開いたとして知られるが、釈迦の菩提樹は本種ではなく』、『クワ科』Moraceaeの『インドボダイジュ』(印度菩提樹:バラ目クワ科イチジク属インドボダイジュ Ficus religiosa )『という別の種である。中国では熱帯産のインドボタイジュの生育には適さないため、葉の形が似ているシナノキ科の本種を菩提樹としたと言われる』(太字は私が附した)。『また』、『フランツ・シューベルトの歌曲集』「冬の旅」第五曲の「菩提樹」(‘ Der Lindenbaum ’)に『歌われる菩提樹は』、『本種ではなく』、『近縁のセイヨウシナノキ』『である』とあるのである。ブッダが菩提を得たそれは――「ボダイジュ」でなく――全然、明後日の――完全な目タクソンで異なる異種――「インドボダイジュ」――なのである。

「椋(むく)」バラ目アサ科ムクノキ属ムクノキ Aphananthe aspera

「桑《くは》」バラ目クワ科クワ属 Morus の数多い種の総称。

「菠薐草(はうれんさう)」ナデシコ目ヒユ科アカザ亜科ホウレンソウ属ホウレンソウ Spinacia oleracea

「飜譯名義集」宋代の梵漢辞典。全七巻の他、全二十巻本もある。南宋の法雲の編。一一四三年成立。仏典の重要な梵語二千余語を六十四編に分類し、字義と出典を記したもの。「大蔵経データベース」で確認したところ、このまことしやかな引用は、継ぎ接ぎ得意の良安が造り上げたものであって、同一の文章はどこにもない。「菩提樹」は二回、「畢鉢羅」も二回出るが、この内容を語っている箇所は前後にもない。非常に長い内容のものを、良安流パッチワークで、正直、デッチアゲと言われてもしゃあないものである。ちょっと、ガックりきたわ。或いは、二十巻本にあるのかなぁ? 調べられんわ。悪しからず。因みに、この内容は、かの玄奘三蔵の「大唐西域記」を元にして書かれたものである。

「殘伐《ざんばつ》」現在の「造林学」用語では、最初の伐採時に、少数の立木を母樹として残し、そこからの天然下の種によって更新を図る伐採法を指し、稚樹の定着後。残された木は伐採される、とあった。

「成等正覺(じやうとうしやうがく)」修行者である菩薩が、仏の悟りである等正覚を成就すること。迷いを去って、完全な悟りを開くことを言う。

「涅槃《ねはん》の日」一般にブッダ入滅日は、南伝仏教でインド暦の二番目の月が「ヴァイシャーカ月の満月の日」と定められていることから、一般的に二月十五日とされている。因みに、その日は、私の誕生日である。]

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