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2024/08/01

「和漢三才圖會」植物部 卷第八十三 喬木類 烏臼木

 

Nankinhaze

[やぶちゃん注:珍しく梢に鳥が描かれてある。形状から見て、頭部の羽毛が強く目立つようにデフォルメして描かれているようだから、私は、モデルはスズメ目カラス科カケス属カケス Garrulus glandarius 、或いは、その亜種ではないかと感じた。博物誌は、私の「和漢三才圖會第四十三 林禽類 橿鳥(かしどり) (カケス)」を参照されたい。]

 

うきうぼく鵶臼

 

烏臼木

 

ウヽ キウ モ

[やぶちゃん注:標題部一行目は、原本では「うきうぼく」「鵶臼」の字空けがないのは、ママ。今までの通例から違和感があるので、訓読では、一字分、空けた。]

 

本綱鵶臼生南方平澤樹髙數仭葉如小杏葉伹微薄而

綠色差淡其葉用可染皂五月開細花黃白色八九月子

熟初青後黒分爲三瓣烏喜食之又其子可壓油然燈明

其木老則根下黑爛成臼其油塗一切腫毒瘡疥

根白皮【苦微温有毒】 能通大小便治腫滿【氣虛人不可用】

 

   *

 

うきうぼく 鵶臼《あきう》

 

烏臼木

 

ウヽ キウ モ

 

「本綱」に曰はく、『鵶臼、南方の平澤《へいたく》[やぶちゃん注:平地の湿潤な土地。]に生ず。樹の髙さ、數仭《すじん》[やぶちゃん注:人体尺で両手を上下に広げた長さ(横に広げたものが「尋(ひろ)」。「一仭」は周代の尺(一尺=二十二・五センチメートル)の七尺、或いは、八尺(百五十七・五~百八十センチメートル)とするから、六掛けで、九・四五、或いは、十・〇八メートルである。]。葉、小≪さき≫杏《あんず》の葉のごとし。伹《ただし》、微《やや》、薄くして、綠色。差《ちと》、淡し。其の葉、用ひて皂《くろ》を染む。五月、細≪き≫花を開き、黃白色。八、九月、子《み》、熟す。初《はじめ》は青く、後《のち》は黒し。分《わかれ》て三瓣《さんべん》と爲《なす》。烏《からす》、喜んで、之れを食ふ。又、其の子、油を壓(を)し[やぶちゃん注:ママ。]、燈《ひ》に然(とも)すべし。明《めい》なり。其の木、老する時は[やぶちゃん注:「時」は送り仮名にある。]、則ち、根≪の≫下、黑≪く≫爛《ただれ》て、臼《うす》と成る。其の油、一切の腫毒・瘡疥に塗る。』≪と≫。

『根の白皮【苦、微温。毒、有り。】 能く、大小便を通《つう》じ、腫滿《しゆまん》[やぶちゃん注:全身が浮腫(むく)んで、腹部が膨満する症状。]を治す【氣虛の人、用ひるべからず。】。』≪と≫。

 

[やぶちゃん注:「烏臼木」は、

双子葉植物綱キントラノオ目トウダイグサ科トウダイグサ亜科ヒッポマネ連 Hippomaneae ヒッポマネ亜連Hippomaninaeナンキンハゼ(南京櫨・南京黄櫨)属ナンキンハゼ  Triadica sebifera

である。「維基百科」の当該種は「烏桕」とし、Sapium sebiferum とするが、

これはシノニムである(シノニムには、Seborium sebiferum もある。以下の引用参照)。中国では別名を「烏槔」「烏臼」「鴉臼」で、俗称で「木蠟樹」「樁仔」「瓊仔(橩仔)樹」等があるとする。当該ウィキを引く(注記号はカットした)。『以前はシラキ属』(ヒッポマネ亜連シラキ属 Neoshirakia )『に分類され、Sapium sebiferum の学名で呼ばれていた。中国原産で、秋は美しく紅葉し、街路樹や公園樹に利用されている。別名、トウハゼ』(唐櫨)。『種小名の sebifera は「脂肪のある」の意。別名』には『カンテラギ』(カンテラ木:「カンテラ」は油用灯火具の一種。ポルトガル語の「カンデラ」(candela:燭台)の転訛語で、オランダ語では、「カンデラール」(kandelaar)と言った。恐らく、南蛮文物として、その呼名とともに、実物も、早く、伝来したものと考えられる)。『和名ナンキンハゼは「中国のハゼノキ」の意で、中国原産から「南京」、ハゼは紅葉が埴輪』(はにわ)『の色に似ているので埴輪を作る工人である土師(はにし)が転訛したもので、ハゼノキ』(ムクロジ目ウルシ科ウルシ属ハゼノキ Toxicodendron succedaneum )『同様に種子から蝋の原料を採ったことに由来する』。『原産地は中国・台湾。人の手によって植栽され、公園や庭、道沿いなどで見られる。日本では、本州・四国・九州で見られる。関東地方以南では、街路や公園に植えられているものがみられる。トウダイグサ科』Euphorbiaceae『の植物は暖地産のものが多いが、紅葉が鮮やかなものが多い』。『落葉広葉樹の高木で、樹高は』八~十五『メートル』『になる。樹皮は灰褐色で、不規則に縦に裂け、荒れた肌合いを見せる。若木の樹皮は、裂け目の間に淡橙色の肌が見える。一年枝は細く、淡緑褐色で無毛である』。『葉は、丸みを帯びた菱形・三角状広卵形で、先端は尾状で尖る。葉には油分が多く、葉裏が白っぽく水をはじく。葉身の付け根にはいぼ状の蜜腺が』二『つある。秋には暖かい地方でも色鮮やかに紅葉し、赤色や黄色、紫色などが混じり、美しい。条件がよいと、紫色を経て鮮やかな赤色に色づく』。一『枚の葉でも複数の色がみられることが多い』。『開花時期は』六~七『月。雌雄同株。花色は黄色。雄花は長さ』六~十八『センチメートル』『の総状花序に多数つき、その葉腋に』一~三『個の雌花をつける』。『果実は秋、少し三角のかかった球形の蒴果を黒熟させ、裂開して』三『室ある果皮がとれて』三『個の白い種子を出す。種皮は黒色であるが、その表面は脂肪に富んだ白色の蝋状物質で覆われる。蒴果が裂開しても、種子は果皮から自然に離脱することはなく、紅葉期から落葉後まで長く樹上の枝先に残り、白い種子が非常によく目立つ。ムクドリ』(スズメ目ムクドリ科ムクドリ属ムクドリ Sturnus cineraceus 。博物誌は私の「和漢三才圖會第四十三 林禽類 椋鳥(むくどり) (ムクドリ)」を参照)『などの鳥類が』、『この種子を摂食し、蝋状物質を消化吸収して種子を排泄することで、種子分散が起こる』。『冬芽は枝に側芽が互生し、小さい三角形で伏生しており、芽鱗』二~四『枚に覆われている。冬芽の直下にある葉痕は半円形で、維管束痕が』三『個あり、両脇にかたくなった托葉が残る。仮頂芽は発達せず、枝先に枯れることが多い』。『なお、原生的な林が残る地域ではシカが好まない外来種の樹種として問題になっており、春日山原始林では成木が発見された場合には伐採されている』。『よく紅葉することから、庭木、街路樹、公園樹の用途で使われている。街路樹に使われるのは、公害に強いこともその理由のひとつになっている』。『種子からハゼノキ同様に蝋(ろう)や油がとれ、種子の油脂の烏臼油は、石鹸・蝋燭の原料や、薬用(腫物、皮膚病)とされる』。『根皮、果実は乾燥して、利尿剤、瀉下剤にする。これを』「烏臼」(ウキュウ)『という』。『長崎県長崎市、京都府京田辺市の市の木になっている』とある。なお、「維基百科」の当該種は「烏桕」には、詳細な分布について、『主要な分布は、黃河以南地方、北は陝西・甘肅に至る。現在は台灣・日本・ヴェトナム・インド等にも分布』し、『十八世紀にはアメリカに移植されている』とあった。学名のグーグル画像検索をリンクしておく。

 本篇の「本草綱目」の引用は、「卷三十五下」の「木之二」「喬木類」(「漢籍リポジトリ」)の「烏臼木(ガイド・ナンバー[086-44b]の以下)のパッチワークである。

「鵶臼《あきう》」「鵶」は「烏」に同じで、鳥綱スズメ目スズメ亜目カラス上科カラス科 Corvidae を総称する漢語である。

「氣虛」漢方医学で、「気が不足し、元気がない状態」を指す。具体的には、全身脱力・息切れ、元気がない、話したがらない、音声が低い、呼吸が浅いなどの症状を示し、脈は弱い。]

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