「神威怪異竒談」(「南路志」の「巻三十六」及び「巻三十七」)正規表現電子化注「巻三十六」 吉田甚六宅光物
[やぶちゃん注:凡例・その他は初回を見られたい。底本の本篇はここ。]
吉田甚六宅光物(ひかりもの)
「元祿十三年己卯(つちのとう)十月四日の夜、潮江村(うしほえむら)、吉田甚六、垣(かき)の下より、光物、出(いで)、一宮(いつく)をさして、飛(とび)ける。」
と也。
「初(はじめ)、其邊(そのあたり)、鳴る事、甚敷(はなはだしく)、牛の吼(ほゆ)るが如し。怪(あやし)みて見ける內(うち)、火玉(ひのたま)、出(いで)ける。其(その)音、雷(かみなり)の如く、照り渡(わたり)、數刻(すこく)の間(あひだ)、不消(きえざり)し。」
とかや。
「其火玉の出(いで)たる所、餘程、焦(こげ)ける。」
とぞ。
[やぶちゃん注:これは、所謂、「球電」と呼ばれる科学的には未だ解明されていない現象であろう。当該ウィキを参照されたい。
「元祿十三年己卯十月四日」元禄十三年は「庚辰(かのえたつ)」で元前年禄十二己卯年の誤りである。同年十月四日は、前月に閏九月があったため、グレゴリオ暦では一六九九年十一月十四日である。
「潮江村」(現代仮名遣「うしおえむら」)は高知市市内の鏡川(かがみがわ)河口南岸の地区で、浦戸(うらど)湾奥部の近世以来の干拓地である。「ひなたGPS」で示す。
「一宮」現在の高知市一宮(いっく)である。グーグル・マップ・データで、中央下に潮江地区を配し、そこから東北方向にあった一宮を右上に示した。]
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