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2024/08/14

「和漢三才圖會」植物部 卷第八十四 灌木類 巵子

 

Kutinasi

 

[やぶちゃん注:上部下方に巵子の普通の実二個で「赤色」のキャプション、左上方に実の「大なる者、色に染むべし」というキャプションがある。]

 

くちなし  木丹  越桃

      鮮支  梔【俗】

巵子

      花名薝蔔【佛書】

      【和名久知奈之】

     【巵酒噐此子

ツウ フウ    形象之故名】

 

本綱巵子南方及西蜀皆有之木髙七八尺葉如兔耳或

[やぶちゃん字注:「兔」は「兎」(うさぎ)の異体字。]

似李而厚深綠春榮秋瘁入夏開花六出白瓣黃蕋甚芬

香隨結實如訶子狀生青熟黃中仁深紅入藥宜用山巵

子皮薄而圓小刻房七稜至九稜者爲佳

伏尸巵子 形大而長入藥無力只可染色

紅巵子 蜀中有之其花爛紅色其實染物則赭紅色

 畫譜云有大花者有千葉者有福建矮樹梔子可愛髙

[やぶちゃん字注:「畫」は原本では同字の異体字の「グリフウィキ」のこれだが、表示出来ないので、「畫」とした。]

 不盈尺梅雨時隨手剪扦肥土俱活


さんしし

山梔子

山梔子【苦寒】瀉肺中火其用有四除心經客熱【一】也除煩

 燥【二】也去上焦虛熱【三】也治風【四】也瀉三焦之火及痞

 塊中火邪最清胃脘之血其性屈曲下行能降火從小

 便中泄去【非利小便乃清肺也肺清則化行而膀胱津液之府得此氣化而出也】

 凡治上焦中焦【連殻用之】治下焦【去殻洗黃漿炒用之】治血病【炒黒用】

  古今耳なしの山の口なしえてしかな思の色の下染にせん無名

△按梔子葉似茶葉花單者結子出於播州三木郡者良

 和州山州次之 千葉者名玉樓春而不結子葉似畨

[やぶちゃん注:」は「番」の古い字体であると、中文サイトにあったが、原本が「椒」に「タウカラシ」とルビを振るので、「蕃椒」の誤記であることが判ったので、訓読では「蕃椒」と訂した。

 椒葉而厚甚光澤或抽一莖生大葉似茶葉此一本而

 異葉者也植庭院人要均刈不長也福建矮梔之種乎

 

   *

 

くちなし  木丹《ぼくたん》  越桃《えつたう》

      鮮支《せんし》   梔《し》【俗。】

巵子

      花を「薝蔔《せんぷく》」と名づく【佛書。】。

      【和名、「久知奈之」。】

     【「巵《し》」は「酒の噐《うつは》」なり。

        此の子《み》の形、之≪れを≫象《かた

ツウ フウ  ど》る故《ゆゑ》、名づく。】

 

「本綱」に曰はく、『巵子《しし》、南方、及び西蜀《せいしよく》[やぶちゃん注:現在の四川省。]、皆、之の木、有り。髙さ、七、八尺。葉、兔《うさぎ》の耳のごとく、或いは、李《すもも》に似て、厚くして、深綠《ふかみどり》。春、榮へ、秋、瘁《おとろふ》。夏に入《いり》て、花を開く。六《むつつ》、出《いでて》、白き瓣《はなびら》、黃なる蕋《しべ》、甚だ芬《かぐはしき》香《かをり》なり。隨《ついで》、實を結ぶ。「訶子《かし》」の狀《かたちの》ごとく、生《わかき》は青く、熟《じゆくせ》ば、黃なり。中の仁《にん》、深紅なり。藥に入《いれて》、宜《よろしく》用ふべし。山巵《さんし/くちなし》≪の≫子《み》≪の≫皮、薄くして、圓《まろく》、小《ちいさし》、刻《きざめる》房《ばう》、七稜より九稜に至る者を、佳《か》と爲《す》。』≪と≫。

『伏尸巵子《ふくししし》』≪は≫、『形、大にして、長し。藥に入≪れども≫、力、無し。只、色を染《そむ》べし。』≪と≫。

『「紅巵子《こうしし》」は、『蜀中[やぶちゃん注:現在の四川省。]に、之れ、有り。其の花、爛紅色《らんこうしよく》。其の實、物を染《そむ》れば、則ち、赭紅色《しやこうしよく》なり。』≪と≫。』≪と≫。

「畫譜」に云はく、『大花の者、有り、千葉《やへ》[やぶちゃん注:東洋文庫のルビを採用した。]の者、有り。福建に「矮樹梔子(ちやぼ《しし》)」、有り、愛すべし。髙さ、尺盈(み)たず。梅雨(つゆ)の時、手に隨ひて、剪《きり》て、肥土《こえたるつち》に扦(さ)せば、俱に、活(つ)く。』≪と≫。

[やぶちゃん注:この「畫譜」の引用は、「本草綱目」の引用ではなく、良安によるものである。但し、次の「山梔子」の条は、再び、「本草綱目」からの引用である。


さんしし

山梔子

『山梔子【苦、寒。】肺中の火《くわ》を瀉す。其の用、四つ、有り。心經《しんけい》の客熱《かくねつ》を除く【一つ。】なり。煩燥《はんさう》を除く【二つ。】なり。上焦《じやうしやう》の虛熱を去る【三つ。】なり。風を治す【四つ。】なり。三焦の火、及び、痞塊《ひくわい》の中の火邪《きわじや》を瀉す。最も胃脘《いくわん》の血を清くし、其の性、屈曲・下行《げかう》して、能く、火を降《くだ》す。小便の中より泄(もら)し去《さる》【小便を利するに非ずして、乃(すなは)ち、肺を清くすればなり。肺、清ければ、則ち、化《くわ》、行はれて、膀胱≪の≫津液《しんえき》の府、此の氣の化を得て、出《いだす》なり。】。』≪と≫。

『凡そ、上焦・中焦を治するは【殻《から》と連《ともにして》、之れを用ふ。】。下焦を治するには【殻を去り、黃漿《わうしやう》にて洗ひ、炒りて、之れを用ふ。】。血病《けつびやう》を治するには、【炒≪りて≫黒≪きを≫用ふ。】。』≪と≫。

 「古今」

   耳なしの

    山の口なし

      えてしがな

     思ひの色の

      下染(したぞめ)にせん 無名

△按ずるに、梔子《くちなし》≪の≫葉、茶の葉に似、花≪の≫單《ひと》への者は、子を結ぶ。播州三木郡《みきのこほり》より出づる者、良し。和州・山州、之れに次ぐ。千葉の者を、「玉樓春《ぎよくらうしゆん》」と名づく。而≪れども≫、子を結ばず。葉、「蕃椒(たうがらし)」の葉に似て、厚く、甚だ、光澤《つや》≪ある≫なり。或いは、一莖を抽《ぬき》て、大葉を生ずること、茶の葉に似たり。此れ、≪根を≫一本にして、葉を異《こと》にする者なり。庭院《ていゐん》に植《うゑ》て、人、均《ひとし》く刈《かり》て、長ぜざることを要するなり。福建(ホクケン[やぶちゃん注:ママ。])の「矮梔(わいし)」の種《しゆ》か。

 

[やぶちゃん注:この「巵子」のタイプ種は、日中ともに、

双子葉植物綱リンドウ目アカネ科サンタンカ亜科クチナシ連クチナシ属クチナシ品種クチナシ Gardenia jasminoides f. grandiflora (以上は狭義。広義には Gardenia jasminoides

である。但し、本邦のウィキの「クチナシには以下の、

 j.var. grandiflora

 j.var. jasminoides

 j.var. ovalifolia

「コクチナシ」 G. j. var. radicans(本変種はサイト「植物写真鑑」の同種のページの「原産地」に『日本(千葉県以西)、中国南部、台湾、フィリピン、インドシナ』とあった)

四種の変種が挙げられており(他の三種が総て本邦に自生するかは調べていない)、「維基百科」の同種のウィキ「梔子花」(冒頭にGardenia jasminoides の学名を掲げている)の「品種」では、まず、

原変種 Gardenia jasminoides var. jasminoides

を掲げた後で、『さらに、果実の形状によって、二つのタイプに分け、

『長楕円型の果実で大きいグループを「水梔子」(すいしし)』

とし、

『卵球形型の前者に比較して小さいグループを「山梔子」(さんしし)』

と呼称している。而して、以下に、

変種「白蟾」 Gardenia jasminoides var. fortuniana (八重咲きの花で、実を結ばない)

品種「山黃梔」 Gardenia jasminides f. grandiflora 本邦の「クチナシ」と同種

変種「水梔子」 Gardenia jasminoides var. radicans 先に掲げた「コクチナシ」と同種

変種「大花梔子」 Gardenia jasminoides var. grandiflora

品種「長果梔子」 Gardenia jasminoides f. longicarpa

が挙げられてある。更に英文の同タイプ種のウィキでは、『中国では少なくとも 一千年前から栽培されて』いるとし、『クチナシは形態が非常に多様であり、特に葉・萼片・花冠の大きさは個体によって大きく異なる。このことから、中国では他国では認められていない幾つかの変種が記載されている』ともあり、その直後に、先の変種「白蟾」の記事が記されてある。

 以上を総合して推測するに、明代には、既に、多くの変種や品種が存在したと考えるのが自然であるから、或いは、現在の上に掲げた変種・品種が、既に「本草綱目」に姿を見せていると考えてもよいかとは思われる。邦文の当該ウィキを引く(注記号はカットした)。漢字表記は『梔子・山梔子』で、『常緑低木』。『庭先や鉢植えでよく見られる。乾燥果実は、生薬・漢方薬の原料(山梔子・梔子)となることをはじめ、着色料など様々な利用がある』。『和名クチナシの語源には諸説ある。果実が熟しても裂開しないため、口がない実の意味から「口無し」という説。また、上部に残る萼を口(クチ)、細かい種子のある果実を梨(ナシ)とし、クチのある梨の意味であるとする説。他にはクチナワナシ(クチナワ=ヘビ、ナシ=果実のなる木)、よってヘビくらいしか食べない果実をつける木という意味からクチナシに変化したという説もある』らしい。『漢名(中国植物名)は山梔(さんし)であり、日本では漢字で、ふつう「梔子」と書かれる』。『八重咲きの栽培品種が多く、属名の英語読みからガーデニアともよばれる。花にはジャスミンに似た強い芳香があり、学名の種小名jasminoidesはラテン語で「ジャスミンのような」という意味である』。『東アジアの朝鮮半島、中国、台湾、インドシナ半島に広く分布し、日本では本州の静岡県以西・四国・九州、南西諸島の森林に自生する。日なたから半日陰に生える。野生では山地の低木として自生するが、むしろ園芸用として栽培されることが多い』。『樹高』一~三『メートル』『ほどの常緑の低木で株立ちする』。『葉は対生で、時に三輪生となり、長楕円形で全縁、長さ』五『センチメートル 』『から』十二センチメートルで、『皮質で表面に強いつやがある。葉身には、並行に並ぶ筋状の葉脈が目立つ。筒状の托葉をもつ。枝先の芽は尖っている。古い葉は、春先や秋に鮮やかな黄色に黄葉して散るが、下のほうの葉のためあまり目立たない』。『花期は』六~七『月で、葉腋から短い柄を出し、一個ずつ芳香がある花を咲かせる。花の直径は』五~八センチメートル『で、開花当初は白色だが、徐々に黄色がかるように変化していく。萼、花冠の基部が筒状で、先は大きく』六『裂または』、五~七『に分かれる。花はふつう一重咲きである。八重咲きのものがあるが、実はならない』。『秋』(十~十一月頃)『に、赤黄色の果実をつける。果実は液果で、長さ約』二センチメートル『の長楕円形』で、『側面にはっきりした』五~七『本の稜が突き出ており、先端には』六『個の萼片が残り、開裂せず』、『針状についている。多肉の果皮の中に』九十~百『個ほどの種子が入っており、形は卵形や広楕円形をしている。液果は冬に熟す』。『スズメガに典型的な尻尾(尾角)をもつイモムシがつくが、これはオオスカシバの幼虫である。奄美大島以南の南西諸島に分布するイワカワシジミ(シジミチョウ科)の幼虫は、クチナシのつぼみや果実等を餌とする。クチナシの果実に穴が開いていることがあるが、これはイワカワシジミの幼虫が中に生息している』か『、または生息していた跡である』。『温暖地で』、『やや湿った半日陰を好む。繁殖は梅雨時期に挿し木にて行われる。冬期は、ビニール覆いをするなど、乾燥と寒さを防ぐ。種蒔で繁殖する場合は、実を潰して種子を取り出し、春か秋に蒔く』。『栽培されることが多く、庭や公園に植えたり、生け垣にもされる。品種改良により』、『バラのような八重咲きの品種も作り出されている。ヨーロッパでは、八重の大輪花など』、『園芸種の品種改良が盛んに行われてきた』。『果実は薬用になり、カロテン、イリノイド配糖体のゲニポシド、ゲニポシド酸、フラボノイドのガーデニンや、精油などを含んでいる。カロテンはプロビタミンAとも呼ばれ、人間の体内で吸収されてビタミンAに変化する。また、果実にはカロチノイドの一種・クロシンが含まれ、乾燥させた果実は古くから黄色の着色料として用いられた。また、同様に黄色の色素であるゲニピンは米糠に含まれるアミノ酸と化学反応を起こして発酵させることによって青色の着色料にもなる。花も食用になる』。『果実を水で煮だしたエキスには、胆管や腸管のせばまりを拡張させる作用があるといわれている。このゲニピンはクチナシのゲニポシドの腸内細菌代謝により生成されるとされる』。十 ~十一月頃に、『熟した果実を採取し』、二、三『分』、『熱湯に浸したあと、天日または陰干しで乾燥処理したものは、山梔子(さんしし)または梔子(しし)とも称され、日本薬局方にも収録された生薬の一つである。漢方では、消炎、利尿、止血、鎮静、鎮痙(痙攣を鎮める)の目的で処方に配剤されるが、単独で用いられることはない。煎じて解熱、黄疸などに用いられる。黄連解毒湯、竜胆瀉肝湯、温清飲、五淋散などの漢方方剤に使われる。民間療法では』、一『日量』二~三『グラムの乾燥果実を』四百『ccの水に入れて、とろ火で半量になるまで煎じて服用する用法が知られている』但し、『妊婦や、胃腸が冷えやすい人への服用は禁忌とされている』。『外用による民間療法では、打撲、捻挫や腰痛などに、乾燥果実(山梔子)』五、六『個の粉末(サンシシ末)に、同量の小麦粉を混ぜて酢で練り、ガーゼなどに厚く塗って冷湿布し、乾いたら交換するようにしておくと、熱を抑えて炎症が和らぐと言われる。これに、黄柏末(キハダ粉)を加えると、一層の効果があるとされる。ひび、しもやけには、熟した果実の皮をむき、患部にすり込む』。『奈良県の下池山古墳から出土した繊維片から、クチナシの色素成分が検出されるなど、日本における染色用色素としてのクチナシの利用は、遅くとも古墳時代にさかのぼる』。『乾燥果実の粉末は奈良時代から使われ、平安時代には十二単など衣装の染色で支子色と呼ばれた。江戸時代には「口無し」から不言色とも記されている』。『現代でも無害の天然色素として、正月料理の栗金団』(くりきんとん)『をはじめ、料理の着色料としても使われている。食品に用いられるものには、サツマイモや栗、和菓子、たくあんなどを黄色若しくは青色に染めるのに用いられる。大分県臼杵の郷土料理・黄飯や、静岡県藤枝の染飯(そめいい)も、色づけと香りづけにクチナシの実が利用される。また、木材の染料にしたり、繊維を染める染料にも用いられる。クチナシの果実に含まれる成分、クロシンはサフランの色素の成分でもある。一例として、インスタントラーメンの袋などの原材料名の記載欄に明記があれば、「クチナシ色素」と書かれている』。『クチナシの花は食用にもでき、萼を取り除いて軽く茹で、三杯酢や甘煮、ドレッシングの和え物などに調理できる。食用では、一重咲きと八重咲きのどちらも利用できる。黄飯(きいはん、おうはん、きめし)は、クチナシの実で色を付けた黄色い飯』で、『郷土料理』として、『愛知県名古屋市周辺』で「きいはん」、『大分県臼杵市』で、「おうはん」、』『静岡県東伊豆町稲取』で「きめし」と呼ばれている。『クチナシの花は、見た目の美しさと香りが抜群によいため、生け花の切り花として使われる』。『ジンチョウゲ、キンモクセイと並んで「三大芳香花」「三大芳香樹」「三大香木」の一つに数えられる植物で』、『多くの人が親しみを感じている植物であり、日本の多くの「市の花」に選ばれている』。また、『足つき将棋盤や碁盤の足の造形は、クチナシの稜のある果実を象っている。「打ち手は無言、第三者は勝負に口出し無用」、すなわち「口無し」という意味がこめられている』とあった。

 「本草綱目」の引用は、「漢籍リポジトリ」の「木之三」の「巵子」([088-22b]以下)のパッチワークである。

「越桃《えつたう》」「維基百科」の「梔子花」に、『中國春秋時期越國的封地,是以梔子花別稱「越桃」』とあった。

『花を「薝蔔《せんぷく》」と名づく【佛書。】』「日本国語大辞典」に「瞻蔔(せんふく)」で載り、『西域の香りのよい名花という。ふつう、クチナシの花に当てる。せんふくげ。』とし、初出例を私の好きな「日本靈異記」(にほんりょういき)の下から、「薝蔔の花は萎ると雖も、猶諸の花に勝れり」(真福寺本訓釈)と引いてあった。「大蔵経データベース」で「薝蔔」で検索したところ、実に百五十五件がヒットした。古いもので知られた経典では、「長阿含經」に載っている。

『「巵《し》」は「酒の噐《うつは》」なり。此の子《み》の形、之≪れを≫象《かたど》る故《ゆゑ》、名づく』「維基百科」の「梔子花」に、『本草綱目解釋梔子︰「卮,酒器也。卮子象之,故名,俗作梔。」』,『因其果實的形狀很像古代的一種盛酒的器具卮的緣故,而採用「卮」之俗字「梔」』とあった。

「訶子《かし》」双子葉植物綱バラ亜綱フトモモ目シクンシ科モモタマナ属ミロバラン Terminalia chebula 。英語“myrobalan”。別和名カリロク。英文の当該ウィキが詳しい。そこには、『南アジアと東南アジア全域に分布している。中国では雲南省西部を原産とし、福建省・広東省・広西チワン族自治区(南寧)・台湾(南投)で栽培されている』とあった。ミロバランの実の写真もある。まあ、この場合は、似ているな。

「畫譜」「八種畫譜」。明の黄鳳池の編。「唐詩五言画譜」・「新鐫六言唐詩画譜」・「唐詩七言画譜」・「梅竹蘭菊四譜」・「新鐫木本花鳥譜」・「新鐫草本花詩譜」・「唐六如画譜」・「選刻扇譜」から成る。

『福建に「矮樹梔子(ちやぼ《しし》)」、有り』不詳。

愛すべし。髙さ、尺盈(み)たず。梅雨(つゆ)の時、手に隨ひて、剪《きり》て、肥土《こえたるつち》に扦(さ)せば、俱に、活(つ)く。』≪と≫。

[やぶちゃん注:この「畫譜」の引用は、「本草綱目」の引用ではなく、良安によるものである。但し、次の「山梔子」の条は、再び、「本草綱目」からの引用である。

「心經《しんけい》」東洋文庫割注に、『(身体をめぐる十二経脈の一つ。手の少陰心経)』とある。

「客熱《かくねつ》」東洋文庫の後注に、『外部の侵入によっておこる発熱。』とする。

「煩燥」東洋文庫の後注に、『体内が苦しくいらいらしてもだえる。症状に虚実・寒熱のちがいがある。』とする。

「上焦《じやうしやう》」伝統中医学に於ける仮想の「六腑」の一つ「三焦」(さんしょう:「上焦」・「中焦」・「下焦」の三つからなり、「上焦」は「心臓の下、胃の上にあって飲食物を胃の中へ入れる器官で、心・肺を含み、その生理機能は呼吸や血脈を掌り、飲食物の栄養分(飲食水穀の精気)を全身に巡らし、全身の臓腑・組織を滋養する器官とされる」とされ、「中焦」は「胃の中脘(ちゅうかん:本来は当該部のツボ名)にあって消化器官」とされ、「下焦」は「膀胱の上にあって排泄をつかさどる器官」とされる。因みに、所謂、「病い、膏肓に入る。」の諺の「膏肓」とは、この「三焦」を指し、これらが人体の内、最も奥に存在し、漢方の処方も、そこを原因とする病いの場合、うまく届けることが困難であることから、医師も「匙を投げる」部位なのである。

「痞塊《ひくわい》」東洋文庫割注に、『(腹中のしこり)』とある。

「黃漿《わうしやう》」中国特有の黄土を溶かした水。

「古今」「耳なしの山の口なしえてしがな思ひの色の下染(したぞめ)にせん」「無名」「古今和歌集」の「卷十九 雜躰」の「よみ人しらず」の一首(一〇二六番)。「耳なしの山」は奈良盆地の南部に位置する奈良県橿原市にある「耳成山(みみなしやま)山」(標高百三十九・六メートル)。天香久山・畝傍山と並んで「大和三山」の一つを成し、最も北に位置する。ここ(グーグル・マップ・データ。以下同じ)。

「播州三木郡《みきのこほり》」現在の兵庫県三木市

「玉樓春《ぎよくらうしゆん》」不詳。

「蕃椒(たうがらし)」ナス目ナス科トウガラシ属トウガラシ Capsicum annuum 。確かに! 葉は、ちょっと似ているかも。

「福建(ホクケン)」現代中国音では「フゥーヂィェン」である。ネットで、閩南語を聴いてみたが、「ホッキェン」で近かった♡

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