「神威怪異竒談」(「南路志」の「巻三十六」及び「巻三十七」)正規表現電子化注「巻三十六」 享保十二未年大災
[やぶちゃん注:凡例・その他は初回を見られたい。底本の本篇はここ。]
享保十二未年(ひつじどし)大災(たいさい)
享保十二未年二月朔日(ついたち)、大火、御城(ごじやう)燒失(しやうしつ)、火本(ひもと)、越前町(えちぜんまち)、中程(なかほど)西側、伊㙒辺丈助(いのべじやうすけ)。
同二日、大火、丈助、南、鄕辰三郞(がうたつさぶらう)、土藏の家根(やね)より出火。
丈助・辰三郞兩家の間に、黑岩儀、平宅(ひらや)、有(あり)。兩日の大火に遁(のがれ)て、無恙(つつがな)し、とぞ。
[やぶちゃん注:この二日の火事は、前日の隣りの「伊㙒辺丈助」の家の出火の際、強い西風で煽られて(だから、高知城に延焼したのである)、火種の一部が、火災時に発生した火勢が起こした旋風に乗って、南方向に飛び火し、「鄕辰三郞」の「土藏」の屋根の瓦の間に落ち込み、時間をかけて、翌日、彼の家根下から、再度、燃え上がったものと思われる。間にあった「黑岩」の家は、平屋であったことが幸いして、火炎が高い位置で完全に飛び越して、幸いにも延焼を全く免れたのである。
「享保十二未年二月朔日」享保十二年丁未(ひのとひつじ)。グレゴリオ暦で一七二七年三月二十三日相当。
「越前町」高知城の西直近の高知市越前町(グーグル・マップ・データ)。]
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