「神威怪異竒談」(「南路志」の「巻三十六」及び「巻三十七」)正規表現電子化注「巻三十七」 小高坂森屋舖枕反
[やぶちゃん注:原書の解説や凡例・その他は初回を見られたい。今回の底本はここ。標題は「こだかさか、もりのやしき、まくらがへし」と訓じておく。]
小高坂森屋舖枕反
「胎謀記事」に云(いはく)、
『小髙坂、森の屋敷、
「黑田氏以前、東㙒金兵衞、被居(をられ)し。」
と云(いふ)。
其時分、座敷の内に「枕返し」をする間(ま)、有(あり)ける、と也(なり)。
出入する座頭を、試(こころみ)に寢させ、見居(みをり)たるに、夜半程に、枕を取(とり)て、
「くるり」
と、寢返り、北枕に成(なり)けるを、其身は不覺(おぼえず)と也(なり)。
我等、若年の時分、東㙒氏の物語を聞(きき)し。
東㙒氏の跡へ、黑田氏、居住(すみゐ)、又、其跡へ、生駒市郞太夫、被居し、その家、悉(ことごと)く、こぼちて、今は、小家原(こいへばら)と成(なり)ぬれば、其跡も、しれがたし。』。
[やぶちゃん注:「胎謀記事」国立国会図書館デジタルコレクションの「土佐名家系譜」(寺石正路著・昭和一七(一九三二)年高知県教育会刊)のここに、書名と引用が確認出来る。土佐藩史・地誌のようである。
「小高坂」現在の高知城西直近の小高坂地区(グーグル・マップ・データ)。「ひなたGPS」の戦前の地図で「小高坂」の地名を確認出来る。
「枕返し」私の「佐渡怪談藻鹽草 枕返しの事」の同注を参照されたい。
「小家原」「民草の小さな家居が散在する野原」の意であろう。]
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