「神威怪異竒談」(「南路志」の「巻三十六」及び「巻三十七」)正規表現電子化注「巻三十七」 土佐山郷廣瀨村洞穴
[やぶちゃん注:原書の解説や凡例・その他は初回を見られたい。今回の底本はここ。]
土佐山鄕廣瀨村洞穴
土佐山郷、廣瀨村の「日比原」・「大瀧」の中間に、岩穴、有(あり)。
穴の口、二間[やぶちゃん注:三・六四メートル。]斗(ばかり)、東向也。其下は大川の流(ながれ)にて、穴の深さ、廿間[やぶちゃん注:三十六・三六メートル。]余あり。
內(うち)は砂にて、三尺半斗の石壇、有(あり)。
上の面(めん)には灰の樣成(やうなる)物、有。
又、丸鏡(まるかがみ)二面、土器など、あり。
側(かたはら)に「腰掛石」といふあり。
何の世の事共(とも)、不知(しらず)。
里人は「大穴(おほあな)大明神」とて、九月廿一日を祭日に定め、來(きた)れり。
[やぶちゃん注:「土佐山郷廣瀨村」は思うに、現在の高知市土佐山弘瀬で、その北のピークに「大滝」山がある。而して、ここに同穴を有する「大穴峡(おおあなきょう)」があり、ここと考えられる。「日比原」の地名は「ひなたGPS」の国土地理院図で、「大穴峡」の大鏡川西下流直近に確認出来る。ストリートビューの画像では、ここ。但し、以上の本文は何らかの信仰のもとに人工的に作られたように記しているが、高知市の公式資料によれば、白く聳え立つ石灰岩の絶壁に、直径五メートル、奥行き十メートルほどの大穴があることからこの名があるとし、元来は掘られた人工物ではないようである。]
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