「神威怪異竒談」(「南路志」の「巻三十六」及び「巻三十七」)正規表現電子化注「巻三十六」 長濱村三平蘇生
[やぶちゃん注:凡例・その他は初回を見られたい。底本の本篇はここ。]
長濱村三平蘇生
先年、長濱(ながはま)、住居(すみをる)、橫田何某(なにがし)の家に、召仕(めしつかひ)の者、三平と云(いふ)者あり。
或時、傷寒(しやうかん)を煩ひ死(しし)ける故、日傭(ひやとひ)に云附(いひつけ)、長濱の砂原(すなはら)へ葬(はふり)ける。
良(やや)久(ひさしく)して後(のち)、三平、來りける。
家內の者は、夜更(よふけ)て、三平、來(きたり)ける故、
「幽霊也(なり)。」
とて、甚(はなはだ)、おぢけるに、
「幽霊に非らず、實(まこと)に蘇生したるもの也。一旦、熱にとぢられ、絕(たえ)たるを、砂の中へ埋(うづ)みたる故、熱、覚(さめ)て、蘓生(そせい)したる。」
と也(なり)。
[やぶちゃん注:「長濱村」現在の高知市長浜(グーグル・マップ・データ航空写真)。
「傷寒」急性の熱性疾患。]
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