「和漢三才圖會」植物部 卷第八十四 灌木類 枸𣏌
くこ 地骨 拘棘 苦𣏌
天精 甜菜 地仙
枸𣏌 枸檵 西王母杖
仙人杖 羊乳
却老【和名沼美久須里
ケ゚ウ キイ 俗云久古】
[やぶちゃん字注:「𣏌」は「杞」の異体字。以下同じ。]
本綱拘杞春生苗其莖幹高四五尺作叢此物小則刺多
大則刺少大者高𠀋餘其葉如石榴葉軟薄堪食六七月
生小紅紫花隨結紅實形微長如棗核【陝西及甘州之產爲上】甘州
者子圓如櫻桃暴乾緊小少核乾亦紅潤甘美如葡萄可
作果食異于他處者搾油㸃燈明目
苗葉【苦甘凉】 除煩益志補五勞七傷去皮膚骨節閒風消
熱毒散瘡腫作飮代茶
枸𣏌子【甘】 堅筋骨耐老除風去虛勞補精氣治心病心
痛腎病消中滋腎潤肺
四神丸【治腎經虛損眼病昏花或雲瞖遮睛】枸𣏌子一斤【好酒潤透】分作四分
四兩【用蜀椒一兩炒】四兩【用脂麻一兩】四兩【用小茴香一兩炒】四兩【用川棟肉一兩
[やぶちゃん字注:「棟」は「楝」の誤刻。訓読では訂した。]
炒】㨂出枸𣏌加熟地黃白术白茯苓【各一兩爲末】煉𮔉丸服用
[やぶちゃん字注:[やぶちゃん字注:「𮔉」は「蜜」の異体字。「术」は「朮」の異体字だが、紛らわしいので、訓読では正字の「朮」に代えた。「煉」は「グリフウィキ」のこれだが((つくり)が「東」)、表示出来ないので、「煉」とした(後も同じ)。以上の通り、本項では、(つくり)が「柬」であるべき異なった漢字が、悉く、「東」となっていることから、これは良安の誤りではなく、版の彫師が勝手にそうしてしまった可能性が大である。先行するものの多くはちゃんと「柬」となっているからである。]
ぢこつひ
地骨皮 枸𣏌根皮也
【似物形狀者爲上】
氣味【廿淡寒】 入足少陰手少陽經解有汗骨蒸肌熱瀉腎
[やぶちゃん注:「蒸」は底本では、「グリフウィキ」のこれだが、表示出来ないので、「蒸」で示した。]
火降肺中伏火退熱補正氣治吐血療金瘡凡下焦肝
腎虛熱者宜之
【世人伹知用黃岑黃連若寒以治上焦之火黃蘗知母苦寒以治下焦陰火謂之補陰降火久服致傷元氣而不知枸𣏌地骨皮甘寒平補使精氣𭀚而邪火自退之妙惜哉】
[やぶちゃん字注:「若」は「若い」のそれではなく、「苦」の異体字である。紛らわしいので、訓読文では、「苦」に代えた。「𭀚」は「充」の異体字。]
地仙丹 春采拘𣏌葉【名天精草】夏采花【名長生草】秋采子【名拘杞子】冬
采根【名地骨皮】並陰乾酒浸【一夜】晒露【四十九晝夜】待乾爲末煉
𮔉凡如彈丸大毎朝晚各用一丸細嚼以百沸湯下之
[やぶちゃん字注:「𮔉」は「蜜」の異体字。]
【伹無刺味甜者宜用有刺者服之無益】能除邪熱明目輕身一老人服之
壽百余行走如飛髮反黒齒更生陽事强徤
[やぶちゃん字注:「徤」「健」の異体字。]
△按枸𣏌【苟起二音俗云久古】地骨皮豫州今治之產良阿州次之
蔓拘𣏌 似蔓而枝靱垂如倭連翹樣其子多而大美
*
くこ 地骨《ぢこつ》 拘棘《くきよく》
苦𣏌《くき》 天精
甜菜《てんさい》 地仙《ちせん》
枸𣏌 枸檵《くけい》 西王母杖《さいわうぼぢやう》
仙人杖 羊乳《やうにゆう》
却老《きやくらう》
【和名、「沼美久須里《ぬみくすり》」、
ケ゚ウ キイ 俗、云ふ、「久古《くこ》」。】
[やぶちゃん字注:「𣏌」は「杞」の異体字。以下同じ。]
「本綱」に曰はく、『拘𣏌、春、苗《なへ》を生《しやうず》。其の莖・幹、高さ、四、五尺、叢《むらがり》を作《なす》。此の物、小きは、則ち、刺《とげ》、多く、大なる時は[やぶちゃん注:「時」は送り仮名にある。]、則ち、刺、少し。大≪なる≫者、高さ𠀋餘。其の葉、石榴《ざくろ》の葉のごとく、軟≪かにして≫薄《うすく》して、食ふに堪へたり。六、七月、小≪さき≫紅紫≪の≫花を生じ、隨《したがひ》て、紅《あかき》實を結ぶ。形、微《やや》長くして、棗《なつめ》の核《たね》のごとし【陝西《せんせい》、及び、甘州《かんしう》[やぶちゃん注:現在の甘粛省。]の產、上と爲《な》す。】。甘州の者は、子《み》、圓《まろ》く、「櫻桃(ゆすら)」のごとし。暴乾《さらしほ》≪せば≫、緊《しまりて》、小《ちいさく》≪なれり≫。核《たね》、少《すくなく》、乾《かはき》ても、亦、紅《くれなゐ》≪にして≫、潤《うるほひ》、甘美≪にして≫、葡萄のごとし。果《くだもの》と作《な》して食《くふ》。他處《よそ》の者に異《こと》な≪れ≫り。油を搾(しぼ)り、燈《ともしび》を㸃《ともし》、目を明《あきらか》にす。』≪と≫。
『苗葉《なへば》【苦甘、凉。】 煩《わづらひ》を除き、志《こころざし》を益し、五勞七傷を補《おぎな》ふ。皮膚・骨節の閒《かん》の風《ふう》を去り、熱毒を消し、瘡腫《さうしゆ》を散じ、飮《のみもの》と作《なして》、茶に代《か》ふ。』≪と≫。
『枸𣏌子《くこし》【甘。】』『筋骨を堅《かたく》し、老《おい》≪に≫耐《たえ》、風《かぜ》を除き、虛勞を去り、精氣を補し、心病・心痛・腎病≪の≫消中《しやうちゆう》を治す。腎を滋《やしなひ》、肺を潤《うるほ》す』≪と≫。
『「四神丸《ししんぐわん》」【腎經《じんけい》の虛損・眼病≪の≫昏花《こんくわ》、或いは、雲-瞖《かすみめ》≪して≫、睛《ひとみ》の遮《さへぎ》≪られし≫を治す。】。「枸𣏌子」一斤[やぶちゃん注:五百九十六・九二グラム。一斤は十六両(一両は三・六三グラム)相当。]【好き酒に潤透《よくひたす》。】≪を≫分《わけ》て、四分《しぶん》と作《な》し、四兩【「蜀椒《しよくしやう》」一兩を用ひて、炒る。】、四兩【「脂麻《しま》」を用ふること、一兩。】、四兩【「小茴香《しやうういきやう》」一兩を用ひて、炒る。】、四兩【「川楝《あふち》」の肉、一兩を用ひて、炒る。】。≪而して、≫枸𣏌を㨂出《えらびいだし》、加「熟地黃《じゆくぢわう》」・「白朮《びやくじゆつ》」・「白茯苓《びやくぶくりやう》」【各、一兩、末《まつ》と爲《な》す。】≪を≫、𮔉(みつ)[やぶちゃん注:砂糖を溶かしたもの。]に煉《ね》りて、丸《ぐわん》≪に≫して、服す。
ぢこつひ
地骨皮 枸𣏌の根の皮なり。[やぶちゃん注:これは良安の添え書き。]
『【物の形狀に似たる者、上と爲す。】』≪と≫。
『氣味【廿、淡寒。】』『足の少陰≪經≫・手の少陽經に入り、有汗《ゆうかん》≪の≫骨蒸《こつじよう》の肌熱《ひねつ》を解《かい》し、腎火《じんくわ》を瀉《しや》し、肺中《はいちゆう》の伏火《ふくくわ》を降《くだ》し、熱を退《しりぞ》き《✕→け》、正氣《しやうき》を補し、吐血を治し、金瘡《かなさう》を療ず。凡(すべ)て、下焦《げしやう》・肝腎の虛熱の者、之れ、宜《よろ》し。』≪と≫。
【世人《せじん》、伹《ただ》、「黃岑《わうごん》」・「黃連《わうれん》」の苦寒を用ひて、以つて、上焦の火《くわ》を治して、「黃蘗《わうばく》」・「知母《ちも》」の苦寒を以つて、下焦の陰火を治す。之れを、「補陰降火」と謂ひて、久しく服せば、元氣を傷《きず》つくることを致《いたす》≪といふ事となるは≫、知《し》んぬ。而≪れども≫、枸𣏌・地骨皮は、甘寒平補にして、精氣をして、𭀚《み》たし、邪火、自《おのづか》ら、退《しりぞ》くの妙≪あるを≫、知らず。惜しいかな。】[やぶちゃん字注:「𭀚」は「充」の異体字。なお、以上の割注は「本草綱目」にはなく、引用ではなくて、良安の薬方に附いての注意喚起を期した補正注記である。]
『地仙丹《ぢせんたん》』『春、拘𣏌の葉【「天精草《てんせいさう》」と名づく。】を采り、夏、花【「長生草《ちやうさせいさう》」と名づく。】を采り、秋、子《み》【「拘杞子《くこし》」と名づく。】を采り、冬、根【「地骨皮」と名づく。】を采る。並《いづれも》、陰乾《かげぼし》にして、酒に浸すこと【一夜。】、露《つゆ》≪に≫晒《さら》[やぶちゃん注:返り点はないが、かく読んだ。]すこと【四十九、晝夜。】、乾くを待ちて、末《まつ》と爲し、煉𮔉《ねりみつ》[やぶちゃん注:練り飴。]にて、凡そ、彈丸の大いさのごとく≪に成し≫、毎《まい》朝晚(あさばん)、各《かく》、一丸を用≪ふ≫。細《こまか》に嚼《か》み、「百沸湯《ひやくたうゆ》」[やぶちゃん注:何度も沸騰させた湯。]を以つて、之れを下《のみくだす》【伹《ただし》、刺《とげ》、無く、味、甜《あま》き者、宜しく用ふべし。刺、有る者、之れを服すも、益、無し。】。能く、邪熱を除き、目を明《あきらか》にし、身を輕くす。一老人、之れを服して、壽《よはひ》百余≪に至り≫、行≪き≫走≪ること≫、飛ぶがごとく、髮、黒に反《かへ》り、齒、更に生(は)へ、陽事[やぶちゃん注:精力。]、强徤なり。』≪と≫。
[やぶちゃん字注:「徤」「健」の異体字。]
△按ずるに、拘𣏌【「苟《ク》」・「起《キ》」の二音。俗に云ふ、「久古」。】・地骨皮、豫州[やぶちゃん注:「伊予國」。]今治の產、良し。阿州[やぶちゃん注:「阿波國」。]、之れに次ぐ。
蔓枸𣏌(つるくこ) 蔓《つる》に似て、枝、靱(しな)へ、垂れて、倭《わ》の連翹《れんぎやう》の樣《さま》のごとし。其の子《み》、多くして、大きく、美なり。
[やぶちゃん注:「枸𣏌」=「枸杞」は日中ともに、
双子葉植物綱ナス目ナス科クコ属クコ Lycium chinense
である(「維基百科」の「枸杞」も確認した)。当該ウィキを引く(注記号はカットした)。『東アジア原産のナス科クコ属の落葉低木。荒れ地などに見られ、夏から秋にかけて薄紫色の花を咲かせて、秋に赤い果実をつける。有用植物で、食用や薬用に利用される。北アメリカなどにも移入され、分布を広げている。別名、ウルフベリー』(wolfberry)・『ゴジベリー』(goji berry)。『中国植物名は枸杞(拼音: gǒuqǐ)』。『和名クコは、漢名に由来する。漢名(中国名)で「枸杞」と書き、中国の古書に「枸橘(カラタチ)』(日中同一。双子葉類植物綱ムクロジ目ミカン科カラタチ属カラタチ Citrus trifoliata )『のようなとげがあり、杞柳(コリヤナギ)のように枝がしなやかに伸びるので、枸杞と名付けられた」との記述がある』。『日本の地方により、アマトウガラシ、オニクコ、カラスナンバン、カワラホウズキ、キホウズキ、シコウメ、ノナンバンなどの方言名でも呼ばれている』。『英名のゴジベリーの名が逆輸入され、日本の園芸店でもゴジベリーの名で流通することも多い』。『日本全域(北海道・本州・四国・九州・沖縄)、朝鮮半島、中国、台湾に分布する。平地に分布し、山地には見られない』。『日当たりのよい原野、河川堤防、土手、海岸、市街地や農耕地帯の道ばたなどのやぶに自生しており、人の手が加わりやすく、高木が生えきれない環境によく生える。ある程度』、『湿り気のある水辺の砂地を好む。庭などで栽培もされる。日本では、土手や道ばたのやぶでよく見られるが、かつて一時の漢方薬ブームで頻繁に採取され、見かける数が少なくなった』。『高さ』一~二『メートル』『の落葉広葉樹の低木。暖地では半常緑化している。株元から茎が何本も立ち上がり、弓状に垂れ下がってやぶ状になる。茎は細長く伸びて直立せず、枝は長さ』一メートル『以上、太さは数ミリメートル 』から一『センチメートル』『ほどで、よく分枝して細くしなやかである』。三~四『月ころに芽吹き、枝には葉と、葉の付け根に』一~二センチメートル『程度の棘が互生する。葉身は、長さ』二~四センチメートル『程度の』、『やや先が尖った楕円形から倒披針形で、革質で縁がなめらかで、数枚ずつ集まるように枝から出る。垂直方向以外に地上にも匍匐茎を伸ばし、枝先が地に接すると発根して、同様の株を次々と作って繁茂する』。『葉は、長さ』二~四センチメートル『の倒披針形か長楕円形の全縁で、束生して数個が集まり、葉質は厚く、軟らかで無毛である。葉の付け根には、しばしばとげ状の小枝が生える』。『開花期は晩夏から秋』の七~十一月『で、葉腋から』一~四『個の細い花柄を出し、直径』一センチメートル『ほどの小さな薄紫色の花が咲く。花は鐘形で、花冠は』五『裂する。花から』五『本の長い雄しべが出て、目立つ』。『果実は液果で、花が終わると』、九『月ころに結実し、長径』一~二・五センチメートル『ほどの楕円形で、晩秋に橙紅色に熟す。果実の中に種子が』二十『個ほど入り、一つの種子の大きさは』二『ミリメートル』『弱ほどで、腎円形や楕円形で平たく、種皮は淡褐色で浅い網目模様があり、ざらつき感がある』。『性質は丈夫であり』、『月ころに、しばしばハムシの一種トホシクビボソハムシ』(有翅昆虫亜綱甲虫目カブトムシ亜目ハムシ科クビボソハムシ亜科クビボソハムシ属 Lema decempunctata )『の成虫や幼虫が葉を強く食害したり、何種類かのフシダニ(クコフシダニ』(鋏角亜門クモガタ綱フシダニ科アセリア属 Aceria kuko 他『)が葉裏に寄生して虫癭だらけになったりするが、それでもよく耐えて成長し、乾燥にも比較的強い。また、アブラムシ』(有翅亜綱半翅(カメムシ)目腹吻亜目アブラムシ上科 Aphidoidea に属する「アブラムシ」類でアリマキ(蟻牧)とも呼ぶ)『がついたり、うどんこ病』(子嚢菌門不整子嚢菌綱ウドンコカビ目ウドンコカビ科に属する「うどん粉病菌」。同菌は個々の対象植物体に特化している種が多い)『にかかることも多い』。クコは『一旦』、『定着すると匍匐茎を伸ばして増え続け、数年後には』、『まとまった群落となることが多い。挿し木で簡単に育つ』。『非常に有用な植物で、葉や果実が食用、茶料、果実酒、薬用などに、また根は漢方薬に用いられる。萌芽力が強くて剪定にも耐えるため、庭園樹や生け垣に利用されることがある。挿し木や株分けで、容易に繁殖することができる』。『赤く熟した果実には、ベタイン、ゼアキサンチン、フィサリンなどが含まれ、強壮作用があり、乾燥させたクコの実をホワイトリカーに漬けこんで健康酒としてクコ酒にするほか]、生食やドライフルーツでも利用される。薬膳として粥の具や杏仁豆腐のトッピングにもされる』。『また、柔らかい若葉も食用にされ、軽く茹でて水にとってアクを抜き、お浸し、和え物、油炒め、クコ飯、ポタージュ、佃煮や、生のまま汁の実、天ぷらに調理されたり、サラダや料理のトッピングに利用される。若葉の採取時期は、暖地が』四~五『月ごろ、寒冷地は』五~六『月ごろが適期とされる。アク抜きの際に、水にさらす時間が短いと、葉の色が茶褐色に変色する。若芽は茹でるとよい香りがして、コクのある味わいが楽しめる。成葉は天日で干してお茶代わりにする』。『クコの果実は枸杞子(くこし)、根皮は地骨皮(じこっぴ)、葉は枸杞葉(くこよう)という生薬である。ナガバクコ(学名: Lycium barbarum )も同様に生薬にされる。採取部により、三者三様の生薬名があるが、強壮薬としての効用は同じで、組み合わせで利用されている。葉は』六~八『月ころ、果実と根皮は秋に採取して、水洗いしたものを天日で乾燥させる。葉には、ベタイン、ベータ・シトステロールグルコシド、ルチンなどが含まれ、毛細血管を丈夫にする作用があるといわれる。根皮には、ベタイン、シトステソル、リノール酸などが含まれ、果実とともに滋養強壮の目的で漢方薬に配剤されている』。『民間では、果実、根皮、葉それぞれ』が『服用』されることが『知られている。果実は、食欲がなく下痢しやすい人に合わないことが多く、根皮・葉は冷え症の人に対して禁忌とされている』。『ワルファリンとの相互作用が報告されている。食品素材として利用する場合のヒトでの安全性・有効性については、信頼できるデータが見当たらない』。しかし、薬理効果としては、『血圧や血糖の低下作用、抗脂肪肝作用などがある。精神が萎えているのを強壮する作用もあるとされている。また、視力減退、腰や膝がだるい症状の人、乾燥性のカラ咳にもよいといわれている』。『地骨皮』は『抗炎症作用、解熱作用、強壮、高血圧低下作用などがある。清心蓮子飲(せいしんれんしいん)、滋陰至宝湯(じいんしほうとう)などの漢方方剤に配合される。クコ茶としても親しまれる。糖尿病で夜になると寝汗をかき、足の裏がほてる人によいともいわれている』。『枸杞葉』は『動脈硬化予防、血圧の低下作用などがある。茶料としてクコ茶にする』。以下、「食用」の項。『若芽、葉茎、果実のいずれも食用や果実酒とする。春』(四~六月)『の若芽は、先端の』十センチメートル『を摘み取って、茹でて水にさらし、和え物やお浸しにしたり、生のものをよく洗って天ぷらや炒め物、汁の実として調理される。夏から秋にかけての葉も食用にでき、茹でてお浸しや和え物、生のまま天ぷらにしたり、煮付けて炊いた飯に混ぜて、クコ飯にできる』。九~十『月ころのよく熟れた果実は、よく洗ってホワイトリカーに漬け込み、果実酒にする。葉や根は細かく刻んで乾燥させ、クコ茶として飲用する』。『また、スーパーフードとして商業的に販売されており、「食べる目薬」』(☜:本項で複数回示される効能である)『などと標榜されている』とあった。
なお、ウィキの「クコ属」を見たところ、「種」の「日本に分布する種」には、クコ以外には、一種、
アツバクコ(ハマクコ) Lycium sandwicense
挙げられているあるが、そこには、『小笠原の父島列島・母島列島・聟島列島、沖縄の北大東島・南大東島、ハワイ諸島に分布する』とあって、凡そ良安の知り得るフィールドではないので、除外してよい。
「本草綱目」の引用は、「漢籍リポジトリ」の「木之三」「灌木類」の「枸杞地骨皮」(並置標題)の非常に長い記載からのパッチワークである([088-50a]以下)。
「沼美久須里《ぬみくすり》」小学館「日本国語大辞典」によれば、「ぬみぐすり」「ぬみくすね」とし、『植物「くこ(枸杞)」の古名』とし、「十卷本和名類聚鈔」を初出とするが、別に植物の芍薬(ユキノシタ目ボタン科ボタン属シャクヤク Paeonia lactiflora 、或いは、その近縁種も含む)の古名ともする。
「石榴《ざくろ》」日中ともに、フトモモ目ミソハギ科ザクロ属ザクロ Punica granatum 。
「棗《なつめ》」バラ目クロウメモドキ科ナツメ属ナツメ Ziziphus jujuba var. inermis (南ヨーロッパ原産、或いは、中国北部の原産とも言われる。伝来は、奈良時代以前とされている。
「櫻桃(ゆすら)」前にも出たが、この良安の読みは――完全なるハズレ――であるので、注意。本邦で「ゆすら」と言った場合は、
×バラ目バラ科サクラ属ユスラウメ Prunus tomentosa(当該ウィキによれば、『中国北西部』・『朝鮮半島』・『モンゴル高原原産』であるが、『日本へは江戸時代初期にはすでに渡来して、主に庭木として栽培されていた』とある)
を指すが、中国語で「櫻桃」は、
○サクラ属カラミザクラ Cerasus pseudo-cerasus(唐実桜。当該ウィキによれば、『中国原産であり、実は食用になる。別名としてシナミザクラ』『(支那実桜)』・『シナノミザクラ』・『中国桜桃などの名前を持つ。おしべが長い。中国では』「櫻桃」『と呼ばれ』、『日本へは明治時代に中国から渡来した』とあるので、良安は知らない)
である。「維基百科」の「中國櫻桃」をリンクさせておく。
「油を搾(しぼ)り、燈《ともしび》を㸃《ともし》」クコの実の油を灯油に用いたという記載はネット上では見出せなかった。但し、多くの食用油でも高温で着火はするから、あり得ないことではないか。何時か、「クコの実油」を買ってきて、やってみるに若くはないか。
「煩《わづらひ》」東洋文庫に割注して『(熱気があって頭が痛む症)』とあった。調べたところ、これは「說文」に出ていた。
「志《こころざし》」精神・神経。
「五勞七傷」東洋文庫の後注に、『心労・肝労・脾労・肺労・腎労など五臓が疲労し、それによって陰寒・陰萎・裏急・精漏・精少・精清・小便苦尿の病症の出ること。』とあった。「裏急」は腹直筋の緊張が下腹部にまで及ぶ腹痛で、前に同訳で『しぶり腹』としていた。「精清」は精液が薄いことか。「小便苦尿」は排尿障害か。
「皮膚・骨節の閒《かん》の風《ふう》」これは広義のリウマチを指すものと思われる「消中《しやうちゆう》」東洋文庫の後注に、『便秘し、小便は黄赤になって頻尿になる。精血が傷つけられておこる。』とある。
「四神丸《ししんぐわん》」五行思想の四神に基づく命名である。「漢方と鍼灸 誠心堂薬局」公式サイトのここに「四神丸」があり、
*
効果効能 下痢、食欲不振、消化不良、腹痛、足腰のだるさ、四肢の冷え
配合生薬 肉豆蔲(ニクズク)、補骨脂(ホコツシ)、五味子(ゴミシ)、呉茱萸(ゴシュユ)
出典 《証治準縄》に記載がある。
方意と構成 脾と腎を温めて下痢を止める「二神丸」と、腸を温めて収斂させる「五味子散」を合わせたものが四神丸である。
脾腎を温めて益する補骨脂が主薬であり、同じく脾腎を温め下痢を止める肉豆蔲 <温腎暖脾・渋腸止瀉>、寒邪(冷えの病邪)や水湿を去る呉茱萸<温中散寒・除湿> 、収斂して下痢を止める五味子がこれを補佐する<酸斂固渋>。
*
とあったが、「配合生薬」は、各個、調べて見たが、孰れもクコ基原のものではない。というより、ここで時珍が挙げた基原植物は孰れも、厳密には、当てはまらない。古方か。
「腎經《じんけい》」足の少陰腎経。「翁鍼灸治療院」公式サイトのこちらによれば、『腎経は脾経の三陰交穴で交わるという説と』、『生理周期を月信と言い、この経穴が生理不順に有効的という意味の説もある』とあった。
「昏花《こんくわ》」東洋文庫の後注に、『熱毒で花弁のようなかげりが瞳に出て、視力のなくなること。』とある。
「蜀椒《しよくしやう》」双子葉植物綱ムクロジ目ミカン科サンショウ Zanthoxylum piperitum の果皮が「花椒」「蜀椒」と呼ばれて健胃・鎮痛・駆虫作用を持つ。日本薬局方ではサンショウ Zanthoxylum piperitum及び同属植物の成熟した果皮で種子を出来るだけ除去したものを生薬山椒としている。
「脂麻《しま》」現行の中国語ではシソ目ゴマ科ゴマ属 Sesamum を指す。
「小茴香《しやうういきやう》」セリ目セリ科ウイキョウ属ウイキョウ Foeniculum vulgare 。現在は英語の「フェンネル」(Fennel)の方が通りがよい。我が家の猫額庭にも二メートルにもなるものが鎮座ましましておる。食用には、ほぼ全草が用いられるが、薬用には果実が使用される。通常は「茴香」であるが、全く異なる、一般に中華料理で知られる「八角」=アウストロバイレヤ目 Austrobaileyalesマツブサ科シキミ属トウシキミ Illicium verum を「大茴香」と呼ぶことから、区別して「小茴香」とも呼ぶ。但し、ウィキの「トウシキミ」(唐樒)によれば、『トウシキミの果実は、ふつう』八『つの角をもつ星形をしているため八角とよばれ』、『また』、『その風味がアニス(セリ科)とも似ているため、スターアニス(star anise)ともよばれる』。『また』『、この風味はウイキョウ(茴香、セリ科)にも似ているため、果実または植物そのものは八角茴香』『や大茴香ともよばれる』。『ウイキョウやアニスは系統的にはトウシキミと縁遠いが、精油としてアネトール』(anethole:芳香族化合物の一種)『をもつ点で共通している』という点では、縁があるのである。
「川楝《あふち》」「楝」「おうち」は、日中ともに、
双子葉植物綱ムクロジ目センダン科センダン属センダン Melia azedarach var. subtripinnata
である。
但し、中国では、漢方薬の基原植物としては、同属の、
トウセンダン Melia toosendan
である。詳しくは、先行する「楝」を見られたいが、今回、「維基百科」の「苦楝」を精査したところ、「用途」の箇所に『稱川楝素(Toosendanin)』という記載を見出せた。
「熟地黃《じゆくぢわう》」生地黄を酒と一緒に蒸して作った生薬。但し、酒が含まれるため、性は寒が殺がれて温に近くなる。
「白朮《びやくじゆつ》」は中国原産で本邦には自生しない双子葉植物綱キク目キク科オケラ属オオバナオケラ Atractylodes macrocephala の根茎を乾したものを狭義の基原とする浙江省などで生産されるものを指す(草体の画像はサイト「東京生薬協会」の「季節の花(東京都薬用植物園)」の「オオバナオケラ」を見られたい)。ここはそれである。なお、本邦では、別に、日本の本州・四国・九州、及び、朝鮮半島・中国東北部に分布する同オケラ属オケラ Atractylodes lancea を基原とするものを、特に「和白朮」と呼ぶが(草体の画像は当該ウィキを参照)、現行では、この二種を一緒にして「白朮」と称している。効能は、主として水分の偏在・代謝異常を治す。従って、頻尿・多尿、逆に小便の出にくいものを治す、と漢方サイトにはあった。
「白茯苓《びやくぶくりやう》」「茯苓」は菌界担子菌門真正担子菌綱ヒダナシタケ目サルノコシカケ科ウォルフィポリア属マツホド Wolfiporia extensa を基原とした生薬名。ウィキの「マツホド」によれば、アカマツ(球果植物門マツ綱マツ目マツ科マツ属アカマツ Pinus densiflora)・クロマツ(マツ属クロマツ Pinus thunbergii)等のマツ属 Pinus の植物の根に寄生する。『菌核は伐採後』二~三『年経った切り株の地下』十五~三十センチメートルの『根っこに形成される。子実体は寄生した木の周辺に背着生し、細かい管孔が見られるが』(oso(おそ)氏のキノコ図鑑サイト「遅スギル」のこちらで画像で見られる)、『めったには現れず』、『球状の菌核のみが見つかることが多い』。『菌核の外層をほとんど取り除いたものを茯苓(ブクリョウ)と呼び、食用・薬用に利用される。天然ものしかなかった時代は、松の切り株の腐り具合から』、『見当をつけて』、『先の尖った鉄棒を突き刺し』、『地中に埋まっている茯苓を見つける「茯苓突き」と言う特殊な技能が必要だった。中国では昔から栽培されていたようだが』、一九八〇『年代頃より』、『おがくず培地に発生させた菌糸を種菌として榾木に植え付ける(シイタケなどの木材腐朽菌と同様の)栽培技術が確立され、市場に大量に流通するようになって価格も下がった。現在ではハウス栽培で大量生産されて』おり、『北京では茯苓を餅にしてアンコをくるんだ物が「茯苓餅」または「茯苓夾餅」の名で名物となっている。かつては宮廷でも食された高級菓子で、西太后も好物だったという。現在は北京市内のスーパーでも購入することができる』。『薬用の物では、雲南省に産する「雲苓」と呼ばれる天然品が有名であるが、天然物は希少であるため』、殆んど『見ることはできない』。『日本は』、『ほぼ全量を輸入に頼っていたが』、二〇一七年に『石狩市の農業法人が漢方薬メーカーの』「ツムラ」(「夕張ツムラ」)との『協力で、日本初となるハウス量産に成功した』とある。『菌核の外層をほとんど取り除いたものは茯苓(ブクリョウ)という生薬(日本薬局方に記載)で、利尿、鎮静作用等があ』り、『多くの漢方方剤に使われ』ているとあった。而して、「白茯苓」であるが、「ウチダ和漢薬」公式サイト内の「生薬の玉手箱」の「茯苓(ブクリョウ)」を見たところ(コンマを読点に代えた)、『茯苓は古来』、『「赤茯苓」と「白茯苓」の』二『種があったことが記されています。陶弘景が「赤は瀉し,白は補う」としたのが』、『その最初ですが、李時珍は「赤は血分に入り、白は気分に入るもので、それぞれ牡丹皮や芍薬の場合と同じ意義である」とし、薬効的にはそれほど大差はないと考えています。赤・白の差はおそらく肉質の色であると考えられますが、これについても未だ定説がないようです。実際の市場品には純白に近いものからかなり着色したものまであります。今後の研究が待たれます』とあった。
「物の形狀に似たる者」これは如何にも動物或いは人骨に形状が似た根の塊りの意であろう。
「足の少陰≪經≫」東洋文庫の割注に『(腎経)』とある。則ち、「足の少陰腎經」が正しいことになる。先行する「肉桂」の私の注を見られたい。
「手の少陽經」東洋文庫の後注に、『手の薬指からおこり腕を上って肩に行き、鎖骨上高から乳房の中間に行き、そこで心包』(しんぽう:漢方で言う心臓と、それらを取り巻く包括的なものを指す。一般に「心肺と関連するものは心包にあり」と言われる)『につながり、腹部に至って三焦』(既出既注だが、再掲すると、三焦(さんしょう:漢方医学で六腑の一つとされるものの、「三焦」に限っては、機能はあるが、特定の臓器形態を持たないとされる。現行の知見では「リンパ管」「リンパ系」が相似的対象と考えられている)の内、「上焦」は鳩尾(みぞおち)より上部の「心・肺」を、「中焦」は鳩尾から臍に至る、主として胃部にあたる部分で「脾・胃」を、「下焦」は臍から下の部位に当たり、腎・膀胱・大腸・小腸などを支配するとされる、漢方の全くの仮想臓器である)『に帰する。支脈は乳の間から鎖骨上高に行き、頂部に上り、そこから耳』の『後に達し、耳の上をまわって頰(ほお)から目の下に行く。もう一つの支脈は耳』の『後から耳中に入り、耳の前に出て頰に行き目尻に終る。足の少陰腎経は巻八十二肉桂の注』『参照』とある。最後の部分は前注のリンク先を見られたい。
「有汗《ゆうかん》」強い発汗を伴うことの意であろう。
「骨蒸《こつじよう》」東洋文庫の後注に、『骨蒸身体内部に熱があり、骨が蒸されるように感じる。結核の主要症状の一つ。』とある。
「腎火《じんくわ》」体内の火熱を冷ます機能が弱くなっているために、相対的に生じる内熱は「虚火」であり、これを「腎火」とも称する。
「黃岑《わうごん》」キク亜綱シソ目シソ科タツナミソウ属コガネバナ Scutellaria baicalensis の根の周皮を取り除き、乾燥させたもの。
「黃連《わうれん》」小型の多年生草本である、キンポウゲ目キンポウゲ科オウレン属オウレン Coptis japonica 及び同属のトウオウレン Coptis chinensis・Coptis deltoidea の根茎を乾燥させたもの。
「黃蘗《わうばく》」ムクロジ目ミカン科キハダ属キハダ変種キハダ Phellodendron amurense var. amurense 。先行する「黃蘗」の私の注を見られたい。
「知母《ちも》」単子葉植物綱キジカクシ目キジカクシ科リュウゼツラン亜科ハナスゲ属ハナスゲ Anemarrhena asphodeloides の根茎の生薬名「知母」。当該ウィキによれば、『中国東北部・河北などに自生する多年生草本』『で』、五~六『月頃に』、『白黄色から淡青紫色の花を咲かせる』。『根茎は知母(チモ)という生薬で日本薬局方に収録されている』。『消炎・解熱作用、鎮静作用、利尿作用などがある』。「消風散」・「桂芍知母湯」(ケいしゃくちもとう)・「酸棗仁湯」(さんそうにんとう)『などの漢方方剤に配合される』とある。
「齒、更に生(は)へ」、前の歯が抜けた結果、それまで押さえつけられて、出てこれなかった「親知らず」が、すんなりと生えてきただけのことであろう。たまたま、先般、公開した『「神威怪異竒談」(「南路志」の「巻三十六」及び「巻三十七」)正規表現電子化注「巻三十六」 長岡郡山田村與樂寺住持之歯』で同じ見解を示した。
「蔓枸𣏌(つるくこ)」クコの個体の内、蔓状に枝が茂っている(よく地面を這っている個体を見かける)ものを言っているに過ぎない。
「連翹《れんぎやう》」本邦で言うシソ目モクセイ科Forsythieae連レンギョウ属レンギョウ Forsythia suspensa は、中国原産で、江戸初期に植物体は渡来している。しかし、中国の漢方生薬「連翹」の基原植物は、一般には、中国原産の同属シナレンギョウ Forsythia viridissima の成熟果実を、一度、蒸気を通したのち、天日で乾燥したものを指すとされる。生薬扱いしたのは、良安がわざわざ「倭の連翹」と言っているからで、実際の植物体としてのシナレンギョウを見ていないから、かく言わざるを得ない、ということは、当然、植物体ではなく、加工された果実の生薬としての生薬体で比較していると、とるしかないのである(シナレンギョウの日本への渡来は大正末期である)。では、日本に在来種のレンギョウ属はいないかというと、中国地方の、代表的なカルスト台地である岡山県北西部の阿哲台(あてつだい:深草縁夫氏のサイト「日本すきま漫遊記」の「岡山・水車と鍾乳洞を巡る(6日目)」に載る地図を見られたい)、広島県北東部の帝釈台(阿哲台の南西にある広島県庄原市東城町(とうじょうちょう)帝釈未渡(たいしゃくみど:グーグル・マップ・データ)にある)といった石灰岩地の岩場などに選択的に植生するヤマトレンギョウ Forsythia japonica と、小豆島のみに植生するショウドシマレンギョウの二種があるのであるが、孰れも、現在、絶滅危惧種に指定されている。私は、良安が言っているものが、正規の在来種の分布が非常に限定されているヤマトレンギョウやショウドシマレンギョウであるとは思えないのである。少なくとも、この在来種二種を良安が実際に現認したとは、私には、まず、絶対に思えない。但し、以上の記載で最も参考にさせて戴いた「公益社団法人日本薬学会」公式サイト内の「シナレンギョウ」のページには、全く異なる基原植物説の追加記載があって、『中国の古い本草書には「湿り気のあるところに生育している草本植物」との記載があることから,連翹はオトギリソウ科のオトギリソウやトモエソウの仲間を指すという説もあります』とあることを言い添えておく。オトギリソウは、キントラノオ目オトギリソウ科オトギリソウ属オトギリソウ Hypericum erectum であり、トモエソウは、同じオトギリソウ属トモエソウ Hypericum ascyron である。なお、以上の記載には、別にサイト「Arboretum」の「ヤマトレンギョウ」のページも参考にした。]
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