「神威怪異竒談」(「南路志」の「巻三十六」及び「巻三十七」)正規表現電子化注「巻三十六」 同 奇怪
[やぶちゃん注:凡例・その他は初回を見られたい。底本の本篇はここから。前篇の同ロケーションで直続き。]
同(おなじく) 奇怪
或(ある)人、㙒根山にて、極月(ごくげつ)[やぶちゃん注:旧暦十二月。]廿日(はつか)、小鳥打(ことりうち)に山中を徘徊せしが、小鳥も、此日(このひ)者(は)、不見(みえず)。
山(やま)、深く、入(いり)しに、女(をんな)壹人(ひとり)、木賊色(とくさいろ)の打掛(うちかけ)して、轉鄕(あちら、むかひ)て、立(たち)たり。
『是(これ)ぞ、『山姬(やまひめ)』ならん。』
とて、見捨(みすて)て、かへりし、と也。
[やぶちゃん注:「木賊色」木賊(維管束植物門大葉植物亜門 Euphyllophytina 大葉シダ植物綱 Polypodiopsida トクサ亜綱トクサ目トクサ科トクサ属トクサ Equisetum hyemale )の茎のような黒、或いは、青みがかった濃い緑色。
「山姬」「山女(やまをんな)」とも。本邦の山中に住む女の妖怪。人の血を吸って死に至らしめるなどの言い伝えなどが全国各地に広く残る。ウィキの「山姫」にやや詳しく載る。]
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