「神威怪異竒談」(「南路志」の「巻三十六」及び「巻三十七」)正規表現電子化注「巻三十六」 潮江村天滿宮牽牛之繪馬
[やぶちゃん注:凡例・その他は初回を見られたい。底本の本篇はここ。「鰐口(わにぐち)」は私の『「和漢三才圖會」卷第十九「神祭」の内の「鰐口」』を参照されたい。「潮江村(うしほえむら)」(現代仮名遣「うしおえむら」)は既出既注だが、再掲すると、高知市市内の鏡川(かがみがわ)河口南岸の地区で、浦戸(うらど)湾奥部の近世以来の干拓地である。「ひなたGPS」で示しておく。「天滿宮」は複数回既出の「眞如寺」が、東に動かして寺を建てた、現在の「潮江天満宮」(グーグル・マップ・データ)のことである。]
潮江村天滿宮牽牛之繪馬
潮江村、天滿宮に、牽牛・織女の繪馬、有(あり)。
此繪馬の訳(わけ)は、天滿屋何某(なにがし)といふ者、銀五百目を失ひぬ。店に有(あり)ける銀なれば、
「手代(てだい)の業(わざ)にもや。」
と、疑ひける。
手代も、訳、立(たて)がたく、其夜(そのよる)より、天神宮へ、通夜(つや)し、七日(なぬか)に及(および)ける。
夜(よる)も、宵より參籠(さんろう)し、朝(あした)、下向(げかう)の時、門(かど)に、水溜桶(みづためをけ)、有(あり)て、上に、竹の簀(すのこ)を置(おき)、石を、其上(そのうへ)にのせて有(あり)しを、取散(とりちら)し有(あり)ければ、不審に思ひ、立寄(たちより)見れば、桶の中へ、五百目、封のまゝ、入有(いれあり)し、とぞ。
[やぶちゃん注:尻切れ蜻蛉である。思うに、疑われた手代が無実の罪を晴らして呉れたということで、絵馬を奉納したというのだろうが、何故、それが牽牛・織女の絵馬なのか、判然としないからである。]
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