葡萄畑の葡萄作り ジユウル・ルナアル 岸田國士譯( LE VIGNERON DANS SA VIGNE 1894 Jule Renard) 戦前初版 天牛蟲(かみきりむし)
[やぶちゃん注:底本・凡例等は初回を見られたい。本篇はここ。]
天 牛 蟲(かみきりむし)
此の蟲の觸角は馬鹿に長い。此の本の中に挾んで置かうと思ふと、それを胴の方に曲げなければならない。
[やぶちやん注:「博物誌」には、ない。臨川書店一九九五年刊の「ジュール・ルナール全集」第四巻の「葡萄畑の葡萄作り」の末尾には先の「雄鷄」以降については『『博物誌』(第5巻所収)にそのまま収録されているので、ここではタイトルだけあげておく。』とし、揭げたタイトルの中には「カミキリ虫」というのが含まれている。しかし、当該第五巻の「博物誌」にも、その注にも、また第五巻のその他にも、「天牛蟲(かみきりむし)」に相当するものは所収していない。摩訶不思議と言わざるを得ない。ルナールがカットしたものらしい。原文を示しておく。
*
LE CAPRICORNE
Cet insecte a les antennes si longues, que pour le mettre dans ce livre, il faut les lui rabattre sur le côté !
*
この“capricorne”(音写「キャプリコォロン」)という単語はフランス語では、一般的な第一義はカミキリムシ類(ギリシャ語で「長い触角を持つ虫」が語源)を指し、第二義でアジア産のカモシカ、更に第三義では、星座十二宮の「山羊(やぎ)座」を指す。但し、この単語では、特定種を指すことはできないので、鞘翅(コウチュウ)目多食(カブトムシ)亜目ハムシ上科カミキリムシ科 Cerambycidae どまりである。]
« 葡萄畑の葡萄作り ジユウル・ルナアル 岸田國士譯( LE VIGNERON DANS SA VIGNE 1894 Jule Renard) 戦前初版 螢 | トップページ | 「神威怪異竒談」(「南路志」の「巻三十六」及び「巻三十七」)正規表現電子化注「巻三十六」 長濱村三平蘇生 »