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2024/09/16

「神威怪異竒談」(「南路志」の「巻三十六」及び「巻三十七」)正規表現電子化注「巻三十六」 宝暦六年赤氣

[やぶちゃん注:凡例・その他は初回を見られたい。底本の本篇はここ。この条、横罫外に頭書(かしらがき)して、『可削』(「削るべし」)とある。]

 

      宝暦六年赤氣

 

 宝暦六年十月戌刻(いぬのこく)頃、赤氣(せきき)、髙知ゟ(より)子丑(ねうし)の方(かた)に當り、山を打越(うちこし)、一面に赤く、其中に篠(しの)を何百も立並(ててなら)べたる如く、赤筋(あかすぢ)、有(あり)て、自然(おのづ)と消(きゆ)る。

「東國・西國、見る所、同じ。」

と、いへり。此年、江戶大火、外に別事なかりし。

 

[やぶちゃん注:「宝暦六年」「子年十月戌刻頃」宝暦六年丙子(ひのえね)で、グレゴリオ暦では一七五六年。同旧暦同年十月一日は十月二十四日相当で、この月は大の月で旧暦十月三十日は十一月二十一日相当である。「戌刻」は午後七時から八時まで。しかし、一ヶ月もの間、毎夜、この異様な赤光(しゃっこう)現象が起こることは、まず、あり得ないから(あれば、公的記録に必ず載る。しかも、後二「東國・西國、見る所、同じ」とあり、この記載が事実ならば、本州・四国・九州全域の広域で確認されたということを意味するが、それなら、ごっそり各地で記されていなければならないが、そのような同時多発的な広域での目撃記録は見出せない)、日付、或いは、数日間の日付が示されていないのは、この手の記載としては、価値が認められない。その辺りが、頭書の「可削」となっているものと思う。私が筆者なら、確実に採用しない。

「赤氣」は現代仮名遣「せっき」と読み、空に現れる赤色の雲気。天体現象としては、彗星やオーロラとされ、また、別に、地震の先触れとしての発光現象(一説に地殻変動により地中で発生した電気の放電によるものともされるが、解明されてはいない。よく知られる直近のものは、一九九五年一月十七日に発生した阪神淡路大震災で、直前に夜間発光現象の目撃情報がある)ともされる。オーロラのそれらしい本邦の最古の記載は「日本書紀」で、「卷第二十二推古天皇紀」に「十二月庚寅朔、天有赤氣、長一丈餘、形似雉尾。」とある。私のブログ記事では、「赤氣」を語った怪奇談が複数あるが、纏まった優れた記事は、まず、「甲子夜話卷二十 29 壬午年白氣の事幷圖 / 甲子夜話卷二十 37 壬午の秋夜、赤氣の圖」を嚆矢とする。そこでは、まず、「白氣」現象が発生、それを「壬午九月十四日」(文政五年/グレゴリオ暦一八二二年十月二十八日)とし、僅か八日後の文政五年九月二十二日(グレゴリオ暦一八二二年十一月五日)に「赤氣」が発生したことを観察したもので、静山自筆のスケッチも添えてある。これは、オーロラ現象とまず採れるが、この一八二二年には、かのハレー彗星に次いで周期彗星と断定された「エンケ彗星」(Comet Encke)が、この五カ月前の六月二日、シドニー天文台で観測されている。纏まったもので最もお薦めなのは、ズバり、『柴田宵曲 妖異博物館 「赤氣」』である。天文論文も幾つか見たが、この宝暦六(一八八二)年のオーロラ現象記録は確認出来なかった。但し、「国立極地研究所」公式サイト内の『日本の古典籍中の「赤気」(オーロラ)の記載から発見された宇宙変動パターンの周期性と人々の反応に関する記述』の中の、『図2. 過去1400年の日本史を通して「赤気」のイベント数を示した図』』(棒グラフ)を見て戴きたいが、まさに1700年から1800年にかけて日本史上では、二番目のピークが示されていることから、本篇の記載はイカサマではないと考えてよい。なお、有名な「ハレー彗星」があるが、それが接近したのは、一七五九年で、三年もずれており、違う。オーロラ現象と見てよかろう。先年も、北海道で目撃されている。

「子丑の方」北北東。

「篠(しの)」篠竹。スズダケ、アズマネザサなどの、細い竹や笹の俗称。

「此年、江戶大火」まず、「宝暦の大火」という大規模な江戸の火災災害はない。この年の知られた江戸の火事は、宝暦六年十一月二十三日(グレゴリオ暦一七五六年一二月十四日)に連続して発生した「大学火事」と「青山六道火事」の連続大火のことである。詳しくは、サイト「防災情報新聞」の「周年災害」の『○江戸宝暦612月「大学火事、青山六道火事」と連続大火、火元落首で皮肉られる(260年前)』を見られたい。]

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