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2024/09/03

「和漢三才圖會」植物部 卷第八十四 灌木類 馬醉木

 

Asebi

[やぶちゃん注:この絵、花の描き方が如何にも下手である。] 

 

あせぼのき

      阿世美

馬醉木  俗云阿世保

 

あせみ

 

△按馬醉木生山谷高者二三𠀋小者一二尺皆枝葉茂

 盛其葉狹長微鋸齒淺綠色硬而攅生於枝椏九十月

 出花芽春開小白花作房結子亦作房一子中細子多

 人家庭砌植之以賞四時不凋相傳馬食此葉則醉故名

                          俊賴

  取つなけ玉田橫野のはなれ駒つゝしかけたにあせみ花さく

[やぶちゃん注:最後の一首は、下句に誤りがあり、「つつしのしたにあせみさきけり」が正しい。訓読では訂した。]

 

   *

 

あせぼのき

      阿世美《あせび》

馬醉木  俗に云ふ、「阿世保《あせぼ》」。

 

あせみ

 

△按ずるに、馬醉木《あせび》は、山谷に生ず。高き者、二、三𠀋、小《ちさ》き者、一、二尺。皆、枝葉、茂≪り≫、盛≪んなり≫。其の葉、狹長《さなが》≪にして≫、微《やや》、鋸齒≪ありて≫、淺綠色。硬(こは)くして、枝椏《えだまた》に攅生《さんせい》す[やぶちゃん注:群生する。]。九、十月、花芽(《はな》め)を出《いだ》す。春、小≪さき≫白≪き≫花を開き、房を作≪なし≫、子《み》を結ぶ。亦、房≪ふさ≫を作《つくり》、一≪つの≫子《み》の中≪に≫、細≪かなる≫子《たね》、多≪し≫。人家≪の≫庭-砌《にはさき》に、之れを植《うゑ》て、以つて、賞す。四時、凋まず。相《あひ》傳ふ、「馬、此の葉を食へば、則ち、醉《ゑ》ふ。故に名づく。」≪と≫。

                    俊賴

  取りつなげ

   玉田(たまだ)橫野(よこの)の

       はなれ駒(ごま)

     つゝじのしたに

           あせ

みさきけり

 

[やぶちゃん注:本種は私の好きな樹である(なぜ好きなのかは、よく判らないが、あの一見豊かに見える花房を触ると、思いの外、軽くカサカサして虚ろな感じがするギャップにネガティヴに惹かれるとだけ言っておこう)、

双子葉植物綱ツツジ目ツツジ科スノキ(酢の木)亜科ネジキ(捻木・捩木)連アセビ(馬酔木)属アセビ亜属アセビ亜種アセビ Pieris japonica subsp. japonica

である。当該ウィキを引く(注記号はカットした)。『常緑性の低木である。別名アシビ。本州・四国・九州に自生し、観賞用に植栽もされる場合もある。有毒植物』。『和名「アセビ」は漢字で「馬酔木」と書き、葉にグラヤノトキシンⅠ(GrayanotoxinⅠ:別名「アセボトキシン」(Asebotoxin)。当該ウィキによれば、『レンゲツツジ、アセビ、ネジキなどのツツジ科の植物の全草に含まれている。日本産のハナヒリノキ』(ツツジ目ツツジ科イワナンテン属ハナキリノキ(嚏の木)Leucothoe grayana )『から発見・命名された』。『グラヤノトキシンは細胞膜上のNaイオンチャネルに結合して興奮と脱分極を継続させ、カルシウムイオンを流入させるため』、『骨格筋や心筋の収縮を強め、結果』、『期外収縮などを起こす。迷走神経を刺激した後に麻痺させる作用も持つ』。『ホツツジ』(本邦の北海道南部・本州・四国・九州に普通に分布するツツジ科ホツツジ属ホツツジ Elliottia paniculata )『などの蜜に含まれるグラヤノトキシンが蜂蜜から検出されることがあり、問題となっている。このことはギリシャ・ローマ時代から知られており、大プリニウス、ストラボン、クセノフォンらは著書の中で』、『ツツジ属植物の蜜に由来する蜂蜜による中毒を記録に残している』。『また、上記の含有する植物を食べることによる家畜の中毒死も問題となる』とある)などの有毒成分が含まれることから、ウマが葉を食べれば毒に当たって苦しみ、酔うが如くにふらつくようになる木というところからついたとされる。「馬酔木」はアセビを指す漢字名として定着しているが、本来は別の植物だともいう説もある』。『別名で、アシビ、アセボともよばれる。アシビは古名の一つで、一説では「悪し実」ではないかとされる。地方名でヒガンノキともよばれており、春彼岸のころにアセビが花盛りで、仏前の供花にもされることに由来する』。『学名の属名 Pieris(ピエリス)は、ギリシャ神話に登場する詩の女神の名前である』。『アセビは日本列島の本州(山形県以西)、四国、九州や、中国に分布する』(中文名は簡体字で「马醉木」で同じ)。『主に山地に自生する。やや乾燥した環境を好む。庭にも植えられる』。『有毒植物であり、葉に限らず、全体に有毒成分が含有される。このため、多くの草食動物はアセビを食べるのを避け、食べ残される。そのため、草食動物の多い地域では、この木が目立って多く生育している場合がある』。『アセビが不自然なほど多い地域は、草食獣による食害が多いことを疑うこともできる。例えば、奈良公園や春日山では、ニホンジカが他の木を食べ、この木を食べないため、アセビが相対的に多く見られる』。『常緑広葉樹の低木から小高木で、樹高は』一・五~五『メートル』『ほどになる。自生するものは』、『かなり大きいものもあり、樹齢』百『年から』二百『年になる老木も多く見られる。樹皮は褐色で、縦に細く裂けて』、『やや』、『ねじれ、ネジキに似る。若枝は緑色で、はじめのうちは毛があるが、のちに無毛となる』。『葉は枝の先に束になって互生し、長さ』三~八『センチメートル』『の長楕円形から倒披針形で、葉縁には鋸歯がある。葉身は深緑色で厚い革質、表面に艶がある。芽吹きは赤く映えてよく目立つ』。『花期は早春から晩春』(三~五月)で、『早春になると枝先に』十センチメートル『ほどの房になった円錐花序を垂らし、白い壷状の花を』、『多数』、『咲かせる。花は長さ』五~六『ミリメートル』『ほど。雄蕊は』十『本で』、二『個の角を持ち』、『毛深い。なお、園芸品種には、ピンクの花を付けるアケボノアセビ(ベニバナアセビ)』( Pieris japonica f. rosea )、『花が上向きに咲くものにウケザキアセビ』( Pieris japonica f. antrosa )『がある』。『果期は秋』(九~十一月)。『果実は直径』五~六ミリメートル『の偏球形で、秋に熟す。実や葉は有毒である』。『冬芽は枝先に穂状につく。花芽は穂状で花期が近づくと目立ってくる。葉芽は卵形や円錐形で、多数の芽鱗に包まれている。葉痕は円形で維管束痕が』一『個見える』。『アセビは、日本で庭木、公園樹として植栽されるほかに、花を咲かせる盆栽としても利用される。常緑の灌木で垂れる花房が美しく、虫がつかないことから庭園の植栽樹として重宝されている。暖かい地域では、道路の中央分離帯の植栽樹に使われることがある』。『また、アセビが有毒植物である事を利用し、その葉を煎じてその液を植物に撒いて殺虫剤として利用されている。古くは葉の煎汁がシラミ、ウジ、菜園の虫退治に用いられた。そこで、アセビの殺虫効果を、自然農薬として利用する試みもなされている』。『アセビの有毒成分として、グラヤノトキシンI(旧名アセボトキシン・アンドロメドトキシン)、アセボプルプリン、アセボインが挙げられる。中毒症状は、血圧低下、腹痛、下痢、嘔吐、呼吸麻痺、神経麻痺が挙げられる』。『なお、ニホンジカが忌避する植物であるため、シカの生息密度が高く食害を受け易い森林では、アセビをシキミ』(樒:アウストロバイレヤ目 Austrobaileyalesマツブサ科シキミ属シキミ Illicium anisatum 。シキミは全植物体に強い毒性があり、中でも種子には強い神経毒を有するアニサチン(anisatin)が多く含まれ、誤食すると死亡する可能性もある。シキミの実は植物類では、唯一、「毒物及び劇物取締法」により、「劇物」に指定されている)『など共に混植する試みが行われた事例も有る』。「万葉集」『にも』『アセビを詠んだ歌が』十首あり、『山の枕詞である「あしびきの」がアセビ(あしび)と結びつけられて論じられて』おり、『日本人が古くから親しんできた木で』、『アセビの花を愛でた歌人の面影を示す歌が多く』、「万葉集」の成立した奈良時代末期ごろまでには、庭園にアセビが植栽されて観賞されていたとみられている』。以下、「万葉集」より二首。独自に校訂した。

   *

磯の上(うへ)に生(お)ふる馬醉木(あしび)を手折(たを)らめど見すべき君がありと言はなくに

(卷第二・百六六番/大津皇子の遺体を葛城(かづらき)の二上山(ふたかみやま)に改葬した時に、大伯皇女(おおくのひめみこ)が悲しんで作った二首の二首目)

   *

池水に影さえ見えて咲きにほふ馬醉木の花を袖(そで)に扱入(こき)れな

(卷第二十・四五一二番/大伴家持)

   *

以下、「アセビ属」の種十種が列記されるが、見るに、ここには必要がないと判断し、カットした。

「取りつなげ」「玉田(たまだ)橫野(よこの)のはなれ駒(ごま)つゝじのしたにあせみさきけり」「俊賴」既注の「夫木和歌抄」に載る源俊頼の一首で、「卷三 春三」に所収する。「日文研」の「和歌データベース」で確認した(同サイトの通し番号で「01008」)。「あせみ」が「あしび」の古語である。]

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