「神威怪異竒談」(「南路志」の「巻三十六」及び「巻三十七」)正規表現電子化注「巻三十七」 槇山郷中谷川村人面樫
[やぶちゃん注:原書の解説や凡例・その他は初回を見られたい。今回の底本はここから。標題は「まきやまがう なかたにがはむら じんめんかし」と訓じておく。]
槇山郷中谷川村人面樫
槇山郷の內(うち)、中谷川村の谷溝(たにガウ)に、樫木(かしのき)、有(あり)。
此(この)樫の実(み)の片面(かたづら)は、くぼみて、人の顏の如し。目・口・鼻とも、備(そなは)りて、鮮(あざや)か也(なり)。
昔より、所の者も、
「採る事、なし。」
とぞ。
[やぶちゃん注:「槇山郷」「中谷川村」現在の香美市物部町(ものべちょう)中谷川(なかたにがわ:グーグル・マップ・データ)。
「谷溝(たにガウ)」不詳。「ひなたGPS」の戦前の地図の『中谷川』周辺を探したが、見当たらない。
「樫の実」カシは、民間では、双子葉植物綱ブナ目ブナ科 Fagaceaeに属する常緑高木の一群の異なるかなりの数の複数種を含む総称である。多くの果実(堅果)は一般に「ドングリ」と呼ばれるものである。但し、ウィキの「カシ」によれば、『南紀や四国ではウバメガシ』(コナラ属 Ilex 節ウバメガシ Quercus phillyreoides )『などが主なカシになる』とあった。ウィキの「ウバメガシ」にある、「どんぐり」の画像をリンクさせておく。私も昔、「どんぐり」を集めたが、ただ、「裏面」というのは、僕らが「帽子」と呼んでいるベレー帽みたような「殻斗」を外した実の部分は、しみじみ見たことがないので判らない。散歩道さんのブログ「散歩道の手づくりしてみました & 狭山丘陵散歩」の「マテバシイ、ウバメガシ、スダジイ」の上から五番目に、ウバメガシの堅斗を外した部分を二個体、写真で紹介されているので、見られたい。]
« 「神威怪異竒談」(「南路志」の「巻三十六」及び「巻三十七」)正規表現電子化注「巻三十七」 井田村八岐鹿⻆ | トップページ | 「神威怪異竒談」(「南路志」の「巻三十六」及び「巻三十七」)正規表現電子化注「巻三十七」 奈半利村二重柿 »