「神威怪異竒談」(「南路志」の「巻三十六」及び「巻三十七」)正規表現電子化注「巻三十七」 宿毛七度栗
[やぶちゃん注:原書の解説や凡例・その他は初回を見られたい。今回の底本はここから。標題は「すくも なな(或いは「しち」)どぐり」と訓じておく。]
宿毛七度栗
宿毛に「七度栗」といふあり。
「一年に七度、實をむすぶ。」
と、いふ。
[やぶちゃん注:この「七度栗」については、国立国会図書館の「レファレンス協同データベース」の「提供館」を『高知県立図書館・高知市民図書館本館』として、『七度栗の県内の栽培状況、利用方法について』の質問への、詳しいレファレンス内容が記されてあった。その内の一つの資料である、国立国会図書館デジタルコレクションの「土陽淵岳誌」(高知県立図書館・一九七〇年刊)の当該部(中標題『土陽淵岳志 中』の「産物」の「草木」の項の内)を視認し、以下に電子化する。当該原書は、儒者植木挙因(元禄元(一六八八)年~安永三(一七七四)年:土佐高知藩医の父に家学を受け、後に京で玉木正英に学び、帰郷後、藩の儒員となった通称を敞斎、号を惺斎と名乗った。著作には他に「土佐國水土私考」などがある)の著で、編著の年次は延享三(一七四六)年。上・中・下の三巻。上巻は土佐の国号由来・神社・寺院・史跡名勝の由来、及び、その沿革等。中巻は物産で、博物誌的なもので、産物・古器・海産物・薬草類などを記す。下巻は当時の著名人の墳墓や寺院などを記述したものである。他に書名を「土佐國淵岳志」「土州淵岳志」ともする。
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六十七 七度栗幡多郡宿毛ニ生ス六月末ヨリ九月頃迄栗七度実ナル四度程マテハ食ハルヽ也形状ハ常ノ栗ニ異ナラス此(栗ノ)実々ヲ他所ニウヘ或ハ苗ヲウツシ植シトモ不生宿毛ノ内ニモ市所生スル所アリテ他ニハスヘチ不生ト云四国辺路道シルベニ伊予国ニモ有宿毛ヨリ道程遠ク並村名モ道シルへニ出ツ
土陽城下八軒町ニ北側ノ屋ニ小社アリコノ処元親ノ時代ニ中島ト云シ此神休何ヤラン不知昆沙門ナリトモ云フニ川藤兵衛此屋敷拝領ノ時ソノ社ヲ小津ノ龍福院へ遣ストナリ今彼屋敷ニハ横殿ハカリノコレリ祭日五月十五日也右ノ屋敷今片岡太右衛阿住居ニナル也
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「宿毛」現在の宿毛市(グーグル・マップ・データ)。]
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