「和漢三才圖會」植物部 卷第八十四 灌木類 糏花
こゞめばな 正字未詳
俗稱
糏花 【古々女波奈】
△按糏花小樹叢生高三四尺葉狹長薄有縱理二三月
開白花大可錢如蒸糏故俗呼名小米花又似胡蘿蔔
花而圓匾小者也
*
こゞめばな 正字、未だ詳かならず。
俗稱、
糏花 【「古々女波奈《こごめばな》」。】
△按ずるに、糏花、小樹≪にして≫、叢生して、高さ、三、四尺。葉、狹(せば)く長《ながし》。薄くして、縱理(たつすぢ)、有り。二、三月、白≪き≫花≪を≫開く。大いさ、錢《ぜに》可(ばかり)。蒸(む)せる糏(こゞめ)のごとし。故、俗、呼んで、「小米花」と名づく。又、「胡蘿蔔(にんじん)」の花に似て、圓《まろ》く匾(ひらた)く、小≪とき≫者なり。
[やぶちゃん注:これは、まず、
双子葉植物綱バラ目バラ科シモツケ亜科シモツケ属ユキヤナギ Spiraea thunbergii
としてよい。但し、「雪柳」の和名は、小学館「日本国語大辞典」の「こごめ-ばな【小米花】」によれば、
●「しじみばな(蜆花)」の異名(双子葉植物綱バラ目バラ科シモツケ(下野)亜科シモツケ属シジミバナ(蜆花)Spiraea prunifolia: 前項「笑靨花」参照)
◎「ゆきやなぎ(雪柳)」の異名
●「みぞそば(溝蕎麦)」の異名(双子葉植物綱ナデシコ目タデ科タデ属ミゾソバ Polygonum thunbergii :私の「大和本草卷之九 草之五 雜草類 牛面草 (ミゾソバ) + 大和本草諸品圖上 牛ノ額(ヒタヒ) (ミゾソバ)」参照)「いぼたのき(水蝋樹)」の異名(シソ目モクセイ科イボタノキ属イボタノキ Ligustrum obtusifolium )
とし、他の辞書には、
●「おみなえし」の異名(マツムシソウ目オミナエシ科オミナエシ属オミナエシ Patrinia scabiosifolia )
とするので、注意は必要である。
当該ウィキを引く(注記号はカットした)。『ユキヤナギ(雪柳』・『学名: Spiraea thunbergii )は、バラ科シモツケ属の落葉低木。別名にコゴメバナ、コゴメヤナギなど。日本原産。春に小さい白い花を咲かせる。和名の由来は、ヤナギのようにしだれる枝に白い小さな花が咲き乱れる様子を雪に見立てて「雪柳」の名がついたとされる。中国名は、珍珠繡線菊』。『日本の本州(関東地方以西)、四国、九州に分布する。川岸の岩場などに生える。日本原産種だが、自生地はとても少ない。各地に植栽され、公園や庭先でよく見かけるが、自生種は石川県で絶滅危惧I類に指定されているなど、地域的には絶滅が危惧されている』。『手を掛けなくても成長し、大きくなると』一・五メートル『ほどの高さになる。幹は株立ちし、地面の際から』、『枝が』、幾『本にも枝垂』(しだ)『れて、細く、ぎざぎざのある葉をつける。樹皮は灰褐色で滑らかであるが、老木では縦に裂ける。小枝は軟らかい毛が多くあるが、表面が剥がれて無毛になる。栽培品は野生種よりも株も大きく、幹も太い』。『花期は春』四月で、五『弁で雪白の小さな花を小枝全体に群がってつける。秋には紅葉し、黄色や橙色、ときに赤色に色づく』。『冬芽は卵形で紅紫色の鱗芽で、互生する。丸くて大きい冬芽は花芽で、枝の先の方の小さい冬芽が葉芽である』。『主に公園樹や庭園樹として利用されている』とある。同ウィキのユキヤナギの植物体全体と、花のアップ画像をリンクさせておく。
「糏花」の「糏」とは「あらもと」とも称し、精米時に砕けた屑米のことを指す。
「「胡蘿蔔(にんじん)」セリ目セリ科ニンジン属ニンジン(ノラニンジン)亜種ニンジン Daucus carota subsp. sativus 。しかし、う~、散形花序の単花を拡大(ウィキの「ニンジン」の花序の画像)すれば、まあ、似てないわけではないが、ねぇ……。やっぱ、良安の「似ている」は、ちょっと、危険がアブないな……。]
« 「和漢三才圖會」植物部 卷第八十四 灌木類 笑靨花 | トップページ | 「和漢三才圖會」植物部 卷第八十四 灌木類 錦帶花 »