「神威怪異竒談」(「南路志」の「巻三十六」及び「巻三十七」)正規表現電子化注「巻三十七」 (安㐂郡津呂浦町の西に井有……)
[やぶちゃん注:原書の解説や凡例・その他は初回を見られたい。当該部はここから。以下の「巻三十七」の最後の十一篇は「目録」に標題が掲げられていないので、冒頭の一部を丸括弧で示すこととする。]
安㐂郡津呂浦(つろうら)町の西に、井(ゐ)、有(あり)。此中に、鱣(うなぎ)、二ツ、住めり。一ツは、二尺𢌞(まは)り斗(ばかり)、一尺𢌞り餘(あまり)[やぶちゃん注:体長。ひどく太くズン胴な妙な個体である。]もある也。井の上(うへ)より、蟹など、いる[やぶちゃん注:「入る」。]時は、頭(かしら)を上(あげ)て喰(くら)ふ也。里人(さとびと)、
「此井の主(ぬし)也。」
と、いふ。
[やぶちゃん注:「安㐂郡津呂浦(つろうら)町」室戸岬のある室戸半島西岸の中央附近にある、現在は室戸市室戸岬町(むろとみさきちょう)津呂(グーグル・マップ・データ航空写真。以下、無指示は同じ)である。現行では広大な室戸岬港の奥の奥の小さな一部であるが、ここに、本来の津呂港の名が並置されている。「ひなたGPS」の戦前の地図を見ると、ここが本来のここだけが津呂港であったことが確認出来る。因みに、「土佐物語」に出る停泊する「室津」を、この「津呂」に比定する説があったが、現行では、津呂の北西の土佐湾岸の東に当たる室戸半島の東の根にある「室津」であるとするのが、有力のようである。]
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