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2024/10/27

「和漢三才圖會」植物部 卷第八十四 灌木類 柃

 

Hisakaki

 

ひさゝき  【和名比佐加木

        矮榊畧言乎】

【音零】 【俗云比佐々木

       訛比婆々木古】

 

びしやしやこ

 

倭名抄云柃似荆可作染灰者也

△按柃木高二三尺葉畧似茶葉而狹長有鋸齒開花最

 細小淡白甚臭隨結實生於葉本权毎二顆細小黒色

[やぶちゃん字注:「权」では、辞典オンライン「漢字辞典ONLINEのここでは、そこにあるような意味で、訓読が出来ない。国立国会図書館デジタルコレクションの中近堂版の当該部では、『枝』であるが、明らかに違う漢字だ。東洋文庫訳では『杈』となっている。そこでは、「本杈」で『つけね』と訓じている。中日辞典では「木の股」とする。それで読めるので、訓読では「杈」とした。

 其木葉爲灰染家必用之灰汁也蓋此非榊之属山谷

 巖石間多有之畧榊而矮故和名之

 

   *

 

ひさゝき  【和名、「比佐加木」。

       「矮榊(ひきさかき)」の

       の畧言《りやうげん》か。】

【音零】 【俗、云ふ、「比佐々木」。

       訛《なまりて》、

       「比婆々古《びしやしやこ》」。】

 

びしやしやこ

 

「倭名抄」に云はく、『柃は荆に似て、染-灰(そめもの≪の≫あく)と作《な》す者なり。』≪と≫。

△按ずるに、柃は、木の高さ、二、三尺。葉、畧《ちと》、「茶」の葉に似て、狹長《さなが》。鋸齒、有《あり》。花を開く≪も≫、最≪も≫細小≪にして≫、淡白≪なるも≫、甚《はなはだ》、臭く、隨《つい》で、實を結≪ぶも≫、葉の≪枝の≫本杈《もとね》に生ず。二顆《にくわ》毎《ごと》≪に≫《成りて》、細小《ほそくちいさく》、黒色≪たり≫。其の木・葉、灰《はい》と爲し、染家《そめや》必用《ひつよう》の灰-汁(あく)なり。蓋し、此れ、榊《さかき》の属に非ず。山谷≪の≫巖石の間に、多く、之れ、有り。畧(ちと)、榊に似て[やぶちゃん注:返り点はないが、返した。]、矮(ひく)し。故、之れを、和名す。

 

[やぶちゃん注:これは、

ツツジ目モッコク(木斛)科ヒサカキ(姬榊)属ヒサカキ Eurya japonica var. japonica

である。当該ウィキを引く(注記号はカットした)。漢字表記『姫榊』。『和名「ヒサカキ」は、サカキ』(双子葉植物綱ツツジ目モッコク科サカキ属サカキ Cleyera japonica 前項「榊」を見よ)『に比べて小さいことから「姫サカキ」が転訛してヒサカキになったという。 ホソバヒサカキの別名のほか、ビシャコ、ビシャ、ヘンダラ、ササキ、シャシャキなどの地方名がある。中国名は「柃木」』。『日本の本州(岩手県、秋田県以西)、四国、九州、沖縄と、日本国外では、朝鮮半島南部、中国、台湾に分布する。山地や丘陵地に生え、目立たないが』、『非常に数が多く』、『照葉樹林では』、『どこの森にも生えている。低木層にでるが、直射光にも強く、伐採時などにもよく残る。また、栽培されていることも多い』。『常緑広葉樹の小高木で、サカキよりやや小型で、普通は樹高が』四~七『メートル』『程度になる。樹皮は灰褐色から暗灰褐色で滑らか。一年枝は緑色で、葉柄が枝に流れて稜をつくる。枝は横向きに出て、葉が左右交互にでて、平面を作る傾向がある』。『葉は互生し、長さ』三~八『センチメートル』『の狭倒卵形や楕円形で先が尖る。葉縁に丸い鋸歯があり、葉が大きくて鋸歯がないサカキと区別できる。葉は厚みがある革質で、表面はつやが強い』。『花期は』三~四『月。雌雄異株。葉腋から枝の下側に短くぶら下がるように径』三~六『ミリメートル』『ほどの白い花が下向きに多数咲く。花は淡黄色で壺状の』五『弁花で、都市ガスのような独特の強い芳香を放つ。雄花は雄蕊が』十~十五『個、雌花は雌蕊』一『個が』、『つく』。『果期は』十~十二『月。果実は直径』四ミリメートル『の球形で、秋から冬にかけて黒紫色に熟す』。『冬芽は裸芽で、枝先と葉腋につき、ほぼ枝と同色をしている。枝先の頂芽は披針形で大きくて先が曲がり、側芽は小さい。花芽が多数つく』。『日陰に強く土質を選ばない性質で、葉にツヤがあって美しさがあることから、庭木や垣根にも使われる。関東地方ではサカキの代用として神事に用いる』。『墓・仏壇へのお供え(仏さん柴)や玉串などとして、神仏へ捧げるため』、『宗教的な利用が多い。これは、「サカキ」が手に入らない関東地方以北において、サカキの代用としている』。『名前も榊でないから非榊であるとか、一回り小さいので姫榊がなまったとかの説がある』。『ヒサカキ属には』、『このほかに日本に』八『種(変種を含む)が知られる。多くは南方離島産のものであるが、ハマヒサカキ( Eurya emarginata )は海岸林に普通な小高木で、潮風や乾燥に強いことから』、『街路樹として用いられることがある』とある。

『「倭名抄」に云はく、『柃は荆に似て、染-灰(そめもの≪の≫あく)と作《な》す者なり。』≪と≫。』「和名類聚鈔」の「卷第二十」の「草木部第三十二」の「木類第二百四十八」にある。国立国会図書館デジタルコレクションの寛文七(一六六七)年板の当該部を視認して、訓読しておく。一部の読みは私が施した。

   *

柃(ヒサカキ) 「玉篇」に云はく、『柃【音「零」。一音は「冷」。「漢語抄」に『比佐加木』。】は、荊(けい)に似たり。染灰(せんばひ)を作る者なり。』と。

   *

この「玉篇」南北朝時代の南朝梁の顧野王(五一九年~五八一年)によって編纂された部首別漢字字典。字書としては「説文解字」・「字林」(現存しない)の次に古い。全三十巻。「荊」は、この項の前に、

   *

荊(ナマエノキ) 「唐韻」に云はく、『荊【音「京」。「漢語抄」、『奈末江乃木』。】木の名なり。』と。

   *

この「荊(ナマエノキ)」とは、双子葉植物綱シソ目シソ科ハマゴウ(浜栲・浜香)亜科ハマゴウ属ニンジンボク (人参木) Vitex negundo var. cannabifolia のこと。ニンジンボクは先行する「牡荊」の私の注を見られたい。

「此れ、榊《さかき》の属に非ず」正しい。双子葉植物綱ツツジ目モッコク科サカキ属サカキ Cleyera japonica 。「榊」は前項。]

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