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2024/10/14

山之口貘の処女詩集「詩集 思辨の苑」の「序文」の『佐藤春夫「山之口貘の詩稿に題す」』(初版・正規表現版)

[やぶちゃん注:底本は国立国会図書館デジタルコレクションの山之口貘「詩集 思辨の苑」(昭一三(一九三八)年八月一日むらさき出版部刊・初版)を用いた。当該部はここ。]

 

   山之口貘の詩稿に題す

 

家はもたぬが正直で愛するに足る靑年だ

金にはならぬらしいが詩もつくつてゐる。

 

南方の孤島から來て

東京でうろついてゐる。風見みたいに。

 

その男の詩は

枝に鳴る風見みたいに自然だ しみじみと生活の季節を示し

單純で深味のあるものと思ふ。

 

誰か女房になつてやる奴はゐないか

誰か詩集を出してやる人はゐないか

 

     一九三三年十二月二十八日夜 

 

                   佐 藤 春 夫

 

[やぶちゃん注:さても……私が何をおっ始めようとしていることは、もう、お判りであろう……。判らん方は、このブログの欄外のリンク「山之口貘」(私のブログ・カテゴリ)の一番下の記事を、どうぞ!]

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