山之口貘の処女詩集「詩集 思辨の苑」の「序文」の『佐藤春夫「山之口貘の詩稿に題す」』(初版・正規表現版)
[やぶちゃん注:底本は国立国会図書館デジタルコレクションの山之口貘「詩集 思辨の苑」(昭一三(一九三八)年八月一日むらさき出版部刊・初版)を用いた。当該部はここ。]
山之口貘の詩稿に題す
家はもたぬが正直で愛するに足る靑年だ
金にはならぬらしいが詩もつくつてゐる。
南方の孤島から來て
東京でうろついてゐる。風見みたいに。
その男の詩は
枝に鳴る風見みたいに自然だ しみじみと生活の季節を示し
單純で深味のあるものと思ふ。
誰か女房になつてやる奴はゐないか
誰か詩集を出してやる人はゐないか
一九三三年十二月二十八日夜
佐 藤 春 夫
[やぶちゃん注:さても……私が何をおっ始めようとしていることは、もう、お判りであろう……。判らん方は、このブログの欄外のリンク「山之口貘」(私のブログ・カテゴリ)の一番下の記事を、どうぞ!]
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