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2024/10/05

「神威怪異竒談」(「南路志」の「巻三十六」及び「巻三十七」)正規表現電子化注「巻三十七」 領家郷梅木村夜啼石

[やぶちゃん注:原書の解説や凡例・その他は初回を見られたい。今回の底本はここから。前回述べた通り、原書自体に綴じの際の乱丁が発生しており、リンク先の右丁はこれより後の部分である。標題は「りやうけがう うめのきむら よなきいし」と訓じておく。]

 

     領家郷梅木村夜啼石

 領家郷、梅木村に、「夜啼石」といふ、有(あり)。

 「不動が瀧」を去る事、十町[やぶちゃん注:訳一キロメートル。]斗(ばかり)、往來の大路(おほぢ)、有(あり)。其(その)傍(かたはら)に、大石(おほいし)、有(あり)ける。

 里人(さとびと)、傳言(つたへいふ)、

「昔、隣村(となりむら)の者、夫婦連れにて、梅木村へ來りて、歸る時、此(この)石の邊(あたり)にて、女房、俄(にはか)に產の氣(け)、有り。暫(しばらく)、休らふ中(うち)、石の下にて、子を產(うめ)り。夫(をつと)、介補(かいほ)して居(をり)たれども、素(もとよ)り、左右、深林にて、人家、遠く、折節(をりふし)、道行人(みちゆくひと)も、なければ、妻子を、大石の上に懷(いだ)き上げ、

「少(すこし)の間(あひだ)、爰(ここ)に待(まつ)べし。梅木村へ、走行(はしりゆき)て、飮食を所望(しよまう)して來(きた)るべし。」

とて、急ぎ行(ゆき)けるに、何所(いづこ)より來(きた)りけん、犲(ヤマイヌ)・狼(オヽかみ)の類(たぐ)ひ、競集(きそひあつま)りて、妻子ともに、喰ひ殺したる。」

とかや。

 其後(そののち)、夜ふけ、此道を通りけるもの、有(あり)。

 大石の邊りにて、赤子の啼(なく)聲(こゑ)す。

 不審に、おもひ、松火(たいまつ)にて探し見れども、人影、見へ[やぶちゃん注:ママ。]ず。

『あやしき事。』

に、おもひ、かへりて、此事を語傳(かたりつた)へければ、村中(むらぢゆう)、夜毎(よごと)、聞(きき)に行(ゆき)しに、實(げに)も、赤子の啼(なく)こゑ也。

「扨は。日外(いつぞや/かつて)、妻子とも、山犬(やまいぬ)にくはれしと聞(きく)、彼(かの)妻子の亡靈成(なる)べし。」

とて、それより、「夜啼石」といふ、とかや。

 

[やぶちゃん注:「領家郷、梅木村」現在の高知市鏡梅ノ木(かがみうめのき:グーグル・マップ・データ)。平凡社『日本歴史地名大系』に拠れば、『永禄四年(一五六一)本山氏と長宗我部氏が対立した際、大黒神次郎は長宗我部氏に従って戦功をあげ、元親から「梅木名」を与えられた(同年五月二六日付「長宗我部元親所領宛行状」北野文書)』とあった。

「夜啼石」この石、現存する。検索の結果、ky_kochi氏のブログ「茶凡遊山記」の「蟹越え(いの町~旧鏡村)」(二〇一五年五月投稿)、及び、「古江道(旧鏡村~旧吾北村)」(二〇一九年十月投稿)でそこへ至る解説(ここにある悲話も記されてある)と画像が見られる。但し、後者の記事では、そこに映っている大きな石が本物ではなく、『実際には傍らにあるもう少し小さな岩が本物らしい』とあった。この場所、ストリートビューも通っておらず、実際の附近を探すことが不可能であり(というか、私が都道府県で実際に地面を踏んだことがない数少ない三つの内の一つ(残りは茨城県と滋賀県)とである高知県だが、まさにブログ主のようにバイクでも運転出来なければ、到底、行くことが出来ない場所なのだ。多分、貸し切りのタクシーでなら、行ってくれるかな)。多分、この中央附近(グーグル・マップ・データ航空写真)のどこかである。こうなってくると、逆に行きたくなるのが、私である。

「不動が瀧」「ひなたGPS」の国土地理院図で確認出来る。]

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