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2024/10/30

「和漢三才圖會」植物部 卷第八十四 灌木類 百日紅

 

Sarusuberi1

 

ひやくじつかう 怕痒樹

 

百日紅   紫薇花

 

△按樹似柘榴木而無皮葉似夏黃櫨而冬凋落七月初

 至九月有花淺紫紅色映山谷故名百日紅隨結子攅

 簇不熟而凋揷其枝能活

 

   *

 

ひやくじつかう 怕痒樹《はやうじゆ》

 

百日紅   紫薇花《しびくわ》

 

△按ずるに、樹、「柘榴《ざくろ》」の木に似て、皮、無し。葉、「夏黃櫨(なつはぜ)」に似て、冬、凋≪み≫落≪つ≫。七月の初め≪より≫九月に至るまで、花、有り、淺紫紅色《せんしこうしよく》。山谷に映《はゆ》。故、「百日紅」と名づく。隨《つづき》て、子《み》を結ぶ。攅-簇《こごな》≪りて≫、熟さずして、凋む。其の枝を揷≪せば≫、能《よく》活≪す≫。

 

[やぶちゃん注:これは、

双子葉植物綱フトモモ目ミソハギ科サルスベリ属サルスベリ Lagerstroemia indica

である。当該ウィキを引く(注記号はカットした)。漢字表記は『百日紅・猿滑』。『別名は、ヒャクジツコウ。すべすべした幹肌が特徴で、夏から秋の長期にわたって紅色の花が咲く』。『和名サルスベリの語源は、木登りが上手なサルでも、滑り落ちるほど樹皮が滑らかという例えから名付けられている。花が咲く期間が長いことから、ヒャクジツコウ(百日紅)の別名もあり、漢名もまた百日紅である』(正しくない。同種の「維基百科」の標題は「紫薇」であり、分類項目も『桃金孃目  Myrtales 千屈菜科  Lythraceae 紫薇屬  Lagerstroemia 紫薇節 sect. Lagerstroemia 紫薇 Lagerstroemia indica 』と、属名以下のタクソンが一貫して正式な中文学名は「紫薇」であるからである)。『英語名 Crape myrtle は、ギンバイカ(myrtle)』(フトモモ目フトモモ科ギンバイカ属ギンバイカ Myrtus communis 。地中海沿岸原産)『の花に似て、花弁がちりめん(crape)のように縮れていることから』。『中国では、唐代長安の紫微(宮廷)に多く植えられたため、紫薇と呼ばれるが、比較的長い間紅色の花が咲いていることから、百日紅ともいう。江蘇省徐州市、湖北省襄陽市、四川省自貢市、台湾基隆市などで市花とされている』。『ミャンマーのビルマ語ではパンイー』『と呼び、文字通りには〈やわな花〉を表す。なお、ミャンマーにも〈猿が滑る木〉という意味合いの名を持つミャウッチョー』『という木が存在するが、これはヤナギ科(旧イイギリ科)のビルマラーンスウッド(英:Burma lancewood;学名: Homalium tomentosum )やミソハギ科ではあるが』、『サルスベリとは別属の Woodfordia fruticosa(シノニム: Lythrum fruticosum )のことを指す』。『中国南部原産。世界の熱帯各地に分布する。日本へは江戸時代以前に渡来したと言われている。日本では植栽樹として、庭や公園、寺社などで見られる』。『広葉樹の小高木。熱帯地域ではない日本などでは落葉樹である。樹皮は見るからに滑らかな表面をもち、全体に淡褐色で、所々がはげ落ちて白く、濃淡が混じった斑模様になる。特に幹の肥大成長に伴って、特に夏に古い樹皮のコルク層が剥がれ落ち、新しいすべすべした感触の樹皮が表面に現れて更新していく。一年枝は細く、はっきりした稜がある。混み合って植栽された幹は曲がることが多く、枝も細かく曲がる』。『葉は通常』は、二『対互生(コクサギ型葉序』(「コクサギ」は「小臭木」=ムクロジ目ミカン科コクサギ属コクサギ Orixa japonica で、当該ウィキによれば、コクサギの『葉は』二『個ずつ左右交互に互生する。特殊な葉のつき方』をすることから(同画像)、そうした特異な葉序を、かく称する)『)、対生になることもある。葉身は倒卵状楕円形、葉先はくぼむことが多い。春の芽吹きの時期はやや遅く、新葉は樹皮の色に似て赤味を帯びる。秋に紅葉し、濃い赤色から橙色を中心に、条件がよいと鮮やかに色づく』。『花期は』七~十『月』、『花は紅色または白色で、円錐花序になり、がくは筒状で』六『裂、花弁』も六『枚で縮れている。花は開花したその日で萎んでしまう一日花であるが、蕾が次々と開花するため、百日紅の別名どおり』、百『日近く咲き続ける』。『果期は』八~十一『月。果実は円い蒴果で、先が』六『つに割れて、翼がある種子を飛ばす。果実は種子を飛ばしたあとも遅くまで枝に残っている』。『冬芽は小さな卵形で先端は尖り、枝の先端に仮頂芽がつき、側芽は対生するか、ときにずれてコクサギ型互生となる。仮頂芽と側芽はほぼ同じ大きさで、芽鱗』二~四『枚に覆われている。冬芽わきにある葉痕には、弧状の維管束痕が』一『個ある』。『花が美しく、耐病性もあり、必要以上に大きくならないため、しばしば好まれて』、『庭や公園、街路樹などに植えられる。種子から栽培する「あすか」』( Lagerstroemia indica 'Asuka. Dwarf Hybrid' )『という一才物の矮性種もある。材は硬くて重い特性から、線路の枕木など土木用途で使用される』とある。

「怕痒樹《はやうじゆ》」「株式会社 宮城環境保全研究所」公式サイト内の「宮環コラム」の「花の歳時記」の「No.10 サルスベリ (百日紅)」に、『怕痒樹(はくようじゅ)の異名もあるが、これはなめらかな樹幹をさすると』、『痒がって梢の枝まで伝わって揺れ動くという巷間の噂に基づくもので、怕とは』、『おそれる』、『という意味である』とあった。

「柘榴《ざくろ》」フトモモ目ミソハギ科ザクロ属ザクロ Punica granatum 。私の好きな樹。

「夏黃櫨(なつはぜ)」双子葉植物綱ツツジ目ツツジ科スノキ(酢の木)亜科スノキ属ナツハゼ Vaccinium oldhamii 。先行する「夏黃櫨」を見よ。

 ……ちょっと「困ったちゃん」なのは……次の項が――「さるすべり」「猿滑」――なんだな……

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