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2024/10/25

「和漢三才圖會」植物部 卷第八十四 灌木類 八手木

 

Yatude

 

やつでのき 正字未詳

       也豆天乃木

八手木

 

 

△按八手木叢生一朶八葉形畧如軍配團扇五六月開

 小白花作簇上平而又異常

 

   *

 

やつでのき 正字、未だ詳かならず。

      「也豆天乃木」。

八手木

 

 

△按ずるに、八手木、叢生≪し≫、一朶《ひとえだ》≪に≫八葉≪あり≫[やぶちゃん注:誤り。以下の引用を参照。]、形、畧《ほぼ》、軍配團扇(《ぐんばい》うちは)のごとし。五、六月、小≪さき≫白≪き≫花を開≪き≫、簇《むらがり》を作《な》す、上、平《たひら》かにして、又、常に異《こと》なり。

 

[やぶちゃん注:これは、申し分なく、本邦で知られ、私の猫額庭の水汲み場の桶の外の片隅から、二十センチメートルほどの高さに元気に輪生している(いつ生えてきたのか、記憶にない)、

双子葉植物綱セリ目ウコギ科Aralioideae亜科ヤツデ属ヤツデ Fatsia japonica

である。中文名は「八角金盤」(「維基百科」の当該種標題に拠る)である。辞書その他を見ても、恰も日本原産のような書き方をしてあるが、英文の同種のページ(学名標題)に、明確に『日本南部と韓国南部原産』とあり、更に韓国語の同種ウィキには、さらに『台湾』も分布域に含まれている。邦文の当該ウィキを引く(注記号はカットした)。漢字表記『八手・八つ手』。『白い花を付け、黒い実を付ける常緑低木。葉が大型で、大きく掌状に裂けた独特の形をしているのでよく目立ち、見分けやすい。晩秋に丸くまとまって咲く白い花は、昆虫に蜜を供給して受粉する虫媒花である。林内の日当たりの悪いところによく自生しているが、庭木としてもよく植えられる。葉はサポニンを含み、去痰など薬効のある生薬にもなる』。『和名ヤツデは、葉は掌状に深い切れ込みがあることに由来し、葉は実際には』八『つに切れ込んで』九『枚に裂けているものが多いが、「八手」の八は数が多いという意味がある。ヤツデの別名(地方名)はテングノハウチワ(天狗の羽団扇)である。 漢名には「八角金盤」や「金剛纂」などがある』。『学名のFatsiaは日本語の「八」(古い発音で「ふぁち」、「ふぁつ」)または「八手(はっしゅ)」に由来し、これが転訛したものだといわれてい』。『本州(茨城県以南の太平洋側)、四国、九州、沖縄に分布する。主に暖地の海岸近くの山林などに自生する。日陰に強く、日当たりの悪い森林のなかにもよく自生しているのが見られる。また、人の手によって庭や庭園にもよく植えられている』。『白い花を付け、黒い実を付ける常緑の低木で、高さは』二~五『メートルほどになり、多くは株立ちする。茎は数本集まって出て、ほぼ単一に伸びる。若い枝の樹皮は灰褐色で、V字形の葉痕が目立つ。葉痕には維管束痕が十数個ならんでいる。太い幹の樹皮も平滑で、皮目がある。葉芽は花序軸のわきにでき、芽鱗』三、四『枚に包まれていて、翌年の春に芽吹く。花芽は夏に、枝先に集まった葉の中心部にできる』。二十『センチメートル以上もある大きな葉に、長い葉柄をつけて互生、あるいは輪生する。葉は表面につやがあり、下面はやや白っぽくて若いときには茶褐色の軟毛があり、やや厚手。形は』、『文字通り』、『掌状だが、若葉のときは卵形をしていて、次に』三『裂して、次第に数を増して』七、九、十一『の奇数に深く裂ける。ヤツデの名のように』、八『裂はしない』(☜!!!)『葉の先端は尖り、葉縁はわずかにギザギザがある』。二『年たつと』、『柄ごと』、『落葉し、葉跡は』、『くっきりした半月型で』、『かなり目立つ』。『落葉前、秋の花期と春から初夏にかけて』、『古い葉が明るい黄色に色づく』。『花期は晩秋』(十~十二月)『で、茎の先に球状の散形花序がさらに集まって大きな円錐花序をつくる。花は直径』五『ミリメートルほどの』五『弁花で白く、両性花または、雄花と雌花があり、枝先の先に丸まってつく。雄しべは』五『本、雌しべ(花柱)も』五『本あり、花びらは小さくて反り返っており、花茎を含めて黄白色でよく目立つ。他の花が少ない時期に咲くため、気温が高い日はミツバチやハナアブ、ハエなどの昆虫が多く訪れ、蜜を供給して受精を確実にしている。果期は翌年の』四~五『月で、果実は直径』三『ミリメートルほどの球状で、翌春に黒く熟す』。『花が終わると、それまでの主軸であった花茎が倒れて、わきから新芽が出て成長し、やがて新しい主軸になっていく。これは、大きな花茎を残しておくと、まっすぐに上に伸びることができないためである』。『丈夫なので庭木としてもよく植えられる。古人は魔除けの意味で庭に植えていたともいわれている』。『葉を乾燥させたものは「八角金盤」と呼ばれる生薬になり、去痰などの薬として用いられる。しかし、葉などにはヤツデサポニンという物質が含まれ、過剰摂取すると』、『下痢や嘔吐、溶血を起こす』。『また、葉を刻んで浴湯料として風呂に入れると、リウマチに効果があるとされる』。『昔は蛆用の殺虫剤として用いていたこともある。古い鉄道駅の一角に栽培されていることが多いが、これはかつて汲み取り便所の蛆殺しにその葉を使っていたためである』とある。以下、「栽培品種・変種」「ヤツデ属」があるが、省略する。]

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