「和漢三才圖會」植物部 卷第八十四 灌木類 列珠樹
れだまの木 正字未詳
列珠樹 俗云
禮太末乃木
△按列珠樹高𠀋許梢出細條出綠色畧似鳧茨莖其葉
細小四月開黃花狀微似綠豆花而繁結莢亦似綠豆
*
れだまの木 正字、未だ、詳かならず。
列珠樹 俗、云ふ、
「禮太末乃木《れだまのき》」。
△按ずるに、「列珠の樹」、高さ、𠀋許《ばかり》、梢に、細-條(すわい)を出《いだ》す。綠色≪にして≫、畧《ほぼ》、「鳧茨(くろくわい[やぶちゃん注:ママ。])」の莖に似《にる》。其の葉、細小≪にして≫、四月、黃花を開く。狀《かたち》、微《やや》、「綠豆(ぶんどう[やぶちゃん注:ママ。])」の花に似て、繁く、莢を結《むすび》、亦、「綠豆」に似たり。
[やぶちゃん注:これは、
双子葉植物綱ツツジ目サクラソウ科オカトラノオ属セイヨウクサレダマ変種クサレダマ Lysimachia vulgaris var. davurica
である。当該ウィキを引く(注記号はカットした)。漢字表記は『草連玉』で、『和名はマメ科のレダマ』(マメ目マメ科レダマ属レダマ Spartium junceum 。落葉低木。当該ウィキを見られたい)『に似て、草本であることに由来する。別名、イオウソウ(硫黄草)』。『茎は直立し、高さは』四十~八十センチメートル『になる。茎には短い腺毛と軟毛が生える。葉は対生または』三、四『枚が輪生し、葉柄がない。葉身は披針形または狭長楕円形で、長さ』四~十二センチメートル、『幅』一~四センチメートル『になり、先端は鋭く』、『とがり、縁は全縁』。『花期は』七~八『月。茎の先端または葉腋に円錐花序をつけ、多数の花をつける。線状の小さな苞があり、萼は深く』五『裂する。花冠は黄色で径』一・二~一・五センチメートル『になり』、五『深裂する。果実は径』四ミリメートル『の蒴果となる』、『日本では、北海道、本州、九州に分布し、山中の湿地に生育する。アジアでは、朝鮮、中国、樺太、シベリアに分布する。基本種で帰化植物のセイヨウクサレダマ( Lysimachia vulgaris )は、ヨーロッパに広く分布し、茎に腺毛があるが軟毛がない』とある。学名の画像検索をリンクさせておく。
いや!!! そんなものより、花森屋敷Ⅲ氏の本草書の画像を駆使して書かれておられる凄絶な優れたブログ「FLOS, 花, BLUME, FLOWER, 華,FLEUR, FLOR, ЦBETOK, FIORE 「庭の花」「いつか見た花」 そのうち「近所の花,近隣の花,旅先の花,季節の花」も ------ 花盛屋敷からの花便り」の「クサレダマ-1 鷹爪,硫黄草,草列珠,柳葉草,『花壇綱目,花譜,草花絵前集,大和本草,諸品図,和漢三才図会,地錦抄附録,物品識名,草木図説』,レダマ,鷹爪,れたま,列球樹,『草花魚貝虫類写生図』,方言,学名」が物凄い精緻さで、書かれてある!! 引用させて戴くには、本文とともに本草書の挿絵なども見ながら読まれるに若くは無しであるので、是非、見られたい。
「細-條(すわい)」単漢字では「楚」で、 後世、「ずわえ」とも言う。木の枝や幹から、図の如く、真っ直ぐに、細く、長く、伸びた若い小枝のことで、「すわい」「ずわい」「すわえぎ」とも言う。
「鳧茨(くろくわい)」単子葉植物綱イネ目カヤツリグサ(蚊帳吊草・莎草)科ハリイ(針藺)属クログワイ(黒慈姑・荸薺)Eleocharis kuroguwai 。当該ウィキを見られたいが、そこにある通り、和名は、芋の形が、全くの別種である、食用として知られる、単子葉植物綱オモダカ目オモダカ科オモダカ属オモダカ品種クワイ Sagittaria trifolia 'Caerulea' に似ていることに拠る。
「綠豆(ぶんどう)」双子葉植物綱マメ目マメ科マメ亜科ササゲ(大角豆・豇豆)属ヤエナリ Vigna radiata の種子の呼称。ウィキの「リョクトウ」によれば、豆は、別に『青小豆(あおあずき)、八重生(やえなり)、文豆(ぶんどう)。英名』(mung bean)『から「ムング豆」とも呼ばれる。アズキ』(ササゲ属アズキ変種アズキ Vigna angularis var. angularis )『とは同属。 グリーンピースは別属別種のエンドウ』(マメ亜科エンドウ属エンドウ Pisum sativum )『の種子』とある。
なお、「一日一項目」を目指して、今年の四月二十七日に、この『「和漢三才圖會」植物部』を始めたのだが(第一回は『ブログ2,150,000アクセス突破記念 「和漢三才圖會」植物部 始動 / 卷第八十二 木部 香木類 目録・柏』。本日只今のブログ・アクセス数は(キリ番記事は、原則、やめた)2,279,758アクセスである)、考証に、ひどく時間がかかる項目が多く、最大で三日かかって仕上げ終わるものもあった結果、それが実現し得ない事態に何度も遭遇する事態になってしまった。今回、本文が短いものが並んだので、数日を本記事の作業をメインに置くことで、漸く、本日、一日一植物の記事数(百八十一記事)に合わせることが出来た。]
« 「和漢三才圖會」植物部 卷第八十四 灌木類 八手木 | トップページ | 「和漢三才圖會」植物部 卷第八十四 灌木類 梅嫌木 »