「和漢三才圖會」植物部 卷第八十四 灌木類 臭𦶓
さうこう
臭𦶓
[やぶちゃん注:「さうこう」はママ。「しうこう」が正しい。]
農政全書云臭𦶓生山谷中高四五尺葉似金銀花葉而
尖𧣪五葉攅生如一葉開花白色其葉味甜
[やぶちゃん注:「𧣪」は「角」が「⻆」であるが、そのような異体字は見当たらないので、「𧣪」とした。]
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さうこう
臭𦶓
[やぶちゃん注:「さうこう」はママ。「しうこう」が正しい。]
「農政全書」に云はく、『臭𦶓《しうこう》は、山谷の中に生ず。高さ、四、五尺。葉、「金銀花」の葉に似《にて》、尖《とが》≪て≫𧣪《するどくたちあが》≪れり≫。五葉、攅《こごな》≪て≫生じ、一葉《ひとは》のごとし。花≪を≫開≪けば≫、白色≪なり≫。其の葉、味、甜《あまし》。』≪と≫。
[やぶちゃん注:これは、いろいろ検索してみた結果、「東海国立大学機構学術デジタルアーカイブ」の「伊藤圭介文庫 錦窠図譜の世界」の「錦窠植物図説」の「五加科」の「巻次」「065-142」(所蔵機関は「名古屋大学附属図書館」)に興味深い記事を見つけた。その翻刻・翻訳を参考に、自然流で翻刻してみると(「■」は判読不能字)、
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岩崎ノ救荒- -通解云
臭蕻 未詳 五加ノ一種ヤマウコギ 一名ヲニウコギ
ニ似レドモ 臭気 甚シカラズ 故ニ的セス 尤 ヤマウコギ
モ 乾菜トナシテ 味ヨシ
■九附
オニウコギ
■ザウツキ 食用
ニハナラサルベシト
■■分モ
云
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この記載から、臭いウコギは「オニウコギ」ということになる。而して、オニウコギは、
双子葉植物綱セリ目ウコギ科ウコギ属ヤマウコギ変種ヤマウコギ Eleutherococcus spinosus var. spinosus
の異名である。取り敢えず、これを候補とはするが、いくら調べても、ヤマウコギが臭いとする記載がないので、確定は出来ないので、当該ウィキをリンクさせるに留める。
「農政全書」は先行する「山茶科」を見られたい。「漢籍リポジトリ」の同巻の、ガイド・ナンバー[054-21b] に、「臭𦶓」の標題で、以下のように出る(一部表記を改めた)。
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臭𦶓 生宻縣楊家衝山谷中科條髙四五尺葉似杵𤓰葉而又似金銀花葉亦尖𧣪五葉攅生如一葉開花白色其葉味甜
救飢 採葉煠熟水浸淘淨油鹽調食
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「金銀花」これは、マツムシソウ目スイカズラ科スイカズラ属スイカズラ Lonicera japonica である。これは日中でも同じである。「維基百科」の同種の「忍冬」を見られたいが、そこに、初っ端で、『花稱為金銀花』とあり、以下、一段落分を「金銀花」に費やして、宋代の「蘇沈內翰良方」に、初めて、本種が「金銀花」の名を載せており、『スイカズラの花は、最初、白く咲き、その後、黄色に変ずることから「金銀花」と名付けられた』とある。しかし……葉は……グーグル画像検索で、ヤマウコギがこれで、スイカズラはこれ。……う~、全然、似てないぜ!]
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