和漢三才圖會卷第八十六 果部 五果類 目録・李
卷之八十六
五果類
[やぶちゃん注:以下の目録では、読みの歴史的仮名遣の誤り、及び、濁音になっていないものは、ママである。]
李(すもゝ)
杏(あんす) 【杏仁】
梅(むめ) 【烏梅】
巴旦杏(あめんとう)
樃梅(らうばい)
桃(もも) 【桃仁】
西王母桃(せいわうほのもゝ)
阿靣桃(あめんとう)
金絲桃(きんしとう)
箒桃(はゝきもゝ)
栗(くり) 【搗栗(かちくり)】
棗(なつめ)
仲思棗(さう)
[やぶちゃん注:原本では、以上の後に、「卷之八十七」の「山果類」の目録が続くが、それは、その巻の冒頭の「梨」の前に掲げる。]
和漢三才圖會卷第八十六
攝陽 城醫法橋寺島良安尙順編
五果類
すもゝ 嘉慶子
居陵迦【梵書】
【和名須毛々】
李【音里】
麥李
【和名左毛々】
本草綱目云其樹大者髙𠀋許耐久綠葉白花種近百
其子大者如杯如卵小者如彈如櫻其色青綠紫木黃
[やぶちゃん注:「木」は恐らく「朱」の誤刻である。国立国会図書館デジタルコレクションの中近同版の当該部では、そのまま「木」であるが、これでは躓く。東洋文庫訳では「朱」とする。従って訓読文では「朱」と訂する。]
赤縹綺胭脂青皮紫灰之殊其形亦有數品諸李早則麥
李御李四月熟遲則晚李冬李十月十一月熟○季春李
冬花春實也○御黃李形大而肉厚核小甘香而美也
[やぶちゃん注:最後の一字分の空けがあるように見えるが、これは、以下を見ても、「○」の脱で誤刻である。というか、改行しているので、良安か彫り師が不要と判断したものかも知れない。訓読では補った。]
均亭李紫而肥大味甘如𮔉○擘李熟則自裂○餻李曰
[やぶちゃん注:「𮔉」は「蜜」の異体字。次行では「蜜」となっている。]
粘如餻皆李之嘉美者也今人用曝糖藏蜜煎爲果或本
色黃時摘之以鹽挼去汁合鹽晒萎去核復晒乾薦酒作
飣皆佳
氣味【甘酸微溫】 曝食去痼熱調中肝病宜食之【苦濇者不可食不沉水者
有毒】服朮人忌之【相傳云與沙糖合食則殺人】
新六消かての雪とみるまて山賤のかきほのすもも花咲にけり爲家
△按李形似桃而味帶酸故稱酸桃生青熟正赤而甘又
有純白者皆肌濃美關東多有之 古今醫統云李宜
稀凡桃樹接李枝則桃紅而甘李樹接桃枝則爲桃李
*
すもゝ 嘉慶子《かけいし》
居陵迦《きよりようか》【梵書。】。
【和名、「須毛々」。】
李【音「里」。】
麥李《ばくり》
【和名、「左毛々《さもも》」。】
「本草綱目」≪に≫云はく[やぶちゃん注:書名をちゃんと出し、「云」を添えてあるのは、特異点である。]、『其の樹、大なる者、髙さ、𠀋許《ばかり》。久《ひさ》に耐ふ。綠(《みど》り)の葉、白き花、種、百《ひやく》に近し。其の子《み》、大なる者、杯(さかづき)のごとく、卵(たまご)のごとく、小《せう》なる者、彈(はじき)[やぶちゃん注:女子が遊ぶ「おはじき・石はじき」のこと。]か、櫻の≪子《み》≫のごとし。其の色、青・綠・紫・朱・黃・赤・縹綺(はなだ)[やぶちゃん注:「縹」色で、藍染めの、浅葱(あさぎ)と藍との中間ほどの濃さの色。グーグル画像検索「はなだいろ」を見よ。]・胭脂(えんじ)・青皮《せいひ》[やぶちゃん注:未成熟の蜜柑の青い皮を乾燥させたような色。本来は、ミカン科の果実であるポンカン・ウンシュウミカン・ダイダイ・オレンジ・ナツミカンの未熟な果皮を乾燥させた生薬名。]・紫灰《しくわい》[やぶちゃん注:現行では「灰紫」で「くわいし(かいし)」と読み、藤色に灰を掛けたような明るい色を指す。参照したブログ「着物のよろず 針箱」の「灰紫」を見られたい。]の、殊(しなじな)有り。其の形≪も≫亦、數品《すひん》、有り。諸《もろもろ》≪の≫李、早きは、則《すなはち》、麥李・御李《ぎより》、四月に熟す。遲きは、則、晚李・冬李、十月・十一月、熟す。』≪と≫。
[やぶちゃん注:以下、項目式部分は、総て、改行する。]
○『「季春李《きしゆんり》」は、冬、花《はなさ》き、春、實《み》のるなり。』≪と≫。
○『「御黃李《ごわうり》」は、形、大にして、肉、厚《あつく》、核《さね》、小《ちいさ》く、甘≪き≫香にして、美なり。』≪と≫。
○『「均亭李《きんていり》」は、紫《むらさき》にして、肥大、味、甘≪く≫𮔉《みつ》のごとし。』≪と≫。
○『「擘李《はくり》」は、熟すと、則《すなはち》、自《おのづから》、裂く。』≪と≫。
○『「餻李《こうり》」は、粘《ねばりて》、餻のごとし《✕→を》曰《いふ》。』≪と≫。
『皆、李《すもも》の嘉美[やぶちゃん注:「佳美」に同じ。ここは「美味」の意であろう。]なる者なり。今の人、用《もちひ》て、曝《さら》し[やぶちゃん注:日干しにし。]、糖-藏(さたうづけ)・蜜煎《みついり》≪して≫、「果《くわ》」[やぶちゃん注:これは、東洋文庫訳では『菓子』と訳している。「果」と「菓」は「木の実・果物」の意があるが、「菓子」の意はない。しかし、処理方法から、その意味でよい。]と爲《なし》、或いは、本≪の≫色≪の≫黃なる時、之れを摘(むし)りて、鹽を以つて、汁《しる》を挼(もみ)去《さ》り、鹽に合《あはせ》て、晒《さらし》萎(しぼ)む。《✕→めば、》核《さね》を去《さり》て、復た、晒-乾《さらしほ》して、酒《さけ》を薦(すゝ)むるに、飣(さかな)[やぶちゃん注:この漢字は音「テイ・チョウ」で、「食物を器に盛る」の意がある。]と作《なして》、皆、佳し。』≪と≫。
『氣味【甘酸。微溫。】』『曝《さら》して食へ≪ば≫、痼熱《こねつ》[やぶちゃん注:慢性化したしつこい熱症状。]を去り、中《ちゆう》[やぶちゃん注:漢方の「脾胃」を指す。]調へふ。肝≪の≫病《やまひ》、宜しく、之れを、食ふべし【苦濇《にがくしぶき》者、食ふべからず。水に沉まざる者、毒、有り】。「朮《じゆつ》」を服する人、之れを忌《い》む【相傳《あひつたへ》て、云はく、「沙糖と合はせ食へば、則ち、人を殺す。」と。】。』≪と≫。
「新六」
消《きえ》がての
雪とみるまで
山賤(やまがつ)の
かきほのすもも
花咲にけり 爲家
△按ずるに、李は、形、桃に似て、味、酸≪味≫《すのあぢ》を帶《おぶ》る。故、「酸桃(すもゝ)」と稱《なづ》く。生《わかき》≪は≫、青く、熟せば、正赤にして、甘し。又、純白なる者、有り。皆、肌《はだへ》、濃《こまやか》にして、美なり。關東、多く、之れ、有り。「古今醫統」に云はく、『李、稀《まれ》に宜《よろし》≪き物なり≫。凡そ、桃の樹に李の枝を接げば、則ち、桃、紅《くれなゐ》にして、甘し。李の樹、桃の枝を接げば、則ち、「桃李(づばいもゝ)」と爲《なる》。』≪と≫。
[やぶちゃん注:基本、狭義の「李」については、日中ともに、
「李《すもも》」バラ目バラ科スモモ亜科スモモ属スモモ Prunus salicina
である(「維基百科」の「中國李」(こうあるが、「李」とも表記している)を見られたい)。但し、「李」の字が入っていても、スモモ類とは全く異なる種が存在するので、各個、慎重に考証する必要がある。例えば、本プロジェクトでも考証したところ、先行する「椋」に出た、
「牛李《ぎうり》」は、バラ目クワ科パンノキ連パンノキ属 Artocarpus nigrifolius
であったし、
「鼠李」のそれは、バラ目クロウメモドキ科Rhamnaceae、或いは、その下のタクソンである、クロウメモドキ連Rhamneae、或いは、或いは、属レベルでクロウメモドキ(黒梅擬:中文名「鼠李」)属 Rhamnus 、或いは、中文名を「鼠李」とする Rhamnus davurica
であって、狭義のスモモとは、これ、何の関係も種だったからである。されば、ここでも、
「~李」という漢名の種は、逐一、調べざるを得ない
のである。取り敢えずは、ウィキの「スモモ」を引いておく(注記号はカットした)。漢字表記は『李・酢桃』で、『落葉小高木。また、その果実のこと』を指し、『原産地は中国。中国から古くに日本へ渡来し、和歌などにも詠まれる。果樹として農園で栽培される他、自生しているものもある』。『スモモの果実はモモに比べて酸味が強いことが、和名の由来となっている。漢字では「李」とも書かれる。英語では “Asian plum”(アジアン・プラム)、“Japanese plum”(ジャパニーズ・プラム)などとよばれる』。但し、『ウメも「プラム」と呼ばれることがある』。『地域によっては、ハダンキョウあるいはハタンキョウ(巴旦杏)ともよばれるが、同じく巴旦杏とよばれるアーモンドとは別種である』。スモモは「モモ」とあるが、『桃とは異なる種で、同じバラ科サクラ属』 Cerasus 『の梅、杏、桃の花粉を利用して人工授粉させることができる。枝はよく分岐し、横に広がる。葉は長楕円形または長披針形』。『開花期は』四『月。中国ではモモとともに春の代表的な花となっている。葉の付け根に白い花を』一~三『個』、『咲かせる。果実は無毛で、夏になると』、『緑色から赤色に熟す。果肉は赤色や黄色があり、酸味はあるが』、『完熟すると』、『甘みが出る』。『果実の旬の時期は』六~九『月ごろとされ、食べごろのものは良い香りがある。栄養的にはカリウム、リンゴ酸、クエン酸などを含み、利尿作用・高血圧予防・肝機能を高める効果が期待されている。果肉だけでなく』、『果皮にも栄養分があるため、薄い皮ごと食べるのがよいといわれている。皮を覆うように白い粉状のブルーム』(bloom:果粉。果物や野菜の果実に於いて、果皮表面の白い粉のように見える蝋状の物質)『がつき、市場に出回っている果実の鮮度が良いものほどブルームが残っている』。『開花期に霜に当たると、不完全花となり』、『結実しないため、開花時期に晩霜に遭わない地域が適する。長果枝は開花しても結実しにくいので、中短果枝および花束状短果枝を出させる剪定を冬季に行う。成木なのに収量が少ないのは』、『受粉樹が近くにない・受粉樹との相性が悪い・低温晩霜に当たったのが原因と考えられる。 発芽する前に石灰硫黄合剤を散布して』、『葉や果実が膨れ上がる』「ふくろみ病」『を防ぐ。シンクイムシ・アブラムシ・カイガラムシ・イラガ等がつく』。二〇一四年『より、ウメ輪紋ウイルス(プラムポックスウイルス)』(Plum pox virus:PPV:第四群(一本鎖RNA +鎖)ポティウイルス科Potyviridaeポティウイルス属 Potyvirus プラムポックスウイルス Plum pox virus )『の緊急防除の規制対象植物に指定され、指定地域からの種子、果実以外の持ち出しが禁止されている』。二〇一九年、『幼果に食入して内部を食害する害虫スモモミハバチ』(昆虫綱膜翅(ハチ)目広腰(ハバチ・葉蜂)亜目ハバチ上科ハバチ科Monocellicampa 属Monocellicampa pruni )『が確認された。この虫は中国大陸から侵入したと推定されており、スモモのみを加害する。被害果は』一センチメートル『程度で落果し、無防除では収穫皆無となることも多い。被害が報告されているのは山口県と広島県だが、九州でも確認されるなど、分布は拡大している。防除は、満開期から落弁期に浸透移行性のある殺虫剤の散布が有効である』。以下、「品種」の総論部。『「スモモ」とよばれる栽培種は多数あり、日本に多く見られる中国原産のスモモ(日本スモモ)と、ヨーロッパ・コーカサス原産の西洋スモモ(ヨーロッパスモモ〈学名: Prunus domestica 〉・アメリカスモモ〈学名: Prunus americana 〉) に大別できる。日本のスモモはニホンスモモが多品種と交雑してできた品種で、総称して「プラム」とよばれている』。十九『世紀にアメリカに渡ったスモモは』、『育種家のルーサー・バーバンクの手により「ソルダム」「サンタローザ」「ビューティー」などの品種として改良され、再び』、『日本に「プラム」として輸入された。それらを元に日本では「大石早生」「月光」などに発展させていった。一方、ヨーロッパスモモは、青紫色の楕円タイプが多く、日本ではプルーンがよく知られている』として、以下、簡単な解説を添えて、十一の品種が挙げられてあるので、上記リンクで見られたい。最後には、近縁種として、今や、すっかりおなじみとなったプルーン(英語:prune)=セイヨウスモモ Prunus domestica が記されてある。
「嘉慶子《かけいし》」本項の引用元である「本草綱目」の「卷二十九」の「果之一【五果類一十二種】」の冒頭の「李」の「釋名」に(「漢籍リポジトリ」のここ。下線太字は私が附した)、
*
李【别録下品】
釋名嘉慶子【時珍曰按羅願爾雅翼云李乃木之多子者故字從木子竊謂木之多子者多矣何獨李稱木子耶按素問言李味鹹屬肝東方之果也則李於五果屬木故得專稱爾今人呼乾李為嘉慶子按韋述兩京記云東都嘉慶坊有美李人稱為嘉慶子久之稱謂既熟不復知其所自矣梵書名李曰居陵迦】
*
とあった。機械翻訳サイトで、変換したものを参考にして訳すと、『現在、人々は乾した李を「嘉慶子」と呼んでいる。按ずるに、韋述の撰になる「兩京記」によると、『東都にある嘉慶坊には、美しい李があり、人々は、長い間、それを「嘉慶子」と呼び習わしている。この「嘉慶子」は永い名称であるが、それが、何故、かく呼ばれているかは、最早、判らない。』という意味か。
「居陵迦《きよりようか》【梵書。】」中文サイト「佛弟子文庫」のここに、「翻譯名義集」に『【居[口*陵]迦】此雲李。([口*陵]音陵)。』と載るが、「大蔵経データベース」で、いろいろのフレーズで調べたが、載っていない。「雲李」も不詳である。
「麥李《ばくり》」これは、狭義のスモモではなく、
バラ科サクラ亜科サクラ属 Cerasus 若しくは スモモ属 Prunusのニワザクラ Prunus glandulosa
である。Shu Suehiro氏のサイト「ボタニックガーデン」の「にわざくら(庭桜)」に、写真入りで、『中国の中部から北部が原産です』。ニワウメ Prunus japonica 『の近縁種で、わが国では室町時代にすでに栽培されていました。庭や公園に植栽され、高さは』一・五『メートルほどになります。葉は長楕円形から長楕円状披針形で、基部はくさび形、縁には細かい重鋸歯があります。側脈は』四~五『個です』。四『月から』五『月ごろ、淡紅色から白色の花を咲かせます。ほとんどは八重咲きですが、一重のものは「ひとえにわざくら(一重庭桜)」と呼ばれ、真っ赤な果実ができます。中国名では「麦李(mai li)」』とあった。
『和名、「左毛々《さもも》」』「日本国語大辞典」の『さ-もも【早桃】』によれば、『①スモモの栽培品種。早生スモモの古名。果実は五月頃紅紫色に熟す。』とし、十巻本「和名抄」を初出例とし、『②モモのうち』で、『果実が、夏、最も早く出てくる在来品種の総称。』とあり、『③ 植物「さんざし(山樝子)」の異名』とする。③はバラ目バラ科サンザシ属サンザシ Crataegus cuneata で、縁のない同名異種であり、「維基百科」の同種のページ「野山楂」にも別名にないので、本邦だけの異名であって、関係ない。①・②なら、問題ない。
「御李《ぎより》」不詳。
「晚李」「冬李」孰れも不詳。遅咲きのスモモのことであろう。
「季春李《きしゆんり》」同前。
「御黃李《ごわうり》」不詳。
「均亭李《きんていり》」不詳。調べると、ロシア語のサイトで、この中国語とロシア語を並置するページを見つけたので、スモモの北方種かも知れない。
「擘李《はくり》」「百度百科」のここで、スモモの一種とし、以下の、「熟則自裂」を載せるだけで、「出処」の項には、『《广群芳谱·果谱二·李》:“﹝李﹞種類頗多,有麥李、南居李……擘李、離核李。”』とあるので、種は不明のようである。
「餻李《こうり》」複数の中文サイトに載るが、「本草綱目」を引用して、『スモモの一種』とあるのみである。「餻」は「米粉や小麦粉を捏ねて蒸した食品・餅の類」の意であるから、果肉が餅のような粘りがあるのであろう。
「朮《じゆつ》」漢方生薬の「蒼朮(ソウジュツ)」・「白朮(ハクジュツ)」を指す。「蒼朮」は、Atractylodes lancea ホソバオケラ、或いは、Atractylodes chinensis の根茎で、「白朮」は、キク目キク科オケラ属オケラ Atractylodes japonica 、或いは、オオバオケラ Atractylodes ovataの根茎を基原植物とし、一般には、健胃・利尿効果があるとされるが、実際には、これらの根茎を、作用させる異なる器官(無論、漢方の)の疾患に、臨機応変に用いているようである。
「新六」「消《きえ》がての雪とみるまで山賤(やまがつ)のかきほのすもも花咲にけり」「爲家」「新六」は「新撰和歌六帖(しんせんわかろくぢやう)」で「新撰六帖題和歌」とも呼ぶ。寛元二(一二四三)年成立。藤原家良(衣笠家良)・藤原為家・藤原知家(寿永元(一一八二)年~正嘉二(一二五八)年:後に為家一派とは離反した)・藤原信実・藤原光俊の五人が、寛元元年から同二年頃に詠んだ和歌二千六百三十五首を収録した類題和歌集。奇矯・特異な詠風を特徴とする。日文研の「和歌データベース」の「新撰和歌六帖」で確認した。「第六 木」のガイド・ナンバー「02417」である。
「古今醫統」既出既注だが、再掲すると、明の医家徐春甫(一五二〇年~一五九六)によって編纂された一種の以下百科事典。全百巻。「東邦大学」の「額田記念東邦大学資料室」公式サイト内のこちらによれば、『歴代の医聖の事跡の紹介からはじまり、漢方、鍼灸、易学、気学、薬物療法などを解説。巻末に疾病の予防や日常の養生法を述べている。分類された病名のもとに、病理、治療法、薬物処方という構成になっている』。『対象は、内科、外科、小児科、産婦人科、精神医学、眼科、耳鼻咽喉科、口腔・歯科など広範囲にわたる』とある。
「桃李(づばいもゝ)」双子葉植物綱バラ目バラ科サクラ亜科モモ属モモ変種(突然変異)ズバイモモ Amygdalus persica var. nectarina 。ネクタリンの標準和名。原産地は中国南部のトルキスタン附近で、 桃の表面のうぶ毛が退化した変種で「油桃(ゆとう)」とも呼ばれ、本邦では、山梨県・長野県を中心に生産されている。桃よりもしっかりとした果肉で、酸味があるのを特徴とする。小学館「日本国語大辞典」には、『モモの変種。中国西域原産で古くから日本やヨーロッパに伝わった。一般に果実は無毛でモモよりやや小さく』。『黄赤色を帯びる。果肉は黄色で核の周囲は紅紫色。核は離れやすい。七~九月に成熟し生食する。在来品種は消滅したが、近年ヨーロッパ系品種が渡来し』、『植栽されている。つばきもも。つばいぼう。ネクタリン』とする。しかし、ここで、『李の樹、桃の枝を接げば、則ち、「桃李(づばいもゝ)」と爲《なる》』とあるのは本当か? そんな、話しは、ネット上には、見当たらんがなぁ……識者の御教授を切に乞う!]