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2024/11/21

和漢三才圖會卷第八十五 寓木類 附 苞木類 椶竹

 

Syurotiku

 

しゆろちく  實竹

 

椶竹

 

ツオン チヨツ

 

本草椶竹其葉似椶可爲柱杖

[やぶちゃん字注:「柱」は「拄」の誤記か誤刻。訓読文では訂した。この「拄」は既にして「杖をつく」「棒を当てて支える」という意の動詞で、「拄杖(しゆじやう)」は、「杖」、特に「禅僧が行脚や説法の際に用いる杖」を指した。因みに言っておくと、「拄」の(つくり)は「主」ではないので、注意が必要である。拡大して見ると、はっきり判るが、最上部は「亠」(なべぶた・けいさんかんむり:後者は易の卦算(=文鎮)の形に似ていることに拠るもの)である。なお、「杖」は「グリフウィキ」のこれで、(つくり)が「𠀋」となっているが、表示出来ないので通常字とした。]

△按椶櫚竹來於琉球葉以椶櫚葉而無枝高者𠀋餘身

[やぶちゃん注:「以椶櫚葉」の「以」は「似」の誤記か誤刻。訓読文では訂した。]

 有黒毛節不高喜陰𠙚悪風日霜雪年久者開花亦似

 椶櫚花其竹不中空故雖曰實竹爲笻弱脆

觀音竹  椶竹之小者人植盆玩之初出琉球觀音山

 故名之

 

   *

 

しゆろちく  實竹《じつちく》

 

椶竹

 

ツヲン チヨツ

 

「本草」に曰はく、『椶竹《しゆろちく》は、其の葉、椶《しゆろ》に似≪て≫、拄-杖《つゑ》と爲すべし。』≪と≫。

△按ずるに、椶櫚竹は、琉球より來《きた》る。葉、椶櫚の葉に似て、枝、無く、高≪き≫者、𠀋餘。身、黒≪き≫毛、有《あり》。節、高からず。陰𠙚《いんしよ》を喜(この)み、風日《ふうじつ》[やぶちゃん注:風と日光。]・霜雪を悪《い》む。年久《としひさし》き者、花を開く。亦、「椶櫚」≪の≫花に似≪る≫。其の竹、中空≪なら≫ず。故、「實竹」と曰≪ふと≫雖《いへども》、笻《つゑ》と爲《なす》≪には≫、弱《よはく》、脆《もろし》。

觀音竹《くわんのんちく》  椶竹の小《ちさ》き者≪なり≫。人、盆に植《うゑ》て、之れを玩《もてあそ》ぶ。初め、琉球≪の≫觀音山に出《いづ》る。故に、之れを名づく。

 

[やぶちゃん注:「椶竹」「椶櫚竹」は、日中共に、単子葉植物綱イネ目 Poalesイネ科 Poaceaeタケ亜科 Bambusoideaeとは全く異なる、

単子葉植物綱ヤシ(椰子)目ヤシ科カンノンチク属 RhapisRhapis f.

を指す。なお、既に出た、「棕櫚」、

単子葉植物綱ヤシ目ヤシ科シュロ属シュロ Trachycarpus fortunei 'Wagnerianus'(シノニム:Trachycarpus wagnerianus

シュロ属トウジュロ Trachycarpus fortunei 'Wagnerianus'(シノニム:Trachycarpus wagnerianus 

とも全く異なる(先行する「棕櫚」と比較参照されたい)。

 ウィキの「カンノンチク属」を引く(注記号はカットした)。『ヤシ科』Arecaceae『の属の一つ。ラテン名を音写してラピス属( Rhapis )ということもある』。十『種程度が中国南部』から『東南アジアを中心に分布している。葉が美しいものがあり』、『観葉植物、古典園芸植物として栽培される。東南アジア原産の亜熱帯植物であるが』、『比較的』、『耐寒性が強く』、『育てやすいため、室内向きの観葉植物として広く利用されている。低木の竹科植物に似ていることから、流通の際は下記二種類のように「カンノンチク」「シュロチク」等、名前にチク(竹)がつくが、タケはイネ科であり』、『本種はタケの仲間ではなく』、『ヤシ科に属する』。以下、「主な種」の項。

カンノンチク(観音竹)Rhapis excelsa は、『中国南部』『原産』『で、日本へは琉球を経て渡来した。別名リュウキュウシュロチク。葉は扇形で』四~八『裂し、筋が入る。雌雄異株。花期は初夏で、花は小さくて黄色い。古典園芸植物として、斑入りや』、『細葉など』、『多くの品種がある。中には非常に高価なものもあり、これを商材にした悪徳商法もかつてはあった』。

シュロチク(棕櫚竹)Rhapis humilis は『中国南部』から『南西部』が『原産』で、『日本には江戸時代に渡来した。カンノンチクほどではないが、古典園芸植物として多くの品種がある。高さは』一~五『メートル。葉はシュロ( Trachycarpus )に、幹は葉痕が節状に残るので竹に似ている。雌雄異株。花期は初夏から挽夏で、葉のつけ根に出る花序に淡黄色の小さな花がつく。耐陰性、耐寒性が強く』、『ディスプレイ用の観葉植物として人気のある品種』であり、『また、古典園芸ではカンノンチクと本種を一纏めにして観棕竹』(かんそうちく)『ということがある』。

 「ウィキペディア」嫌いのアカデミズム崇拝者のために、平凡社「改訂新版 世界大百科事典」の「シュロチク Rhapis 」も引用しておく(コンマは読点に代えた)。『ヤシ科シュロチク属に属し、中国南部、北ベトナム、ラオスに約』二十『種が分布する。葉のとれたあとが幹状となり、茎』は二~三センチメートル、『高さは』一~四メートル『に達し、幹』の『肌は褐色の繊維網でおおわれる。このような幹が叢生』『状態となり』、何『本も立ち上がる。葉は光沢ある鮮緑色の掌状葉、肉穂花序は花梗が初め桃色で、開花すると黄色くなる。雌雄異株。小型のヤシで、観葉植物として栽培される』。『カンノンチク(観音竹)R.excelsa Henry exRehd. は中国南部の原産。沖縄にも自生している。比較的小型で、幹は通常高さ』一~二メートル、『叢生して』、『株立ち状態となる。葉は濃緑色の掌状葉で』六~八『枚に深く裂け、長い葉柄の先につく。この種には葉の形、色彩、斑模様(ふもよう)などの異なるいろいろの変種、品種があり、もっとも多く栽培されている。その代表的なものとして』、『斑入りとなるシマカンノンチクやズイコウニシキが、また小型矮性(わいせい)化した大黒天、達磨(だるま)その他』、『多くの品種(平和殿、小判、小達磨、太平殿、天山など)がある。シュロチクR.humilis Blumeは中国南部の原産。葉姿はカンノンチクに似るが、全体にほっそりとした感じである。幹は高さ』四~五メートル『になり、多数』、『叢生するが、細長い。葉は光沢ある濃緑色で互生し、掌状葉は』七~十八『片と』、『細く』、『深く』、『裂け、裂片はカンノンチクよりも幅が狭い。変種と品種があるが、わずかである。カンノンチクよりも寒さに強く、西南日本では露地植えでも越冬でき、ときには大株を見る』。『どちらの種類も日本では』、元禄八(一六九五)年刊の本邦初の園芸辞典である「花壇地錦抄」(伊藤伊兵衛(三之丞)著)『に記事がみられるほどで、古い時代から観賞用に栽培されている。温室のなかった時代からつくられており、性質は強い。冬は最低』摂氏三~五度『以上』、『保てばよく、生育適温は』十度『以上である。夏は強光下でもなれれば日焼けを起こさないが、美しい葉を眺めるためには』、四『月終りころから』九『月までは明るい日陰におき、つねに水を多く与え、空中湿度を多く保つ。培養土は川砂を主体にし、これに』二『割前後の腐葉土かピートモスを混ぜたものを、植替えや株分けに使う。繁殖はもっぱら株分けにより』、五『月中旬』から六『月に』三~五『本の幹をつけて』、『割る。まれに種子ができるので、実生でもよい』とある。因みに、同属相当の「維基百科」の「棕竹屬」には、十四種の学名が載り、シュロチクには「矮棕竹」、カンノンチクには「棕竹」の中文名が添えられてある。グーグル画像検索の「シュロチク」と、「カンノンチク」をリンクさせておく。後で、棕櫚の花に似ると出るので、「シュロチク 花」と、「カンノンチク 花」と、「シュロ 花」もリンクさせておく。

 なお、標題の「椶竹」「椶櫚竹」の「椶」は「棕」の正字である。

 「本草綱目」の引用は、「漢籍リポジトリ」の「卷三十七」の「木之五」の「苞木類」の「竹」の「集解」の[090-21a]の二行目末尾に『㯶竹一名實竹其葉似㯶可爲拄杖』とある(「為」を正字に代えた)。

「琉球≪の≫觀音山」現在の沖縄県島尻郡南大東村池之沢にある、この「観音様」(グーグル・マップ・データ航空写真)か。しかし、中国原産なのに、多くの記事が「この観音山」(実際には山という感じではなく、珊瑚隆起の岩のようである)「に自生していたからこの名がつた」と記す点、この説は、ちょっと首を傾げるものである。]

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